ストーリーがお気楽大学生物語で
テーマはアイツどうしてっかなぁ。
吉田修一で一番好きなのは?
と聞かれれば「ひなた」と答える。
でもこれもいいなぁ、と思った。
世之介はどこにでもいそうだし、
やっぱりいない気もする。
多分みんなちょっとは
世之介成分を持っていて、
でもそれだけで構成されている人は
珍しいからそう思うのでは。
学生のころの友人が歳とって思い出し、
頬が緩むような人間でありたい。
変なヤツだったよな、なんて言って
明るい気持ちになってもらえれば最高。
ということで世之介になりたい。
なれるだろうか?
狭い意味で言えば無理だ。
僕はとっくに大学生じゃないから
今さら努力しても無駄。
まあ今も昔も変わり者ではあるから
その辺はクリアしている。
なんだけど実はそうじゃないと思う。
大学生だろうが、子供だろうが、
社会人だろうが、広義の世之介にはなれる。
変わってて面白いヤツ。
そう思われる人ってのは年齢に関係ない。
例えば、僕はこのあいだメガネを変えた。
で、メガネ屋さんで視力を測ってもらう。
すると思い出すのは、少し前に閉店した
ふたば堂の店員さんだ。
個性的で面白かったのだよ。
僕にとって彼は世之介だ。
今ごろどうしてるのだろうか。
そう思うと思い出し笑いがこみ上がる。
このあいだ行ったココカラファインの
店員さんも面白かった。
親切に色々教えてくれて
お陰で50ポイント得した。
あの人も世之介だ。
そう思えば世の中は世之介だらけだ。
だいたい、よほど嫌な記憶でない限り
思い出はキレイになる。
変わった人の迷惑な点が洗い流され、面白いことばかり残れば、
たいてい世之介になるんじゃね?
……なんかアレだな。
変わり者の僕は労せずしてすでに
世之介の素質があるのかも。
ちょっと拍子抜け。
いやいや、そういうことじゃない。
ただの変わり者じゃなくて
イイ感じの変わり者が世之介だ。
何をもってイイ感じとするか?
ってのはわからないとしても。
たぶんの世之介のイイ感じは
純朴さと親切さ。
端的に言うと人がいい。
……ちょっと僕無理だわ。
ひねくれ者だし。
?大好きだし。
個人的に目指したいのはアレだ。
現役感。枯れてない感じ。
べつに浮気しようってんじゃないですよ。
もう自分は完成品、あとは子供に託す、
みたいなある種の諦めと無縁でいたい。
常により好ましい方を目指して
ウロチョロしてたい。
まあ、それはおいおい何とかするとして。
この本で他に印象的だったのは
それぞれの冒頭部分だ。
基本は世之介視点なんだけど、
エピソードの入り口だけ神様視点。
最初は違和感があったが、
これがまた個性的でいい。
時代劇を見ている感じ。
黄門様ご一行が街道を歩いてくる。
あるいは千石とお蝶が町なかでばったり。
そんな懐かしの雰囲気がある。
それこそ浮世離れした、
何かが始まりそうな予感がする。
あとは「である」の多用。
これも印象に残る。
考えさせられて面白い。
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