イタリアの気候 基本まとめ

外国に滞在するときに読めないのが天気。今ではスマフォに「Ok Google ミラノの天気は?」と聞くだけで天気予報を知ることができるようになった。まったく便利な世の中だ。それでも滞在が長くなると「どうして雨が全然降らないの?」とか、「冬なのに雨が多いな」とか、疑問がどんどん湧いてくる。

そこで、イタリアの気候・気象をいくらか理解するための基本知識をまとめておく。

目次
1.   地中海性気候とは
2.  気団、気圧、風
3.  イタリアの四季

1. 地中海性気候とは

中学校で習う気候区分(参考:ケッペンの気候区分)にしたがえば、イタリアの大部分は温帯に属する。ケッペンの温帯の定義は、樹林があり、最寒月の平均気温が-3℃以上18℃以下かつ最暖月10℃以上の場所で、日本も大部分がこれに分類される。

温帯はさらに湿潤 (多雨, Cf)、夏期乾燥(冬雨, Cs)、冬期乾燥(夏雨, Cw)の三つに分けられる。日本は一年中雨が降るので湿潤に、イタリアは夏に乾燥するので夏期乾燥に属するとされる。

この温帯夏期乾燥気候(Cs)がいわゆる地中海性気候と呼ばれるもので、欧州ではイタリア半島の他にフランスとスペインの地中海に近い地方などが含まれる。

実際に雨温図で比較してみると一目瞭然だ。

 

  

 

雨量が最も少ない月はローマが7月で23mm、東京が12月で51mm。一方、雨量が最も少ない月はローマが11月で130mm、東京が9月で210mmと大きな差がある。

気温に関してはローマと東京との間に大きな差はない。しいて相違点を挙げれば、ローマの方が寒暖差が大きい。昼間の暖かさに比べ、朝晩の冷え込みが大きいと考えてよいだろう。

イタリアは南北に細長いので、地域によって当然気候も異なる。北部のミラノと南部シチリア島のパレルモの温雨図も見てみよう。

 

 

二つを比較すると、夏のミラノは最高気温の平均が30℃に近く、南部のパレルモと変わらないほど暑いのに対し、冬のミラノは最低気温の平均が氷点下に達し、パレルモに比べるとかなり寒い。

雨量もかなりの違いがある。パレルモは典型的な地中海性気候で7月の雨量がたったの6mmなのに対し、ミラノは7月でも68mmの雨量がある。ミラノの雨量の分布が夏に乾期があるという地中海性気候の要件を満たさないのは明白だ。

実際、イタリアの気候区分は下の図のように細分化できる。

出典: wikipedia

イタリア半島のティレニア海側(左側)と二つの大きな島は黄色の地中海性気候(Cs)に属するが、半島の付け根とアドリア海側(右側)は黄緑色の温暖湿潤気候(Cfa)、または西岸海洋性気候(Cfb/Cfc)に属している。むしろ後者の範囲のほうが広いくらいだ。

イタリアは欧州で生産される米の約半分を生産している。その主要な生産地であるポー川流域は日本(の大部分)と同じ温暖湿潤気候である。考えてみれば夏に雨が全然降らなければ田んぼの水が涸れてしまうので米を作るのは不可能だろう。

一昔前のイタリアでの米作風景は映画『にがい米』に出てくる。

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