・ H・キング監督G・ペック主演コンビによる5度目の作品は追跡型西部劇。
「頭上の敵機」(49)、「拳銃王」(50)などグレゴリー・ペック作品を手掛けてきたヘンリー・キング監督が5度目のコンビを組んだシネマスコープ・カラーの追跡型西部劇。フランク・オルーク原作「The Bravades」をフィリップ・ヨーダンが脚色。メキシコの壮大な景色を撮影したレオン・シャムロイ、音楽はアルフレッドの弟・ライオネル・ニューマンが担当している。
アメリカ南西部リオ・アリバ村で銀行強盗を働いた四人の死刑執行になる前日、処刑を見届けにやってきたひとりの男。100マイルも離れたウィンスロップからきたのは、半年前妻を四人組の暴漢に殺されたためだった。
絞首刑されるハズの4人が脱走することで追跡劇が始まり、復讐の鬼と化した彼は男たちをひとりづつ殺して行く。
四人組に扮したのは「ベン・ハー」(59)で敵役として名を売ったスティーヴン・ボイドを始め、アルバート・サラミ、リー・ヴァン・クリーフ、ヘンリー・シルヴァの個性的な面々。
妻を殺されたジム・ダグラスを演じたG・ペックは終始思い詰めた表情を崩さず、5年ぶりに再会したかつての恋人ジョセファ(ジョーン・コリンズ)との会話も素っ気ない。
同年公開の「大いなる西部」や「アラバマ物語」(62)のフィンチ弁護士に代表される理性溢れる正義の人のイメージが強い彼にとって、勧善懲悪の漢はチョッピリ不似合いな感があった。ダンディなガンマン風スタイルもおよそ牧場主には見えない。
伏線は幾つかあったが、4人目ルーファン(H・シルヴァ)を追って国境を単身渡ったメキシコで真相が明らかになる。終盤では、怨恨のための殺人に思い悩むヒーローらしくない心の葛藤が描かれ思わぬ終盤を迎える。
ヨーダンのシナリオは破綻も随所に見られるが、私怨による殺人者と町のために尽くしたヒーローという両面を持たされ悩みを抱えた人間を描くことで、勧善懲悪型西部劇とは違う持ち味を強調した作りになっている。
のちにこのパターンはS・マックイーン主演の「ネバダ・スミス」(66)でも踏襲された。
当時王道の西部劇にはあり得ない意外な結末を迎える本作は、その後C・イーストウッドに引き継がれ、後には定番となっていくが、50年代では異色の存在だ。
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