近年、「ワークアウト」などと言って、筋トレにハマっている方も多いですが、
見栄えがするように、筋肉を大きくするためのトレーニングというのは、身体の一部分に負担をかけて破壊し、超回復することを狙う、という、
「下手な身体の使い方の練習」みたいなものですから、
それを脳が記憶することで、大胸筋や僧帽筋、腹直筋、広背筋、大腿四頭筋といったアウターマッスルが常に過緊張の状態に
肩凝りや腰痛、膝や肘の故障などが起きやすい身体の状態を作ってしまったりします。
筋力を鍛えることのそもそもの目的は、運動パフォーマンスを上げたい、正しい姿勢を保って身体の痛みを無くしたい、などであったはずなのに、その目的がいつの間にかすり替わり、
極端にいえば、「大きな筋肉をつけるという目標を達成するためなら、身体がちょっとくらい動きにくくなったり、壊れてもいい」というような、
『本末転倒』の状態に陥ってしまっている人も少なくないのではないように思います。
乗馬においても、馬場馬術というのは本来、 馬にとっての理想的な動きやバランスを考え、それを最終目的としたトレーニング段階に応じた運動課目を作り、出来栄えを評価することで馬の調教度を測る目安として調教や騎乗技術の向上を図る、というような目的があったのだろうと思いますが、
そうして各レベルごとの競技会が行われるようになると、
〇〇課目で何%取れる馬なら〜百万円で売れる、とか、就職や進学のために〇〇クラス競技での入賞実績が必要、といったような目的のために
見栄えの良い動きをして審判にアピールし、高い評価を受けるためのテクニックといったものが生まれ、それを知るコーチが優遇されたりすることで、
未熟な人馬に無理矢理高いレベルの課目で行うような技を強いることによる勘違いや故障、悪癖の固定化が頻繁に起こるようになってきて、
心身に問題を多く抱えた人馬をたくさん生んでしまっている、というようなことに心当たりのある方も少なからずいらっしゃるのではないかと思います。
競技志向の強い人たちの言動を見ていると、
「競技で勝って自分の評価や馬の価値が上がるなるなら、身体の使い方などは下手でもいい」
「頑張っている実感が得られるなら、心身が多少壊れてもいい」
というような、ある種の倒錯した価値観すら感じることがあります。
それこそ、「健康のためなら死んでも構わない」というのと同じ「本来転倒」というものではないかと思うのです。
皆さんの肩には、『ホンマツテントウ虫』
止まっていませんか?
(^^)