人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

津村記久子著「この世にたやすい仕事はない」を読む ~ 職安で紹介されたのはちょっと風変わりな仕事だった:「みはり」「バスのアナウンス原稿」「おかきの袋」「路地を訪ねる」「森の小屋」

2024年05月02日 06時41分59秒 | 日記

2日(水)。わが家に来てから今日で3397日目を迎え、米ニューヨーク州の裁判所は4月30日、トランプ前米大統領が法廷侮辱を繰り返したと判断し、計9千ドル(約140万円)の罰金を支払うよう命じ、今後も続いた場合は、トランプ氏を収監する場合もあり得るとした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     初めてじゃないから驚かないが 早く収監された方が罪が増えなくていいんじゃね?

 

         

 

昨日の夕食は息子が「アクアパッツァ」「野菜サラダ」「イカとエビのスパゲッティ」を作ってくれました 皆さん、これが本物のアクアパッツアですよ どれもが美味しかったです つくづくわが家で一番料理が上手いのは息子だと再認識しました

 

     

     

 

         

 

津村記久子著「この世にたやすい仕事はない」(新潮文庫)を読み終わりました 津村記久子は1978年 大阪市生まれ。2005年「マンイーター」で太宰治賞を受賞してデビュー。2008年「ミュージック・ブレス・ユー!!」で野間文芸新人賞、09年「ポストライムの舟」で芥川賞を受賞したのをはじめ数々の文学賞を受賞、本作も芸術選奨新人賞を受賞している

 

     

 

主人公は大学卒業後14年間ある仕事を続けてきたものの、燃え尽き症候群のような形で退職し、失業保険給付が切れた後に職業紹介所で職探しを始めた36歳の女性です 職業紹介所では正門というベテランの女性相談員から一風変わった仕事を紹介されて働くことになります 「みはりのしごと」から始まり、「バスのアナウンスのしごと」「おかきの袋のしごと」「路地を訪ねるしごと」を経て、「大きな森の小屋での簡単なしごと」で一区切りとなりますが、まだまだ続きそうです

「みはりのしごと」は、モニターテレビで、在宅で仕事をしている山本山江という小説家を見張るという仕事です  染谷チーフによると、山本山江は密輸品の何かをそれとは知らずに預かっている疑いがあり、その証拠を押さえるのが目的です 毎日毎日同じ人物を監視していると、趣味も癖も何でも分かったような気もちになりがちだが、それは思い上がりだと気が付くところが話のオチです

「バスのアナウンスのしごと」は、運行を受託している循環コミュニティバス「アホウドリ号」の広告アナウンスの原稿を書くという仕事です 仕事にあたり、風谷課長からは「江里口という同僚の女性社員を見張ってくれ」という注文が付きます どうやら江里口さんの作るアナウンス原稿には、あるはずの店が無くなっていたり、ないはずの店があったりするので、実際に確かめてみると江里口さんの原稿の通りなので、彼女には予知能力があるのではないか、という不思議な話です

「おかきの袋のしごと」は、、創業40年の米菓の製造業者で、前任者に代わり、おかきの小袋に書かれている豆知識を考えて文章にするという仕事です 小袋の裏面に「おだやかアドヴァイス」と称した相談コーナーを掲載することを提案したところ、これが受け入れられて商品化され、ヒットした これによりコーナーの人気担当者となったが、社長が”相談担当”として「おだやかアドヴァイス」常連投稿者の藤田藤子という見ず知らずの高齢女性を連れてきたことで状況が一変するという話です

「おかきの小袋に書かれている豆知識」ということで思い出したのは、私の大好物「亀田の柿の種」の小袋に豆知識が書かれていたような気がします ひょっとして著者はこれをヒントにしたのかもしれないな、と思いました

「路地を訪ねるしごと」は、官公庁から依頼されたポスターの張り替え作業の仕事です 盛永という男の下で働くことになった仕事ですが、「さびしくない」というキャッチのポスターを掲示する新興宗教のような怪しげな団体の存在を知ることになります どうやら盛永の妹がその団体に関わりがあり、その団体は人の悩みにつけ込んで最終的には財産を巻き上げるような組織であることから、盛永は妹を脱会させようとしていることが窺えます

「大きな森の小屋での簡単なしごと」は、大森大森林公園の奥にある小屋での事務仕事です。静かで自然に恵まれた仕事だったが、小屋の周囲に落ちている栗の実が全部中身を抜かれていることに気が付き、正体不明の誰かが広大な森林公園の中に住んでいることを確信するという話です

この小説の主人公は基本的にマジメな人です 単純な仕事にも一生懸命に取り組む そんな彼女の周りでちょっとした出来事が起こり、いつの間にか巻き込まれていきます

この著者の作品は初めて読みましたが、この先どうなるのか?というミステリータッチなところがあり、どこかすっとぼけた味わいのある文章が印象的です 大阪人特有のユーモアでしょうか この人の他の作品も読んでみたくなりました


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