こんにちは!

先日のブログにも書きましたが

今わたしは頑張り時で。

 

 

 

 

そんな時は「地に足のついた物語」が

読みたくなってこちらを手に取りました。

 

 

初めて読む作家さんの作品で、

タイトルの言葉遣いに一目惚れでした。

 

 

寺地はるな『大人は泣かないと思っていた』は

表題作含む、9編の連作短編集。

 

 

ちょっと切なげなタイトルの通り、

この物語では人生のままならなさに直面して

苦しみながらもきちんと向き合う

人々の姿が描かれています。

 

 

表題作の主人公は

九州の田舎町にある実家で

父親と二人暮らしをしながら

農協に勤める32歳の時田翼。

 

 

特に浮いた話もなく、

変わり映えのない日々を

淡々と過ごしていましたが

 

 

ある日、父親から

「隣家のおばあちゃんが

家のゆずを盗んでいる」と言われ

現行犯で捕まえることになり

待ち構えていたところ、

 

 

ゆず泥棒の犯人は

隣家のおばあちゃんの孫にあたる

20代の若い女性であることがわかり

彼女との数奇な出会いから

翼の物語は動き出します・・。

 

 

翼の父親は頑固な性格で

「九州男児」のイメージを

地で行く人物。

 

 

一方の翼は

休日にお菓子作りをするのが

趣味だったり

線の細い体型だったりと

父とは対照的な息子で

そんな翼を父は頼りなく

感じていました。

 

 

しかし翼は父の亭主関白に

耐えきれずに熟年離婚した

母親の姿をそばで見ていて

自分なりに思うところがあり、

物語が進むごとに

翼が秘めている強い思いが

明らかになっていきます・・。

 

 

この物語では

田舎の人間関係の窮屈さや

離婚や結婚、出会いと別れなどの

人生を揺るがす出来事と

ままならなさが描かれながら

 

 

翼の父親のように

「父とは、男とはこういうもの」

「女性とはこういうもの」

「家族は、夫婦はこうあるべき」

というような

昔からある社会的な役割が

絶対的正義だと思って

変わらずにいる人に対して

 

 

翼のように

そうした価値観に違和感を抱き

勇気を出して反発して

自分や自分の周りの環境を

変えようと努力する人が登場し

 

 

そうした違和感や反発心が

波紋のようにじわじわと広がり、

周りの人が少しずつ影響されていく様が

巧みに描かれていて

じわじわと痺れました。

 

 

それぞれの物語で

「こうあるべき」という

見えない世間体や常識に

とらわれていた人たちが

人生のままならなさに直面して

苦しみながら自分の道を

模索していくのですが

 

 

人生そんな簡単に変わるものではなく。

 

 

自分の弱いところに気付いたり

厳しい現実を直視させられたり

読みながらグサッとくる痛みを

時間をかけて徐々に受け入れていく姿が

とてもリアルで、

自分もこういう過程を経ながら

人生頑張っていかねばなぁ・・と

とても感情移入させられました。

 

 

「大人は泣かないと思っていた」

というタイトルの言葉、

32歳のいい大人になっても

離婚危機により爆泣きした

わたしの身に染みまくります。

 

 

むしろ大人になればなるほど

大切なもの、守りたいものが増えて

それゆえに泣かずにはいられない

ショックな出来事も

増えてくるのではないかと

思ったりもします。

 


そう考えると

自分の人生を揺るがす

ショックな出来事というのは

きっと誰しもが必ず経験すること

なのだと思います。



この物語は

あまりのショックと辛さに

いい歳して涙を流しながらも

受け入れて前に進もうとする、

立ちあがろうとする人の

気持ちに寄り添い、

背中を押すような物語だと思いました。



今が頑張り時なわたし、

この先うまくやっていけるだろうか

頑張りきれるだろうか

何かあったらどうしようと

悩み、不安は尽きないのですが



この物語を通して

頑張る人々の姿に触れて

自分もきっと大丈夫、と

少しずつ思えるようになってきました。



人生のままならなさに苦しみながらも

前に進もうとする人すべてを

肯定するすてきな物語でした。


 

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