竹中平蔵氏とそれっぽい人たちを遠ざけられるかが最初の課題 | Tempo rubato

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岸田総裁が誕生して、自民党の執行部が固まりました。

首相指名選挙前なので、漏れ聞こえる内閣人事はまだ決定的とは言えません。

 

ただ、前回書いたように、党の役職についた麻生太郎氏、高市早苗氏、河野太郎氏、甘利明氏等は大臣にならない可能性が高い。

少なくとも次の政府から、安倍前総理を支えた麻生副総理・財務大臣がはずされ、小泉純一郎型新自由主義の河野太郎氏がはずされ、安倍晋三型新自由主義の高市早苗氏がはずされることになる。

入閣は、財務大臣にと報道されている鈴木俊一氏、総裁候補からは安倍路線に反省を述べた野田聖子氏が検討されているとのことで、組閣では岸田路線を作るべく進められると予想できます。

報道されている範囲では初入閣が13人で、どんな内閣になるか未知数なところが多いですね。

 

前回の暗雲垂れ込む話のつづきだと、補正予算は総選挙後になると報道がありまして、早速ドロドロ垂れ込めてまいりましたよ。

 

 

ところでボクは、「アベノミクス」と「安倍路線」は使い分けています。

アベノミクスは元々は「経済政策三本の矢」で、

  1. 大胆な金融政策
  2. 機動的な財政政策
  3. 民間投資を喚起する成長戦略

ということになっています。

 

このパッケージ戦略そのものは間違ってると言えません。三本目は中身をまるっと変える必要がありますが経済成長を目指すこと自体は間違いではない。

全体として理論的に間違っていたとは言えないわけで、以前から書いてきた通りです。

 

 

ところが、前回書いた理論と実践の話。「実際、何をやるのか」でみていくと、「安倍路線」としては以下の通りでした。

1・金融政策は、量的緩和でインフレ率2%を目指して初期は90兆円近く買取をおこない、現在日銀当座に500兆円近くが積まれています。しかし、金融政策だけでは公約を実現できなかった。

2・財政政策の機動性は「マイナスの機動性」となり、消費税が二度増税されて、国債発行は毎年縮減された結果、需要は換気されず、成長投資は起こらなかった。

3・成長戦略は供給側の政策に偏った。デフレ時に供給力を上げれば、むしろデフレは悪化する。竹中平蔵氏らの好む特定ビジネスへの投資や改革・規制緩和・グローバル化によって経済構造が一層新自由主義的に変えられてしまいました。

結果、中小企業は年々減っていった。中小企業庁の統計によるとデフレ転落後の1999年から2016年までで、中小・小規模企業は140万者近く減っています。16年以降は後継者不足による休廃業が増え続けています。

 

竹中氏やデービッド・アトキンソン氏は、中小企業は淘汰されいくべきだと言っており、正社員は既得権益だから減らすべきだと言っている。

本人は否定してるらしいけど、新自由主義の権化ですな。

 

「安倍路線」では、新自由主義路線の成長戦略をおこなうのに好都合な金融・財政政策に変えられてしまった。まー、最初から含んでたのが顕在化したとも言えますけどね。

 

ですから、「安倍路線」と「アベノミクス」は分けています。

 

さらに、アベノミクスから新自由主義に悪用される要素を薄める必要がある。

 

経済理論としては、一本目の金融政策は維持で良い。

二本目の財政政策は「機動的」ではなく「継続的な拡大」へと転換。

三本目の成長戦略は、供給側ではなく需要を換気すること、賃金が上がることを重視して政府支出を投入するべし。

このパッケージで行けば金融政策も生きてくるでしょう。

会田卓司さんが言うように、名前はそのままでも中身を変えていけば、岸田総裁が提唱する「成長と分配」が実現できるのです。

 

税制はしばらくいじらないほうが良いかと思いましたが、岸田総裁は金融所得税の増税を検討しているそうです。金融所得を所得税から分離してるのが問題なので、統合すれば良いと思いますけどね。

 

ところで、高市氏は所得税の一律化を提唱してました。一律化すれば、中低所得の人は頑張って稼ぐようになるだろうと話してましたよ。実に新自由主義的かつ自己責任的な思想です。加えて、「正しい貨幣観」の持ち主が言うことじゃないでしょう。この主張で決定的に高市氏は危険だと判断しました。安倍晋三と代わり映えしないので、アベノミクスはより新自由主義的に強化、完成されるだろう、と。

 

閑話休題

財政健全化・財政規律なるものが言われなくなったのは、コロナ禍のおかげです。理論的な正しさよりも、実際必要なことに支出しなければならない。そんな状況が作られ、政治家の意識が変わっていった。非常時にPB黒字化や財政健全化など、世界中でやってる国など日本しかなかったんですから。去年からずっと言ってきたように、コロナ禍は異常な緊縮志向を改める好機であって、理論偏重から実践重視へと改める好機でもあります。

三橋貴明さんや中野剛志さんのレクチャーや、その後やってきた「MMT」も重要だったと思いますが、それだけでは転換に動けなかったのを、動かしたのは現実だったのです。

 

「アベノミクス」が「安倍路線」によって失敗した実例は

何度も書いている通り、「プライマリーバランス黒字化目標の凍結」さえ明言すれば全てスッキリ解決するわけではない、ということです。

そして、前回書いた通り、必要なことを実行していくことによって阻害する理論を改めていく、実践先行型の政策転換が必要なのだろうと思う。

そののちに「アベノミクス」という名前も変えてしまえば良いんですよ。

 

さてさて、そうすると、理論以上に「岸田路線」を妨害するものがあります。

実践に強い影響を及ぼしてアベノミクスを新自由主義的な安倍路線に変質させた人たち。

竹中平蔵氏とそれっぽい政治家や「民間議員」たちです。

安倍路線の諮問会議体や国家戦略特区も解体的作り直しが必要。

竹中色を薄めることが「新自由主義路線からの脱却」の第一歩と言えます。

一歩目でつまづかないように。

 

目標がぼやかされると、実践がブレてしまうので要注意。安倍路線の轍を踏まないよう気をしっかり持っていただきたい。

 

 

 

 

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