どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

金の瓜と銀の豆・・中国

2021年10月13日 | 絵本(昔話・外国)


    金の瓜と銀の豆/チャオ・エンイ・文 ホー・ミン・絵 君島久子・訳/ほるぷ出版/1980年


 むかし、金庫山のふもとに、ふたりのとしよりがすんでいました。
 ふたりは荒れ地に少しばかりの瓜や豆をつくって、まずしく暮らしていました。

 ある年、日照りがつづき作物が全く育ちません。
 そんなある日、ふたりは畑のなかに2つの芽が出ているのを見つけました。
 朝に夕に土をかけ、草をむしり、遠くから水をくんできて、大切に育てていると、やがて金の瓜と銀の豆から男の子と女の子が生まれてきました。
 金瓜児(チン・クワル)、銀豆児(イン・トオル)と名付けられた二人の子どもはとても働き者で、クワルは、とうさんをたすけて畑をつくりました。野菜は一面にみのり、あれはてた土地はすばらしい果樹園にかわります。

 トオルは、かあさんをたすけて家のしごとを手伝います。
 料理をつくれば調理師よりうまく、ちからは男勝り。にわとり、あひる、がちょうを買い、家の仕事はなんでも上手に切り盛りし、かあさんは、もう一安心です。

 ある年、クワルの畑に大きな大きな冬瓜がなり、クワルは冬瓜王子と皮にきざみます。

 トオルのかっているにわとりのなかには、大きな大きなおんどり。ひとこえ時を告げれば、太陽をよびだし、はばたけば雲の上まで飛ぶこともできました。トオルは、オンドリの首に小さなふだをつけ、おんどり将軍とかきました。

 ところが美しい果樹園をみつけた地主が、わしの土地に、畑をつくりながらどうして年貢をおさめんのだと難癖をつけます。

 もともと荒れ地で、わしらが40年もかけて、やっと畑になった土地で、果樹も息子がうえたものと、おじいさんはいいますが、地主は土地の証文をもちだし、金銀10両を年貢として、だせといいます。

 なんでも金庫山には、金や銀があるそうだとクワルとトオルは金庫山にやってきます。

 いくらつるはしで山をほりかえし、シャベルでえぐっても金銀ひとかけらもみつかりません。
 そこへおんどり将軍がやってきて、山をもちあげると、下には金、もうひとつの山からは銀。
 持ち上げられた山は冬瓜王子がささえていました。

 ところが、地主は金銀のあり場所を聞き出し、もっと多くの金銀を手に入れようと、冬瓜とおんどりを、無理やり奪い去っていきます。

 地主はおんどりに山をつかませ、冬瓜に山をささえてもらって、山の下の金銀、真珠、琥珀、瑪瑙、水晶まで持ち帰ろうとします。

 そこにやってきたのはクワルとトオルでした・・・・。


 切り絵風の絵で、クワルもトオルも可愛いく、目もきりりとしています。

 今ではやや小型の絵本ですが、文章がややながいので、読んであげるなら、じっくり時間があるときのほうが適当のようです。

 トオルは家庭の全般、クワルは畑仕事と、ここには性別役割が色濃くでています。この絵本だけでなく性別役割分業意識から抜け出せないのが多くあるのは、ジェンダーの観点からは課題がありそう。


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