ふるさと回帰支援センター窓口相談者が選んだ移住希望地

 

2021年ふるさと回帰支援センター窓口相談者が選んだ移住希望地

2002年より都市住民への移住支援・情報提供を行っている特定非営利活動法人 100万人のふるさと回帰・循環運動推進・支援センター(東京)は、相談者・セミナー参加者を対象に、地方移住に関するアンケートを毎年実施している。

【調査概要】

調査対象:ふるさと回帰支援センター(東京)窓口利用者(相談者)、主催・共催セミナー・相談会等参加者

調査手法:上記対象者へのアンケート(相談カード)

調査時期:2021年1月5日~12月26日

回答数:10,931件

 

1 移住相談の傾向

   新型コロナ禍にも関わらず、移住相談件数はV字回復を見せ、過去最高の件数に。

ふるさと回帰支援センターへの2021年の相談件数(面談・電話・メール・見学・セミナー参加)は、前年比で約29%増の49,514件となった。これは、これまでの過去最高の件数を数えた2019年(49,401件)を上回り、過去最高の相談件数を更新した。2021年は依然として新型コロナ禍にも関わらず、新型コロナの影響をもろに受けた2020年の相談件数(38,320件・前年比22%減)の落ち込みからV字回復をした。また、移住相談会・セミナー等の開催数は、前年比で約61%増の562回を数え、相談件数同様、過去最高の件数を数えた2019年(545回)を上回り、過去最高のセミナー開催数を更新した。内訳は、オンラインが464回(82%)、MIX (オンライン+対面)が55回(10%)、そして、対面が43回(8%)であった 。

 

   窓口相談者では昨年に続き静岡県が1位に、セミナー参加者では広島県が1位に。

2021年の移住希望地ランキングは、新型コロナの影響によりオンラインセミナーが増えた。

窓口相談では、昨年に続き、全ての年代からの人気が高かった静岡県が1位となった。静岡県は、市町と連携して移住フェアやセミナー、出張相談会等を数多く開催し、その参加者が窓口相談につながった。また、大きくランクアップしたのは、14位の鹿児島県(昨年の20位から6ランクアップ)、5位の群馬県(昨年の10位から5ランクアップ)、13位の山口県(昨年の18位から5ランクアップ)であった。加えて、昨年の20位以下から、京都府(17位)、熊本県(18位)、新潟県(20位)がランクインした。このことから、2020年は、東京近郊の人気が顕著であったが、2021年は、その人気が東京近郊以外の全国にも広がったと言える。

 

   セミナー参加者では、広島県が1位となった。ちなみに、広島県の年間のセミナー回数は39回であった。広島県は、窓口相談での相談傾向を独自に分析し、県庁自らでセミナーを企画し、移住相談者のニーズに即したセミナーをタイムリーに実施することで、セミナー参加者の人気を集めた。また、大きくランクアップしたのは、2位の愛媛県(昨年の8位から6ランクアップ)、13位の神奈川県(昨年の19位から6ランクアップ)、5位の福島県(昨年の10位から5ランクアップ)、12位の山形県(昨年の17位から5ランクアップ)であった。加えて、昨年の20位以下から、群馬県(10位)、石川県(13位)、宮崎県(17位)、鹿児島県(18位)、栃木県(19位)がランクインした。

 

   移住相談の傾向としては、まずは、相談者の性別を見ると、2014年以降、着実に女性の割合が増えていることがわかり、2021年は、過去最高の45.4%であった。次に、相談者の年代を見ると、20代が2021年は、過去最高の21.9%であった。このことから、地方移住に対する女性、若者の関心が高まっていることがわかる。そして、希望する就労形態を見ていくとテレワークを希望する割合が3.3%で、昨年から1.5%増え、増加傾向であった。ちなみに、テレワークを希望する年代は、1位が30代(39.8%)、2位が40代(31.4%)であった。このテレワークの動向については、今後も注目をしていきたい。

 

2 テレワークの普及で地方移住が進む?

    昨年4月の緊急事態宣言以降も、テレワークを恒常化したり拡充する企業も見られる

内閣府「第2回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」によれば、2020年12月の東京都23区のテレワーク実施率は42.8%。昨年、緊急事態宣言が発出された後の5月の実施率48.4%と比較して減少してしまってはいるものの、全国の21.5%や地方圏の14.0%と比較すると東京のテレワーク実施率は高いといえる。

   テレワークをするにあたり、気になるのが自宅での仕事環境の快適さだ。広い部屋に引越しをしたい、恒常的にテレワークが許可されるなら勤務先から遠くても許容できるかもしれない…と、住まい選びの条件や選択肢に変化があった人もいるのではないだろうか。