観察力を鍛えよう・COVID-19パンデミックと世界の変容 | Tempo rubato

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アニメーター・演出家 平松禎史のブログ

 


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『劇場版 呪術廻戦 0』12月24日劇場公開決定!

 

 

 

岡田麿里監督作品『アリスとテレスのまぼろし工場』

副監督で参加しています。

 

 

お楽しみに!

 

                  

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今回が今年最後のブログ記事です。

 

2019年後半から2020年半ばにかけて、『呪術廻戦』のキャラクターデザインと総作画監督、序盤の絵コンテを。去年から重ねて『アリスとテレスのまぼろし工場』の絵コンテがはじまって今年はほとんど絵コンテに集中していました。去年4月頃から2年近く在宅業務だったので時間があればブログも書きやすい状況だったんですが、案外そうもいかず、ほとんどの月が5本未満でした。

本当なら映画やアニメの記事も書きたかったんですが、公開情報のシェアの他は経済問題やCOVID-19関連に絞らざるを得ませんでした。

 

来年はもう少し余裕が増えると良いなと思います。

 

さて、年末年始の読書用に2冊の新刊を買いました。

佐藤健志著

 

 

中野剛志著

 

 

です。

 

それ以外にも歴史の本を何冊か読んでますが、今年の締めくくりと来年以降を占う意味でこの2冊を選びました。

 

佐藤さんは、映画や漫画・小説などが意図せず描き出す社会問題を指摘してきた個性的な作家です。中野さんは、政治史を徹底的に調べ直して現代を論評してきた作家で、やはり個性的で稀有な存在。

 

例によってまず、目次とまえがき、あとがきに目を通しました。小説じゃないのでオチを知っても問題ありません。本の概要を知ってから読んだほうが頭に入ってきやすくなるからです。

 

2冊とも、COVID-19パンデミックと政治・経済の動き、世界各国で起きた社会的心理的変容を観察しているところが共通しています。ボクも同様の問題に関心を持ち続けてきましたので、大変納得の行く問題意識です。

そして、両者に共通するのはもう一つあって、それは「現実を観察すること」です。

 

ベネディクト・カンバーバッチ主演のドラマ『SHERLOCK』が好きで2回見通しているんですが、シャーロック・ホームズがワトソンに何度か言うお決まりのセリフがあります。

 

「君は見ているだけで観察していない。」

 

経済問題やCOVID-19においても、「見ているだけで観察していない」と言いたくなる論調が山ほどあった2年間で、今年も同じことが繰り返されました。

 

佐藤さんも中野さんも、著書の末尾には参考文献や論文の出典があげられています。

佐藤さんの方は一部から五部までの合計で390項目、中野さんの方は132項目あります。

こういった論考、解説、提言は、個人の感想だけで語るべきではありません。

中国文学者の高島俊男氏が述べたように、現在を知るためには過去からの声を聞かねばならないのです。自分が生きていない歴史的な事柄を観察し、未来を言い当てた思想家や哲学者などの声を聞くことが重要です。歴史に学び未来に活かす姿勢、観察力が必要なのです。

佐藤、中野両氏の著作は、方法は違っても「観察する」姿勢が守られており信頼がおけます。

 

COVID-19パンデミックによる世界の日本の政治・経済と社会心理の変容をつかむのに、とても良い2冊だと期待できます。

 

*佐藤健志さんからのご連絡で、誤字と脚注数を訂正。失礼しました。ご指摘ありがとうございます。

 

仕事面に引き寄せても、観察力はとても重要です。

アニメーションを作ること、映像演出をすること、どちらも現実を観察して表現に昇華することがキモです。自分の持ち前の感覚だけで描けるのは本当に表面的な一部に過ぎません。それが好評を得られたとしてもすぐにワンパターンに陥って飽きられてしまうか、自分が飽きてしまうでしょう。現実の出来事や人間や動物や木や花や、様々な自然現象を観察して取り入れることが表現の源です。どう表現するかは人それぞれですが、源なしでは、または観察を怠って枯渇させてしまったら、プロの表現者としてお金もらうことはできないのです。

 

 

中野さんの名言に「今年は来年より良い年になるでしょう」があります。

独特の皮肉ですが、要するに来年はもっと悪くなりますよ、という意味。このことばを聞いてから7、8年経ちましたが、その通りに悪くなる一方です。

過去と現実をまっ直ぐに観察すれば、そうとしか言えないわけですね。

板が傾いていけば乗っている玉は転げ落ちていく。板が傾いていく現実を観察しなければ、玉が落ちないよう工夫したところで無意味になるか更に落ちる速度が早まるだけです。理論上は板をピッタリ水平にすれば落ちませんが現実には不可能で、観察して経験を積めば、落ちないよう調整し続けるのが肝心だと気づくはず…。

 

お二人の著作が現実をどう観察し表現しているのか、とても楽しみです。

 

 

 

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