ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

事実は語る これが対中包囲網だ(その1)

2023-05-25 10:42:38 | 日記
事実は有無を言わせぬ重みを持って我々に迫ってくる。G7広島サミットの首脳宣言は

自由で開かれたインド太平洋を支持し、力又は威圧による一方的な現状変更の試みに反対する

と謳っている。耳にタコができるほど聞かされたキャッチフレーズだが、この文言に込められた事実の重みを見なければ、この宣言の迫力は伝わらない。舌触りのよいただの謳い文句に聞こえるだろう。

この文言の指示対象は、言わずと知れた中国である。その意味で当事者である中国の国家当局は、この文言に込められた(対中包囲網という)事実の重みを日々、痛いほど思い知らされているから、この宣言のインパクトにかなりの衝撃を受けたはずだ。

けさ届いた朝日新聞に、3つの記事が載っていた。第1面と第2面と、別々に載ったこれらの記事を読んで、私はアメリカが主導する対中包囲網の凄みと、着々と築かれつつある壁の厚さを知らされ、「ああ、G7サミットの首脳宣言はこのことを言っているのか」と、驚きを禁じ得なかった。G7諸国、とくにアメリカの中国に対する警戒心と対抗意識がこれほど強いとは、外事に疎い私には正直、大いに意外だった。

以下、それらの記事を紹介する。3つの記事を3つとも丸々引用すると長くなり過ぎるので、きょうはそのうちの1つだけを紹介する。
事実を伝える記事は、割愛の手法を多用し、その一部だけを紹介したのでは、その重みを奪いかねないとの判断からである。諒とされたい。

『こんな田舎の島に大国の支援の話が次々と舞い込むんです。我々も信じられません』
インドネシアのナトゥナ諸島は、マレー半島とカリマンタン(ボルネオ島)に挟まれた、南シナ海の南端にある。
いまここに、地元当局幹部が驚くほどの外国からの支援の申し出が相次いでいる。
4月上旬、諸島最大の大ナトゥナ島を訪ねた。南端のスラットランパに島内最大の漁港がある。責任者のムハンマド・ロピンドラさん(36)が『日本の支援で、冷凍施設や加工場などの最新設備を備えた漁港に生まれ変わる予定です』と説明した。実現すれば、島で初の外国の支援になる。
日本は現在の漁港を『小さな豊洲市場』(日本政府関係者)に増強する計画を進めている。
2018年、国際協力機構(JICA)がインドネシア政府と無償援助の契約を結んだ。インドネシア政府関係者によると、建設費用は約3千万ドル(約40億円)にのぼる見込みだ。
この支援で日本は、島の経済発展の一歩先も見据える。日本政府関係者はこの事業を『中国の海洋進出を意識した案件だ』と言う。
ナトゥナ諸島沖合のインドネシアの排他的経済水域(EEZ)は、中国が権益を主張する『9段線』と重なる。インドネシア政府が17年に諸島の北側を『北ナトゥナ海』と命名すると、中国を刺激したのか、翌年からそこに現れる中国船の数が増え始めた。
一方で中国は最大の貿易相手国だ。22年には過去最高の約1300億ドル(約18兆円)に達した。インドネシア海上保安当局幹部は『中央政府から「これ以上、中国との緊張を高めるな」と言われている』と明かした。
しかし、インドネシア政府はナトゥナの漁港拡充を投資の呼び込みに結びつけたい考えだ。経済が活性化すれば、人口は増える。人口が増えれば、海洋権益の主張にも説得力が増す、というわけだ。
支援は、他の『西側諸国』へと広がっている。
米国は地元漁師を招待して中小企業経営を学ぶ研修を計画した。現地当局によると、韓国も海洋生物の研究施設の建設を検討しているという。
日本は東南アジア全体へ関与を広げている。
今年3月には日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)との間に安全保障上のホットラインが開設された。同月の日ASEAN防衛当局次官級会合で井野俊郎防衛副大臣は『中国の海洋進出の活発化などで、パワーバランスが大きく変化しようとしている』と指摘した。
4月には、外交目的などを共有する『同志国』の軍に対し、防衛装備品などを無償で提供する『政府安全保障能力強化支援(OSA)』の導入も決めた。

(朝日新聞5月25日)
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