・夫餘国は玄菟郡の北千里に在る
・南は高句驪と東は挹婁と西は鮮卑と接してる。
・北に弱水がある。広さは方二千里。元は濊地であった。
ここは三国志に書かれているのと同じである。「元は濊地」について、三国志は古老の話や、古い城で濊城があること等を記載していた。昔は濊族の地で、彼らは朝鮮半島に南下していき、夫餘国ができたのだと思われる。
夫餘国の初代王、東明についての記載がある。三国志では、魏略からの引用で記載があった。
・北夷の索離国の王が外出中に侍女が妊娠。
(魏略では稾高離国。外出中という記載無し)
・王が帰ってきて、侍女を殺そうとする。
・侍女は、天から鶏卵のような大きな気が自分に降りてきて妊娠したという。
・男の子が生まれ、王は豚小屋に放置するよう命令する。
・豚は口で息を吹きかけ、赤ん坊を死なせなかった。
・赤ん坊を馬小屋の仕切りに移したが、馬が息を吹きかけて、死なせなかった。
・王は神の仕業だと思い、母親の侍女に育てさせた。
(魏略では、王は天の子ではないかと思った)
・東明は成長して、弓の扱いが上手くなった。王はその勇を畏れて殺そうとした。
(魏略には、東明は常に馬の面倒を見ていたという記載がある。王が殺そうとした理由は、国を奪われるかもしれないと疑ったため。)
・東明は南に逃げて、掩[氵虒]水に逃げた
(魏略では、川の名前は施掩水。)
・水上を弓矢で撃つと、魚やすっぽんは皆集まって水上に浮び、その上を渡って逃げていった。
(魏略には、追っ手の兵達が来ると、魚やスッポンは水の中に潜り、兵達は川を渡ることができなかったとある)
・夫餘の地まで逃げて、王になった。
(魏略には、夫餘の地で都を作り王となったとある)
後漢書も三国志も大まかな流れは同様である。唐の章懐太子李賢の注で、掩[氵虒]水は高麗の蓋斯水のことだろうとある。ただ、夫餘は満州にあったので、この注は間違っている。索離国は夫餘国の北にあるので、満州北部の河川と思われる。ひょっとしたら弱水がそれに当たるかもしれない。漢時代には索離国はなく、匈奴、鮮卑、烏丸、夫餘のいずれかに滅ぼされたのだろう。