バイデン政権は、今ウクライナ支援に注力していますが、米国議会は共和・民主両党とも台湾危機を重視しており、中国の軍事侵攻に備えよとの声が急速に強まっています。
台湾が中国に支配されたときには、東・南シナ海の支配権のみならず、東南アジア諸国を始めとしてインド太平洋全域が、中国の軍事的・政治的・経済的な影響の下に置かれると米国は危惧しているからです。
米国と同じ危惧を日本はより強く持たねばなりません。インド太平洋の海洋交易に国家存立の基盤を持つ日本としては、台湾を中国共産党によって支配されれば米国以上に深刻な脅威を受けることになるからです。
台湾が中国軍の攻撃を受けても日本が中立を守れば戦禍は及ばないと考える人が居ますが、とんでもない思い違いです。台湾有事になれば米軍は日本各地にある米軍基地から反撃に出撃することは確実です。
アメリカのシンクタンク戦略国際問題研究所CSIS報告書のシナリオでは、台湾有事でアメリカ軍が沖縄の嘉手納基地、山口の岩国基地、東京の横田基地、青森の三沢基地から作戦を展開すると想定しています。そうなれば中国も敵基地攻撃ということで日本の米軍基地、自衛隊基地にミサイル攻撃を加えます。
台湾有事は日本有事とはこのことです。今年2月に米空軍ミニハン航空機動司令官の内部メモが漏れて、それは台湾有事が2025年に勃発するという内容でした。その時期が米国と台湾の大統領選挙直後の緊張弛緩期であり、且つロシアがウクライナでの敗北が決まらない前というので説得力があり、軍事専門家の間で緊張が高まったと言います。
今や米国では上下両院の議会だけでなく、国務、国防両省は勿論のこと治安、経済などの諸行政機関でも対中強硬策が次々検討されており、外交で無策であると言われるバイデン政権が、これは戦争ではなく対決だと言っても、限りなく戦争に近づいているのです。
しかしながら、台湾危機は米国にとって深刻なのと同様、日本にとっても死活問題だとの認識が日本に乏しいのは誠に嘆かわしい限りです。
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