硝子舞台での三番叟【能楽観賞日記】#29

日本全国 能楽キャラバン!
能楽協会主催
神奈川特別公演 江之浦

2022年11月16日(水) 開演14時
小田原文化財団 江之浦測候所

【江之浦測候所とは?】
AXIS Magazine:構想10年、建設10年。
杉本博司の江之浦測候所はこんなところでした。
https://www.axismag.jp/posts/2017/10/83087.html

小田原にある江之浦測候所にて能楽鑑賞をしてきました。

前回に引き続き、こちらも地元駅から電車1本一時間強で行けるので楽でした。ただ、遠くなるほど遅延に巻き込まれる可能性が高まるので、どれくらい早く行くのがベストなのか迷うところです(この日も電車ちょっと遅れてた(苦笑))

最寄り駅の根府川駅は無人駅ですが、海と山に挟まれた絶景ポイントになっていて、とても心地の良い場所でした。てか、大人になってから自然溢れる場所に行く機会ってなかなか無かったので、これも萬斎沼にハマって良かったポイントのひとつかもしれない(笑)

某灰色バンドさんの場合、行く場所は大体固定だからね(横アリか、たまアリか、都内の何処かw)

根府川駅からは小型の送迎バスで江之浦測候所へ向かうのですが、ここでちょっとしたトラブル発生。送迎バス2台の予定が何故か1台しか無く当然、全員乗りきれない。私は早めに着いてたから乗れたけど…。

運転手のおっちゃんが電話を掛けるも繋がらないらしく、「このお客さん降ろしたら戻ってくるから待ってて」と、駅で待つお客さんに言い残して、バスは予定の時間を待たずに第一陣を乗せて出発。「こんなことに初めてだよ~。皆、苦情いれた方が良いよ~、払い戻ししてもらいな~」と運転手のおっちゃん。ちょっとオモロイなw

バスの中からも大きな海が見えて、また緑も多くて、短い時間だったけど子供の頃に経験した遠足を思い出してプチ遠足気分に。

江之浦測候所に到着すると運転手のおっちゃんは「この坂道登った先だから~」と軽いノリで道案内しながら降ろしてくれました(笑)

入場したら、まずは硝子舞台がある場所へ。自由席なので人の流れに付いて行ったら、2列目のハジッコが空いてたので、そこを確保出来ました。客席は階段上になってるので、どこでも観やすかったと思いますが、少しでも前で観たいという、いつもの癖で何となく前に…😅

終演後に撮った硝子舞台の写真

三番叟

三番叟:野村萬斎
 千歳:野村裕基

 笛:竹市学
小鼓:大倉源次郎
脇鼓:飯冨孔明・清水和音
大鼓:亀井広忠

*・*・*

解放感溢れる硝子舞台での三番叟は、いつもと違う雰囲気で、場所的に、とても芸術的な雰囲気が漂っていました。海を背景に青空の下で舞う裕基くんと萬斎さん、とっても素敵でした👍✨

てか、天気に恵まれてホントに良かった!この日は太陽の日差しが丁度良くて、観ているこちらも心地よかったです。

演者の声の響きも、お囃子も、鈴の音も、風に乗って届けられるその音は屋内で聞くより妙にリアルで、これは配信では味わえなかったなと思い(後日、有料配信予定アリ)、思いきって観にきて良かったです。てかキャパ的に良くチケット取れたなと思う(もちろん瞬殺でした😅)

何の囲いもされていない硝子舞台なので、一歩間違えば事故に繋がってしまうからか、舞台上に居る全員からは、いつも以上に緊張感が伝わってきました💦

硝子舞台なので、萬斎さんの足拍子の力強さは以前観たものに比べると控えめだったけど(てかいつもの調子でやったら足痛めちゃう💦)その分、足拍子に込める力強いオーラを脚全体からいつも以上に感じました。やはり三番叟=踏むものなのだと再確認。

以前、某薪能で三番叟なのに所作板を用意してもらえず、足を痛めた😱という話をされていたので、硝子舞台だって足を痛めるのでは?🤔大丈夫なのかな?と思っていたのですが、身体に負担かけない足拍子にした分、一歩一歩の動作をより丁寧に気持ちを込めて踏んでいたのかもしれません。

いつもとは違う三番叟でも、萬斎さんが三番叟にかける想いは変わらず…そんなことを勝手に感じました😌

因みに上手に囃子方、下手に一門の方達が座ってたので、推し様的にはちょっと舞台が窮屈そうに感じました😅人が目付柱の代わりになってたのかもしれませんが。

あと当然ですが硝子舞台だと足拍子をした時の音が変わるのが興味深かったです。

開演前に撮った写真。青一色。

萬斎さんが後ろを向いたとき、装束が青かった(⚡柄のやつ)ので、海と青空という背景に溶け込んで吸い込まれて行きそうで、とても絵になってました。太陽の暖かい日差しに照される萬斎さんの姿も素敵で、今でも心に残っています。

足拍子も音が鳴らない分、一歩一歩、空から硝子舞台に降り立つかのように踏んでいたので、いつもはダイナミックな足拍子の音から活力を貰っていたけど、この日は神事というよりも、美しい芸術品を観たような気持ちになりました。

萬斎さんと江之浦の自然が一体化し、まさにこの日しか観れない、屋内では味わえない、唯一無二の三番叟でした😌

余談ですが、演者が登場した時は、単純に「やっぱ裕基くん(身長が)デカイなァ」と感じたけど、三番叟が終わって去るときは、雰囲気的に萬斎さんの方が大きく感じました😳

父の背中はやはり偉大なのだなァ😌

終演後に撮った石舞台の写真

能 観世流「松風」

※一部短縮した構成となります

シテ(松風):観世銕之丞
ツレ(村雨):観世淳夫
ワキ(旅僧):宝生欣哉

 笛:竹市学
小鼓:飯冨孔明
大鼓:亀井広忠

後見:清水寛二・鵜澤光
地謡:西村高夫・柴田稔・小早川修・桑田貴志・谷本健吾・安藤貴康

【あらすじ】旅の僧(ワキ)が須磨の浦を訪れ、いわくありげな松の木の前で足を止める。在原行平の寵愛を受け、悲恋の末にこの世を去った松風・村雨という海女の姉妹に所縁のある木だと聞いた僧は、哀れに思い弔う。僧は、日も暮れたので浜辺の小屋に泊まろうとすると、小屋の主である海女の姉妹(シテ・ツレ)が現れ、汐汲みを始める。姉妹は、相手が僧と知って宿泊を許し、自分たちこそ松風・村雨の霊であると明かす。松風は行平の形見の衣を身につけて恋慕の思いを強くしていき、松を行平に見立てて狂乱の舞を舞う。

*・*・*

三番叟の後は、石舞台に移動して能「松風」へ。
運良く最前列を確保出来ました。

初めて観る演目なので、どこら辺が短縮されてたのか分からないのだが😅

でも、シテ・ツレの姉妹が素敵で、最後まで集中して観てしまいました。終わる頃には、ちょっと肌寒くなってました😅

こちらの石舞台では、青空と大きく広がる山が背景に。こちらは普通に地上に設置されてるので安心感があります(笑)。てかお能と山の組み合わせ、絵になるんだなと思いました😌

風に揺られる笹の音と鳥の鳴き声と共に演じられるお能はとても風流があり、また照明が太陽光だけなので、薪能とはまた違った魅力を感じました。能楽と自然が一体になった瞬間でした。

こういった事が出来るのも、能楽は大道具や豪華な舞台装置を必要としないものが殆どだからなんでしょうね。とても良い企画でした😌

▼前回の能楽鑑賞日記はコチラ

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