今からちょうど23時間前に、youtubeに一つの動画がアップロードされました。

 

ANNnewsCH公式のもので、24日の【報道ステーション】番組内で放送された特集コーナーの、完全版という扱いの動画。

動画全体の時間は14:37。

 

動画のタイトルは

【報ステ特別演奏】天才たちが認めた12歳の音大生HIMARIに密着取材【完全版】

 

そして、この動画の再生回数は【報道ステーション】番組動画としては、過去に例を見ない日速47万回越えとなっています。

 

この再生回数のあらわれ方は、この動画が、いかに多くの人が秘かに待ち望んでいた彼女についての情報を、現在と未来の彼女の害にならないような配慮と距離感を保ちながら、視聴者に伝えるられるものになっているかを物語っています。

 

この番組で特集されたHIMARI(本名・吉村妃鞠)というバイオリニストがどのような存在かは、前回のブログ記事にそこそこ詳しく書いていますので、ご存じない方は参照してください。

 

私自身は、テレ朝の報道番組は20年以上意識して避けているほど嫌悪している身なのですが、この特集番組動画だけは、素直に「グッジョブ👍」と評価せざるを得ない素晴らしいものなので、地上波テレビで特集しただけでなく、youtubeにもアップしていただいたことを素直に感謝しつつ、ここに紹介させていただこうとしている次第です。

 

テレ朝よ、ありがとう。(*^^)v~~

 

その動画はこれ。

     ↓

 

ここ最近、彼女のことを紹介するyoutube動画は急激に増えていますが、そうした動画の中には、配信者の知識不足による間違った情報、再生数稼ぎのために捏造された事実と異なるエピソードや、事実と異なる思い込みへとミスリードするタイトルをつけられたものなど、視聴すべきクオリティに達していない酷いものも少なくありませんでした。

 

具体的に言うと、使用バイオリンがストラディバリウス・ハンマではなく、それ以前に使用していた、分数バイオリンと呼ばれる子供用のニコロ・アマティを使った演奏であるにもかかわらず、ストラディバリウスによる演奏と紹介していたりしているものや、ロシアで開催されている由緒ある国際コンクールの審査員の方が、妃鞠さんを見て、「こんな子供にまともな演奏などできるわけないだろうと」馬鹿にするような態度をとっていたが、実際の演奏を聞いたらその異次元の演奏に、審査を忘れて感動してしまった、と思わせるようなタイトルをつけているような動画です。しかし、そんなことはあり得ません。なぜなら、由緒ある国際バイオリンコンクールに海外からエントリーできるのは、それ以前の段階でその実力を認められているバイオリニストだけだからです。

 

したがって、そのステージにどんなに幼い少女が出てきても、幼ければ幼いほど審査員は「え、こんな幼い子供がこのコンクールの出場資格をクリアする実力を持っているの?」と、驚きの目で見ることはあっても、馬鹿にするなどという態度をとることはあり得ません。…というか、各出場者の実力がどの程度のものなのか、誰に師事しているのか…といった情報を事前に把握していない審査員など存在しません。

 

そうした粗製乱造的な動画が、妃鞠さんへの注目度が増していくにしたがって増えているところだったので、今回のテレ朝の、マスコミでなければ絶対できないような、様々な関係者への信頼できる取材に基づく動画は非常にありがたいものでした。

 

今回のテレ朝の特番で特に評価できるのは、最年少で入学したアメリカの名門カーティス音楽院での彼女の生活を、リアルな日常感の漂うものとして撮影編集し、番組として放送できている点です。

彼女のファンにとって、これが一番心配で、一番知りたかったことだったからです。

 

どんな学問や芸術の世界にも、何十年に一度出るか出ないかの「桁外れの天才」という評価を若くして受ける人たちがいます。

 

そうした人たちが最も苦しむのは、本業の学問や芸術家としてクリアしていくべき壁の高さではなく、実を言うと、飛び級で進学した大学での年の離れたクラスメイトたちとの人間関係だったり、大学教授とのコミュニケーションだったり、大学生活で不可欠な息抜きの部分だったりするのです。

飛び級で超難関大学に進級して大成した人の多くが、人生を振り返って「人生の中で一番孤独に苦しんだのは、飛び級で進級した大学での生活だった」と言っています。

 

妃鞠さんの場合、11歳で入学したカーティス音楽院にクラスメイトとして待っていたのは、10歳以上年上の、ライバルでもある、国籍も人種も違う兄さんやお姉さんたちなのです。どう考えても、心配しかないものです。(´;ω;`)ウッ…

 

…なお、余談にはなりますが、戦後の日本には「不世出の神童・天才バイオリニスト」として語り継がれている《渡辺 茂夫》という人がいます。

20世紀のレジェンドとして知られている世界的バイオリニスト ハイフェッツに「過去30年でいえば彼以上の才能を持つバイオリニストは見たことがない」と絶賛され、14歳の時に無試験でアメリカのジュリアード音楽院に特待生として留学し、授業の一環として行われる公開演奏会でもスタンディングオベーションを受けるほど、比類ない才能を発揮していた少年です。

しかし彼の悲劇は、留学する前の時点で、天才バイオリニストとしての技術が完成していたことでした。ジュリアード音楽院に入る前に技術が完成していたため、自分よりレベルの低い担当教授の指導を受け入れることができず拒否したのです。その結果、当然のように彼は孤立していきました。

彼のことを調べると、悲劇の予兆は、留学が決まった時点から漂っていました。

彼自身は、留学に乗り気ではなかったのです。しかし、周りの、国家レベルでの彼への期待に、彼は押し流されざるを得ませんでした。

ニューヨークからの手紙にも、彼がニューヨークになじめていないことが書かれていました。終戦間もない日本で生まれ育った彼は、おそらく英語もそれほど話せなかったはずです。しかも、当時のアメリカ人にとって、最大の敵国だったのは日本なので学校内外でのいじめや、様々な差別もあったはずです。そして、サポートも十分には受けられなかったはずです。

そんな中でも彼は、バイオリンの演奏だけは人々の絶賛を受け続けていました。しかし、次第に精神を病んでいき、わずか3年後(1957年)には、人間嫌いと疎外感がつのるようになり、自殺願望をほのめかすようになります。

このことを知った両親は、彼のアメリカでの受け入れ機関であるジャパン・ソサエティに緊急帰国を要請しますが、ジャパン・ソサエティはこれに応えず、現地での療養を選択しました。その結果、11月2日、彼は大量の睡眠薬を飲み危篤に陥ります。一命はとりとめたものの、脳障害が残り、彼のバイオリニストとしての人生は実質的に終わってしまった、という出来事があるのです。

 

そのため、こうしたことを知っている人たちは、

「妃鞠ちゃん、アメリカでの留学生活は大丈夫なのかぁぁぁあ ( ;∀;)/」

と、我が子や孫のことのように心配していたりするのです。知らなくても、十分心配すぎるくらい心配ではありますが、知っていればなおさらなので。

 

そして、今回のテレ朝の特番は、この心配を見事に払拭してくれました。👏パチパチ!!

 

動画を観てもらえばわかりますが、実年齢小6の妃鞠ちゃんは、実年齢大学生のクラスメイトにちゃんと妹のようにかわいがられながら生活できているようなのです。

それもこれも、すべては彼女の持って生まれた人徳や人格やキャラと、桁外れの才能のなせるわざかとも思われますが、動画を観る限りではそれだけでなく、それに加えて、学生さんたち、先生方、学校の運営や体質そのものの「素晴らしさのおかげでもあるのだろうな」と感じさせるものになっています。…。

 

動画には、彼女が初めてクラスメイトの前でバイオリンを演奏している場面が紹介されているのですが、演奏が進むにつれて、一部の人は、妃鞠ちゃんのあまりの才能の凄さにショックを受けただけでなく、それを通り越した感情のバグの中で、友人と顔を見合わせて爆笑し始めたりしているのです。

 

あるクラスメイトさんはその日を振り返って「神童と呼ばれるような子供の偉業を見て、落胆する人もいますが、僕はとてもポジティブにとらえていて、彼女はとても刺激的な存在であり、音楽をもっと好きにさせてくれます」と言っていました。

しかし「その日は、ショックで練習する気になれなかった」とも(*^^)v~~

 

増え続けているHIMARIさん動画の中には、今までちゃんとした翻訳がされてこなかった、各国際コンクールの審査員の方々のHIMARIの演奏に対する評価スピーチを翻訳した動画もいくつか確認できているので、信頼できそうなものを、以下にいくつか貼り付けておきます。

 

 

 

 

 

 

 

今回は以上です。

 

みんな幸せになりますように。

サイラム<(_ _)>

 

(11月27日4:57追記)

渡辺 茂夫さんのドキュメントTV番組を動画としてアップしたものがyoutubeにあったので、それを以下に貼り付けておきます。

冒頭で流されているのは、当時録音されていたご本人のもので、妃鞠さんと同じくらいの年齢の時の演奏のようです。そして、奇しくも演奏している曲は、妃鞠さんを世界に知らしめたロシアのコンクールで演奏したものと同じ、ツィゴイネルワイゼンです。