お釈迦様が出家されて修行中の頃の話です。
何時もの様に瞑想に入られていると
弟子の一人が慌て駆け込んで来てお釈迦様に、
大変です!
隣国が大勢で私達の国に攻め込んで来て
民は皆、逃げ惑っています。
私達も早く逃げましょう。
と告げたのです。
それを聞いていたお釈迦様は目を開く事もなく
弟子をなだめて静かに言い放ったのです。
舎利子よ、私が何故修行をしているか教えよう。
世の争い事、憎しみ、恨みは全て煩悩の人間が生み出しているのだよ。
私はその人間に潜む欲や愚かさや
無慈悲をなくす為に真理を追求しているのです。
これが完成すれば悟りの境地となり
万人に伝える事が出来るのです。
やがてこの世から争い事もなくなるのだよ。
これを聞いた弟子の舎利子は
改めて師の偉大さに気付かされたのです。
お釈迦様にとっては悟りに比べれば
戦争でさへ大した事ではなかったのです。