ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

特捜と安倍政権 その攻防の結末は

2020-07-11 14:42:33 | 日記
私は難問に向き合うのが好きである。とびきり難しい問題に出会うと、わくわくして胸の高鳴りを抑えることができない。難問が解けたときの快感は、何ものにも代えがたい。

とはいえこの場合、私が求める解答は、数学の問題が求めるような代数的・幾何学的な解答ではない。それは私なりの一つの解釈だと言ったほうがよいだろう。言い換えれば、これこれの解釈をすればこの問題はすべて説明がつくといった、特定の「ものの見方」のことなのである。

さて、このたび私に一つの難問を突きつけたのは、次の記事である。

「(河井夫妻の選挙運動事件の)最大のポイントは買収の原資だ。参院選前、自民党本部は河井夫妻の政党支部に破格の1億5000万円を送金している。当時の河井夫妻の懐事情から、買収は党の拠出金が充てられたとみるのが自然だ。原資に切り込めば、党本部や安倍首相の関与も明らかになり、“交付罪”で刑事責任が生じる可能性もある。安倍首相は案里陣営に自分の秘書を送り込むなど熱を入れていた。
ところが、特捜部は1億5000万円を不問にし、『河井夫妻の買収事件』で幕引きを図るつもりだとの見方が強まっている。」
(日刊ゲンダイDIGITAL 7月9日配信《河井夫妻起訴の闇 特捜部1.5億円不問の裏切りで幕引きか》)

この記事が突きつける「難問」がどういうものかは、言うまでもない。東京地検特捜部は、河井夫妻が手にした選挙運動資金の原資1億5000万円を突破口にして、安倍首相の犯罪を立証しようとしていた。“官邸の守護神”黒川検事長が賭けマージャンの咎で失脚した今、特捜部が安倍城の本丸に迫るのは時間の問題だとみられていた。ーーそれが今、特捜部は安倍首相への追及の手を緩めたようにみえるのだ。追及すること自体を断念したようにもみえる。これは一体どうしたことなのか。

安倍政権と地検特捜部は、熾烈な攻防の末に、何らかの取引をして「手打ち」を行ったとみるのが、自然な見方だろう。では両者の間に、どういう取引が行われたのか。

日刊ゲンダイの記事は、「司法担当記者」の次のような発言を紹介している。
「検察はこれ以上、官邸とケンカする必要がない。人事も当初のシナリオに戻りましたからね。“官邸の守護神”だった黒川弘務の退任後、後任として林真琴名古屋高検検事長が東京高検検事長に栄転し、今月には検事総長に就任する見通しです。紆余曲折があったにせよ、予定通り林検事総長が実現する。また、検察庁法の改正も撤回され、検察としては思い通りになった。河井夫妻を逮捕した森本宏特捜部長も、地方の検事正に栄転する予定です。」

私は記者のこの発言を「なるほど」と受け入れる気にはなれない。安倍軍は黒川大将を自陣に引き入れることによって、敵の二の丸を切り崩そうとした。黒川大将の自爆により、検察城の二の丸は切り崩される恐れがなくなったが、だからといってそれが検察軍の兵を引く理由になるだろうか。

官邸とケンカするのは、検察庁のいわば存在理由(レゾンデートル)である。官邸とケンカする気のない検察など、気の抜けたビールのようなもの、国民はこれを認めないだろう。このことは、検察庁の幹部もよく知っているはずだ。血の気の多い特捜部隊なら、さしたる理由もなく攻撃をやめたりはしない。敵がそれ相当の条件を差しだして降伏を申し出るのでなければ、特捜は攻撃をやめたりはしないだろう。

では、安倍軍はどういう条件を提示して、降伏を申し出たのだろうか。私の脳裏に一つの情景が浮かんでくる。城主が切腹を条件に、落城を食い止めようとする、時代劇にありがちな情景である。

安倍首相は、自らの辞任を条件に、地検特捜部との「手打ち」を図ったのではないだろうか。一国の首相が「自分の首を差しだすから」と言えば、特捜もこの申し出をむげに撥ねつけることはできず、攻撃を中止せざるを得ないだろう。

自分の首を差しだす、つまり辞任するという条件は、安倍首相にとってもあながち悪い話ではない。この条件で降伏を申し出なければ、どういうことになるのか。安倍首相は犯罪者の汚名を着せられ、辞任を迫られることになる。どのみち辞任が避けられないのなら、犯罪者としての追及を受けずに、無傷のまま辞任するほうが良いに決まっている。

首相の辞任。ーーこの解答を見つけたとき、えも言われぬ快感が私をとらえたことは言うまでもない。きょうネットの森を散策していて出会った次の記事は、私の推測の正しさを裏打ちしてくれているように思える。

「『顔色がヤバイ』――。このところ、テレビに安倍首相が映るたびに、自民党議員が心配の声を上げる。
9日も官邸を退出する際にぶら下がり取材に応じたが、髪は乱れ、目に生気が感じられなかった。河井夫妻が公選法違反で起訴されたおとといのぶら下がりも顔色がドス黒く、表情はうつろ。しゃべり方もたどたどしく、ロレツがうまく回らないようだ。」
(日刊ゲンダイDIGITAL 7月10日配信《安倍首相の顔色に異変…髪乱れ生気なく党内に懸念広がる》)

殿、しっかりなされよ!立派にお腹を召されませ!そう言いたくなるのは、私だけだろうか。
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 特捜と安倍政権 その攻防の... | トップ | コロナ 第2波の到来か »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事