どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

丘の上のおばけやしき・・モロッコ

2020年09月26日 | 昔話(アフリカ)

       大人と子どものための世界のむかし話11 モロッコのむかし話/クナッパート・編 さくまゆみこ・訳/偕成社/1990年初版

 

 最初の妻のむすめは六人、二番目の妻にも六人のむすめがうまれました。

 最初の妻のむすめは、すなおでよく働きましたが、二番目の妻の子はなまけもの。

 まま母は、上のむすめを憎み、追い出そうと考えていました。まま母が、丘の上に不思議な家が一軒あり、その家にはいったがさいご、出てきた者が一人もいないという話を聞きます。

 ある考えがうかんだ二番目の妻は、父母や兄弟を家に呼びたいからと、上の六人のむすめを丘の上の家で泊まってもらうよう夫にいいます。

 ほうきやバケツ、食べ物をもって丘の上の家にでかけた六人は、掃除をし、こわれた家具まで直すと、夕ご飯の支度にとりかかりました。

 フライパンで魚を焼いていると手首だけがやってきて「食べ物をおくれ。腹がへって、死にそうだ」という声。手がひどく痩せて、ひもじい思いをしているようなので、むすめはなんだか かわいそうになりました

 むすめが「この魚はまだあつすぎて、指にやけどをしてしまうので、さめるまで、しんぼうして おまちくださいな」といい、しばらくたってから「あなたにさしあげましょう」というと、手は魚をつかみ、そのまま壁をとおりぬけ、どこかへ消えてしまいます。

 やがて六人のむすめたちが食卓をかこむと、鼻がふたつあるみどり色の男、鼻が三つある青い色の男、四つある赤い色の男、五つある黄色い色の男、六つあるむらさき色の男が次々にあらわれ、お腹が空いてどうしようもないと、訴えます。

 むすめたちが、食べ物をわけげると、みどり色の男は二番目のむすめにエメラルドの金の指輪、青い色の男は三番目のむすめにサファイアのついた金の指輪、赤い色の男はルビーのついた金の指輪、黄色い男はダイヤモンドのついたきんのゆびわ、むらさき色の男はアメジストのついた金の指輪を、それぞれ、四番目、五番目、六番目のむすめの右手の薬指にはめてくれたのです。男たちは、この世のことはだれにもいわないように口どめし、こんどは父親もつれてくるように話すと、ふっと姿をけしてしまいます。

 突然「たすけてくれえ! たすけてくれえ!」という叫び声がし、一番上のむすめが庭に出てみると、大きなコガネムシがあおむけにひっくりかえって、あるくことも、とぶこともできずにいました。

 むすめがコガネムシを助けると、コガネムシは白い雪のように白いハトに姿を変え、大きな真珠のついた金色の指輪を、一番上の娘の指にはめてあげます。

 翌朝、むすめたちが家に帰ると、まま母は、むすめたちがはめている指輪にめをとめました。どの指輪もたいへん高価なものに違いありません。

 不思議に思ったまま母がいろいろたずねても、むすめたちは、どこで指輪を手に入れたのか、ひとこともしゃべりませんでした。

 まま母は、自分の生んだむすめたちに、丘の上の家にいって、すみからすみまでさがすようにいいます。というわけで、こんどは下の六人のむすめがでかけていきますが・・・・。

 

 昔話で姉妹が出てくると、多くても三人どまりが相場ですが、ここでは十二人。高価な指輪がひとつというのが物足りなかったのか、六つもでてくる大判振る舞い。

 指輪をもらうのは二番目のむすめからはじまるので、一番上のむすめには何もないのかと思っているとコガネムシがでてきました。


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