ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

北のミサイルに

2021-10-23 12:11:25 | 日記


北朝鮮がミサイルをぶっ放したのは、10月19日のことである。この日は、日本では総選挙が公示されたその当日に当たる。ああ、またか、と、私はうんざりした気持ちでそのニュースを聞いた。

この国は、日本でなにか政治的な事件があると、まるで自民党政権をもり立てるかのように、ミサイルの花火を打ち上げるのである。折しも、今回は日本で政権選択の国政選挙である。与党・自民党の岸田首相は、選挙遊説の後、記者団に次のように語った。
「北の核・ミサイル関連技術の著しい発展は日本と地域の安全保障にとって見過ごすことはできない。いわゆる敵基地攻撃能力の保有も含め、あらゆる選択肢を検討するよう改めて確認した」。

この言葉には、「北にきちんと対峙できるのは我が党だけだ」との自負が滲んでいる。「うん、そうだよなあ。北の脅威は無視できないから、政権はやっぱり自民にとってもらわないとなあ」と思う有権者も少なくないことだろう。

ところで、北朝鮮はなぜそうまでして自民党をもり立てようとするのか。朝日新聞はきょう(10月23日)の社説《衆院選 対南北朝鮮 再起動へ政治が動け》で次のように書いている。
「北朝鮮は日韓で大型選挙があるたびに挑発を強めてきた。韓国で『北風』と呼ばれる動きである。地域の緊張の高まりは自らの対外戦略や国内統治に有利に働くと考えているからだ」。

つまり、北朝鮮のミサイル発射は、日韓のタカ派を挑発し、東アジア地域の軍事的緊張を高めるためだというのである。

たしかに、地域の軍事的緊張が高まれば、この状況は北朝鮮の国内統治に有利に働く。対外的にも、それはこの小国の存在感を強めることにつながるだろう。朝日の分析は、たしかに正鵠を射ている。

それは良い。問題は、「だから何なの?どうしろと言いたいの?」ということである。

朝日は「軍事的な対症療法の議論に傾く」のではなく、それより「北朝鮮との意思疎通のパイプを復活させること」が急務だとしている。

「拉致問題を含む懸案を前進させるために、対話が欠かせないのは自明である。主張すべきを主張しながらも、米国にただ追随するのではなく、北朝鮮と直接協議できる枠組みの修復を急がねばならない。」

要するに、軍事的な対決ではなく、外交的な対話の姿勢で臨むべきだ、と朝日は主張しているのだが、この国に、そういう外交交渉の姿勢が通用するかどうかが問題である。
核の脅威をちらつかせ、力で交渉を有利に運ぼうとするこのツッパリ軍事国家に対して、「なに、話せばわかる」という平和ボケの姿勢がどこまで通用するか、そのあたりを朝日はもっと真剣に考えたほうが良いと思うのだが。


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