世相の潮目  潮 観人

世相はうつろい易く、その底流は見極めにくい。世相の潮目を見つけて、その底流を発見したい。

自国防衛を米国に頼る自立心が欠けた日本人ではいけない

2022年11月28日 | 政治

政権与党の自民党と公明党が敵基地攻撃能力を日本が持つ事で最近ようやく合意したとメディアが伝えました。一部の野党ですら賛成している反撃能力保持を与党の公明党が渋っていたとは驚きでした。

11月13日東アジア首脳会議(EAS)開催され、その機会に岸田首相はバイデン米國大統領に「防衛力を抜本的に強化し、防衛費を相当に増額する」と約束して、自国防衛に責任を持つと明言しているのに、国内では防衛の基本政策が中々決まらないとは驚きなのです。

日本を敵視している隣国の中国、ロシア、北朝鮮は、いずれも核保有国であり、領土、領海、領空を侵略する能力を持っているのに、それを防止する軍事力を持つ事を躊躇するのは、誠に驚きです。

この驚きは、岸田政権が現在進めている政権内部の国防論議にも言えるのです。
政府は、年内に安全保障戦略、防衛戦略、防衛力整備計画と言う安全保障三文書の改定作業を行っており、その基本となる安全保障戦略は、2013年策定以来の大改定になるのですが、北東アジア軍事情勢の大変化に合わせた強力な反撃能力の整備と、必要な軍事予算の確保が必要となるのです。

11月22日安全保障戦略の改定作業の参考にすべく諮問していた有識者会議の結論が政府に提出されました。その内容は、危機意識の乏しい、体裁を繕った、姑息な手段を述べたものに見えます。

「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」と称するなら、先ず国防論として敵の攻撃力に対抗出来る防御力を論議して想定し、次にそれに必要な予算を議論すると言う手順を執るのが常識ですが、有識者達は必要な防衛力を決めないで、予算規模はNATO並み、海上保安庁や他省の研究開発費を寄せ集めて防衛費に加算することにし、財源は特定税源とすると言う事務職員レベルの議論を中心にしています。

そこで、有識者会議のメンバーを見ますと、大手新聞人、官僚、学者、金融人などが大半で、軍事の専門家は皆無です。有識者会議の佐々江座長から報告書を受け取った岸田総理は、大いに参考にすると言いましたが、こんな諮問意見で安全保障計画を見直すのは危険ですらあります。

有識者たちの議論め進め方は、中國、ロシア、北朝鮮の核兵器に対抗する軍事力を如何に整備するかの観点が欠けているのです。如何なる兵器を整備するかを知らないで、必要軍事費の枠を決め、その財政論を論じて増税論に導く主客転倒の話は正気かと疑います。そもそもEUの軍事費2%が目標という議論の前提が間違いで、国民国土を侵略から守る軍事費には限度は無い筈です。真の有識者ならそこから議論するものでしょう。

中國、ロシア、北朝鮮の核兵器攻撃に備えるのは日本国存続のためであるのに、日本は財政の許す範囲で防衛するに止めて、後は日米同盟で米国に頼むと言うのは、3.5%以上も防衛費を負担している米国から見れば、日本は虫が良すぎる、日本が本気で自分を守らないのなら、ベトナム戦争で自らを助けない國を助けて痛い目に遭った苦い経験を持つ米国は、日米同盟不要論まで出るかも知れません。

敵国ではありますが今の中国は近世に先進国に食い物にされた経験から富国強兵に励み、自力で今度は被害者から加害者にならんとしているのです。明治の日本は外国の植民地にならないために、他国の助けを借りずに歯を食いしばって富国強兵に励み、太平洋戦争で敗れたとは言え、結果的にアジア諸国を西欧の植民地から開放したではないですか。外国からの侵略を守るのに米国に頼るという、自立心が欠けた日本人であってはならないのです。
(以上)

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