さて、ビートルズです。

私のビートルズとの出会いは中2のときでした。
ビートルズ好きのクラスメートがいて、
欲しい奴みんなにカセットテープに編集した
ビートルズの曲を配ってたりしてました。

私もそのクラスメートにカセットを2本渡して
ビートルズを手に入れました。
1本はそいつの趣味で編集したテープ、
もう一本は『サージェントペパーズ』でした。

編集した方のテープは、
「キャント・バイ・ミー・ラヴ」「エリナー・リグビー」
「ザ・ナイト・ビフォア」なんかが入ってたはずで
すぐに気に入りました。
(今、気が付いたけどポールの曲が多かったんだな)

『サージェントペパーズ』の方は、
「いい曲もあるけど、やや地味だし、なんか気持ち悪い曲があるなあ」
と感じて、そのときはあまり気に入らなかった記憶があります。
(今でもビートルズのアルバムの中では、それほど好きな方じゃない)

その後、父親のレコードラックから、ベスト盤『オールディーズ』を見つけたり、
当時あった貸しレコード屋でオリジナルアルバムを借りたりして、
ビートルズのコレクションが増えていきました。

その当時(80年代前半)に思ったのは、
”新しいレコードを借りてきても、大体どこかで聞いたことがある曲が多い”
ということです。

ラジオなどでよく流れていたのもあるでしょうが、
映画の主題歌だったり、子供番組のBGMに使われていたりで、
それと知らなくてもビートルズの曲には
既に馴染んでいた、といってもいいでしょう。

もちろん今でもですが、ビートルズというのは
当時すでに伝説のバンドになっていました。
まあ、ジョン・レノンが殺されてしまったことが大きいとは思うんですが、
やはりいろんな意味でスケールが違うバンドなんですね。


「フロム・ミー・トゥ・ユー」 From Me To You
は、ビートルズの3枚目のシングルで、
初の全英No.1となった曲です。
(メロディ・メーカー誌では、前作「プリーズ・プリーズ・ミー」が1位になっているが)
ですが、その割に不当に評価が低いような気がします。

ビートルズファンはもちろん、若くてビートルズに詳しくない人でも、
「プリーズ・プリーズ・ミー」(最近もCMで使われてますね)や、
次のシングル「シー・ラヴズ・ユー」と、
その次の「抱きしめたい」は大体の人が聞いたことがあるはずです。

しかし、同じ初期のヒットシングルでも、
「フロム・ミー・トゥ・ユー」の認知度、人気度はそれほど高くありません。

今回、気になって、いろんなサイトを調べてみました。
カラオケ解説サイトにあった「ビートルズカラオケ人気曲ランキング」では
30位以内に入っておらずランク外、
その他、いろんなサイト、ブログでビートルズ曲ランキング、人気投票がありました。
(アクセス数が稼げるのか、予想以上に多かった)
が、「フロム・ミー・トゥ・ユー」がランク上位に入っているものは
ほとんどありませんでした。

唯一、rockin'on誌のサイトに載っていた記事
イギリスのMojo誌の「ミュージシャンたちが選んだビートルズ101曲」
で、47位に入っていたのが目立つ程度。

そして、2010年1月発表の、
リマスター盤発売にあわせて行われた人気投票では、
なんと、213曲中115位でした。真ん中より下!
「すてきなダンス」とか「サボイ・トラッフル」より
下位とはどういうことだ!?
どちらも私は大好きだが、割とマイナーな曲で、
人気投票でこれらの曲より下ってのは、いくらなんでもひどい。

まあ、人気がない理由ってのも、いくつか思い当たることが、なくはないです。

まず、アメリカでのヒット曲ではないこと。
前述の初期シングル3枚はいずれもアメリカで大ヒットしている。
「抱きしめたい」、「シー・ラヴズ・ユー」はいずれもチャート1位で、
年間ランキングでも1位と2位。
タイミング的にアメリカでのリリースが後になった
「プリーズ・プリーズ・ミー」も3位まで上がったが、
「フロム・ミー・トゥ・ユー」は、その「プリーズ・プリーズ・ミー」のB面扱い!
(20代以下の若い人は、”B面”という言葉の意味がわかるのだろうか・・)

ちなみに「イエスタデイ」は、イギリスでは当時シングルではなく、
アルバム『ヘルプ!』のB面6曲目という地味な位置の曲だったが
アメリカではシングルカットされて1位になった。
「イエスタデイ」は確かに名曲ではありますが、
ここまでスタンダードになっているのは
多分、アメリカで大ヒットしたことが一番の要因ではないかと思います。

話がそれていくね。まあいいや。
ビートルズ人気投票とかっていうと定番の曲がありますね。

「イエスタデイ」「レット・イット・ビー」「ヘイ・ジュード」など
ポールの超メジャーな曲。

芸術性の高そうな
「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」
「イン・マイ・ライフ」「レイン」など。
(ジョンの曲がほとんど)

ジョンが大好きで、ちょっとひねくれたような人だと
「アイ・アム・ザ・ウォルラス」「ハピネス・イズ・ア・ウォーム・ガン」など。

ジョージの美しい曲
「サムシング」「ヒア・カムズ・ザ・サン」「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」。

ポールの美しい曲でも超定番ではない
「エリナー・リグビー」「フォー・ノー・ワン」「ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア」など。
(全部『リボルバー』だ)

あとはさっきから話に出ている
「抱きしめたい」「シー・ラヴズ・ユー」「プリーズ・プリーズ・ミー」や
「キャント・バイ・ミー・ラブ」「ア・ハード・デイズ・ナイト」など
初期のメジャーな大ヒット曲。

「フロム・ミー・トゥ・ユー」は、
何故だか、この初期の大ヒット曲群に入れてもらえないことが多い。
同じシングル曲で「ペイパー・バック・ライター」なんかより
順位が下だったりする。なんでだ?

ここまでが前振りです(長かった・・)。


今回「フロム・ミー・トゥ・ユー」を書こうと思ったのは
1か月ほど前に本屋で立ち読みした
「ビートルズ213曲全ガイド」という本のなかでこの曲のことを

”ビートルズの初期シングルの中では普通な感じで、なんとなく印象が薄い”

みたいな内容が書いてあったから。
立ち読みなので表現はうろ覚えだが、大意は違ってないです。

はあ・・・。

まあ感じ方は人それぞれですが
この本の著者は、ビートルズ関連の書籍もたくさん出してる人なんですよね。

そういう人が、「フロム・ミー・トゥ・ユー」を ”普通” かよ。

ビートルズの評論本、紹介本てのは
最近でも、たくさん出版されていて、
私も本屋で見つけると、立ち読みしたり、
面白そうだったら、値段が高くなければ買っちゃったりするんですが、
ほんとに玉石混淆というか、いろんなのがあります。

リアルタイムで聞いていた人の実体験に基づいたものや
ビートルズの思想に踏み込んだものは、
自分と意見が違ったりしても、まあ納得して読めます。

全曲紹介みたいな個々の曲にまつわる本は、
著者に音楽全般についての深い知識がないと
大概つまらないものが多いです。

私が持ってる本で、まあ面白く読めたのは、
2003年発行の中山康樹 著「これがビートルズだ」でしょうか。
(この著者は今年亡くなられたようです)

「アイ・アム・ザ・ウォルラス」や「ハピネス・イズ・ア・ウォーム・ガン」など
後期のジョンの一連のひねくれた曲を思いっきりけなしてたり、
デビュー曲「ラブ・ミー・ドゥ」を”凡曲”と言い放っていたりして
結構過激でしたが、楽しく読めました。

ああ、また話がそれた。

「フロム・ミー・トゥ・ユー」は”普通”じゃないんだよ。
確かに「抱きしめたい」や「シー・ラヴズ・ユー」に比べれば
インパクトは薄いかもしれない。

でも、とても哀しい(”悲しい”ではない)曲だし、
音楽的にも斬新な曲だと思うし、
数少ない、ジョンとポールの本当の共作のなかでも、
「抱きしめたい」や「シー・ラヴズ・ユー」みたく
狙って作った曲じゃないんだよ。

そしてなんといっても、

”可愛い”曲なんだよ。


とても長くなってしまったので、
ここでいったん終わりにします。

続きは次回に。

 
音楽 ブログランキングへ