オヤジが思う『牛乳づくり』 | オヤジ!牛が脱走した!! ~加勢牧場ブログ~

オヤジ!牛が脱走した!! ~加勢牧場ブログ~

新潟県長岡市(旧わしま村)で「ガンジー牛」と言う珍しい品種の乳牛を飼育している小さな牧場のブログです。「ガンジー牛乳」から作られるソフトクリームは、新潟で一番売れているソフトクリームです☆

こんにちは!

 

加勢牧場の加勢健吾です☆

 

今日は加勢牧場の創業者で、肩書は 『代表取締役』 ではあるものの

 

経営の実務は息子である僕に任せ、牛さんのお世話のみに全力を尽くす 『Mr.乳搾職人』 こと

 

僕のオヤジ・・・加勢勉が考える 「最高にウマい牛乳」 についてのお話です☆

 

 

オヤジは18歳(高校3年生)の頃から牛を飼い始め、酪農人生50年の大ベテラン。

 

言っておきますが、息子である僕がドン引きするくらいの変態っぷりっす。

 

そんなオヤジの考える 「最高にウマい牛乳」 を語る前に、まずは 「美味しさの定義」 についてのお話をさせてください。

 

「美味しさ」 を数値で表すことって難しいのです。 どうしても個々人によって趣味嗜好が異なってきますからね。

 

なので 『食』 に携わる人間は、基本的には 「自分自身が最高だと思う味」 を突き詰め

 

それをお客様に 

 

「どうだ? 美味いだろ?」

 

と言って、口にしてもらい

 

それを食べた(飲んだ)お客様が目を見開いて

 

「なにこれ!? スゴイ美味しい!」

 

と言ってもらえると、心の中で

 

「よし!!!」

 

と思って、商売そっちのけで大喜びをする・・・という一面があると思います。

 

オヤジも同様です。

 

なので、オヤジの考える 「最高にウマい牛乳」 というものは、オヤジ自身の理想や考えに基づくものなので 『絶対』 ではありません。

 

あくまでも価値観の1つです。

 

ただ・・・

 

自分のオヤジのことなので、あまり褒めたくはないのですが

 

牛飼生活50年という、職人の経歴としては十分とも言える歳月と

 

取引先は、百貨店や高級スーパーをはじめ、ミシュランの星付きレストランや日本航空のファーストクラスの料理にも採用されるなど

 

「牛乳」 という食材を生産する職人としは、経験値&実績だけはあるのですよ(=_=)

 

 

そんなオヤジが考える 「最高にウマい牛乳」 の定義。

 

それは栄養成分の数値。

 

 「美味しさは数値では表すことは難しい」

 

・・・と言いながら、早速数値にこだわるという変人っぷり。

 

例えば 「乳脂肪分」 「無脂乳固形分」 をはじめ 「カルシウム」 や 「乳糖」 といった牛乳に含まれる数値に強いこだわりがあるのです。

 

たとえば、乳搾りで使う機械。

 

 

バケットミルカー という、ガラスのバケツに、搾った牛乳が溜まる仕組みになっているのですが

 

このバケツで1頭1頭搾って行き・・・

 

 

牛乳を冷やすタンク(バルククーラー)まで人の手で運び入れていきます。

 

ただ・・・

 

実は、もっと楽に搾乳をすることが可能なのです。

 

牛さんたちの頭上に2本のパイプがあるのですが

 

これは 『パイプライン』 という名前の機械で、このパイプラインの中に、搾った牛乳を走らせて、先ほどのバルククーラーの中に自動で牛乳が入っていく仕組みがあるのです。

 

 

しかし・・・

 

「パイプラインに牛乳を走らせると、乳成分が低下するからダメ!」

※自社検査をしたところ、牛乳をパイプラインで走らせると乳成分が低下することが実証されたため。

 

と言って、数百万円かけて導入した機械を一切使用しない・・・という、狂気の沙汰としか思えないことをし始めるのです。

 

 

このバケツ・・・牛乳が入るとかなり重いんですよ!!!!

 

これをバルククーラーまで毎度毎度人力で持って行くのです。

 

どう考えても生産的ではありません。 ただし、オヤジは平気でやります。

 

 

他にもまだまだ・・・。

 

僕の仕事の1つに情報発信があります。

 

ブログをはじめ、様々なSNSやチラシの記事を書いたり、テレビ、雑誌、ラジオ等の打ち合わせをの段取りは基本僕が行います。

 

※マスコミ屋さんとの打ち合わせまでは僕がやり、実際に出演するのはオヤジになりますが・・・

 

そんな仕事をしていると、どうしても

 

「マスコミウケの良い画」

 

と言うものが分かってきます。

 

そして、それを踏まえて僕はオヤジに提言をしました。

 

「牛たちを放牧をしてくれ!」

 

と・・・。

 

結果は有無を言わさず却下でした。

 

もちろん理由は 

 

「乳質が悪くなるから」

 

です。

 

この写真・・・

 

 

良く加勢牧場のイメージ風景として使うもので、この写真を見ると

 

「加勢牧場は牛を放牧で育てている」

 

と、勘違いをしてしまう方も多くいると思います。

 

決して、この写真は嘘ではありません。

 

しかし、写真の牛さんたちを良く見てください。

 

生後半年から1歳半くらいの、とっても若い牛さんたちばかりなのです。

 

若い牛さんは外で遊ばせておりますが、出産を終え、実際にお乳を搾ることができるようになった牛さんは外で遊ばせることはしないのです。

 

オヤジいわく

 

「外で遊ばせるとケガをする。変な草を食べる。ダニが付く。こういったことで乳質が著しく悪くなるんだよ。」

 

「若い牛は外で遊ばせて身体を丈夫にするという目的から放牧をするけど、実際に乳を搾るようになったら放牧はさせてはダメ!」

 

「俺が若いころ、放牧に憧れて何回か挑戦したけど、良かったことなんて 『見た目』 以外は何もない。」

 

「放牧した方がストレスが解消されて良い牛乳が搾れるなんていうのは人間の勝手なイメージでしかない。実際は放牧によるストレスで乳質は悪くなる一方だよ。」

※東北酪農研究センターによる放牧牛と尿中コルチゾール(ストレス成分)の検査にて実証されています。

 

と、完全否定してきます。

 

僕としては

 

「もう少し映えるような牧場にして欲しい・・・」

 

と、切に願うのですが

 

「俺が引退してから好きにすればいい」

 

とのこと。

 

極めつけは牛さんたちに与えるエサです!

 

加勢牧場では基本的にアメリカやカナダ、オーストラリアから輸入したエサを与えています。

 

昔、オヤジは自身で育てた牧草を与えていたそうなのですが

 

新潟の高温多湿の気候では、牧草の乾燥がうまくできずに品質の悪いものが出来上がり、

 

それを与えた結果として乳質が悪化した・・・。

 

とのことで、品質が安定している輸入飼料を与えているのです。

 

「輸入品の方が品質が良いし、品質の悪いものは買わきゃいい。」

 

「下手に自分たちで作ってしまうと、悪いと分かっていてもそれを与えてしまう。」

 

「牧草を作っている仲間に頼んでも一緒。人間関係の都合から出来の悪いものでも与えてしまう可能性がある。」

 

と、頑なです。。

 

情報発信を担当する僕としては、コシヒカリの米粉あたりを牛さんたちに与えて

 

「美味しさの秘密として、地元産のコシヒカリを粉末にして与えてます!」

 

とか言いたいのですが、

 

それを一蹴して

 

「米粉はあまり喜んで食べないし、乳質にもほぼ変化を与えないから与えない!」

 

と、言い切ってしまうでした。。。

 

まあ、たまにオヤジの酪農仲間からもオヤジのやり方には異論が出てくるそうなのですが

 

「俺は俺のやり方で、最高にウマいものを作っている!」

 

「違うと言うなら、勝手に自分でやれば良い!」

 

と、まさしく硬派な職人魂を見せつけてくれるのですが

 

息子の立場としては

 

「もう少し柔軟になってもらいたい・・・」

 

と、切に願うのでした(^^;

 

 

 

 

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