『ススキ竿』その8:ススキ竿での釣り③ | 釣り工房 海幸彦

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自作釣り具を使った釣りの紹介です

(前回の記事からの続き)

 さて、今回は、過去に私がススキ竿でファイトした魚の中で最大の魚を紹介させていただきます。その魚は、野鯉でした。サイズは尺をゆうに超え、下手すると40センチあるのではないかというシロモノでした。ふつうに考えて、ススキ竿のスペックの限界を超える魚です。結局、その姿は拝んだものの、キャッチはできなかったので、サイズは目測でしかありませんが、「逃がした魚はデカく感じる」という釣り人の心情を差し引いても、少なくとも、尺は間違いなく超えていました。
 この魚が掛かった時は、ススキ竿の限界を超えるかもしれない重量感に、竿が折れることを覚悟しましたが、折れることこそススキ竿の魅力、覚悟を決め、その限界ギリギリのファイトに手に汗を握ったのでした。しかし、ここで正直に申しておきますと、実はこの魚、魚体はかなり傷んでおり、鈎に掛かる前から随分弱っていたように見受けられました。この魚に通常の体力があれば、おそらく為すすべなく竿を折られていたのではないかと思います。ともあれ、ふつうならやり取りすら極めて困難なクラスの魚とギリギリのファイトを展開し、時間をかけて取り込みまであと一歩というところまで迫ったのです。
 ススキ竿では、基本どんなサイズの魚でも竿で抜き上げることはしません。寄せられるだけ寄せたら、糸を掴んで魚を引き上げます。竿で抜き上げようとしても、竿がどこまでも曲がって魚を持ち上げられないし、そこそこの大きさの魚を抜き上げようとすると折れてしまうからです。この魚も、疲れるだけ疲れさせてギリギリまで寄せるところまでは成功しました。しかし、魚を寄せていざ引き上げようと糸に手を掛けた刹那、プツンとハリスが切れてしまったのです。この時使用していたハリスは0.6号、本来このサイズの魚の重量に耐え得るものではありません。糸に手を掛けたことにより竿の柔軟性による衝撃吸収能力を失った途端、その細糸が魚の重量に耐えられなくなり切れてしまったのでした。玉網を準備していれば獲れていたかもしれませんが、ススキ竿での釣りにおいては玉網を使わなければならないような魚の獲り込みは想定していませんでした。と言っても、ススキ竿の限界を超えるような魚とギリギリまでやりあえたことの満足感の方が、バラした悔しさをはるかに上回っていたのでした。
 では、この魚とのやり取りの動画をご覧いただきたいと思いますが、その前にひとつ言わせてください。下の動画は、やり取り全体の中のかなり終盤部分を録画したものです。魚が掛かってから浮かせるまでは、その尋常ならざるファイトにカメラを構える余裕などありませんでした。充分相手を疲れさせた後、魚を浮かせその姿を目視した瞬間、その大きさに驚愕し、これは記録を残しておかねばと慌ててスマートフォンを手にとり何とか撮影したもので、ファイトシーンとしての山場は超えた後なのです。では、どうぞご覧ください。





・・・つづく


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