・ J・フォード監督<騎兵隊三部作>の初回作はH・フォンダ、J・ウェインの共演。
ジェームズ・ワーナー・ベラ原作をジョン・フォード監督が映画化した<騎兵隊三部作>の第1作目。カスター将軍第七騎兵隊がモデルと言われるシリアスなストーリーを娯楽作品として魅力的に描いた監督の手腕が光る。
主演はフォード作品の二大スターであるヘンリー・フォンダとジョンウェイン。さらに<アメリカ国民の天使>と呼ばれ名子役だったシャーリー・テンプルと夫のジョン・エイガーが恋人役で共演し、ワ-ド・ボンド、ヴィクター・マクラグレンなどお馴染みのフォード一家が出演している。
J・フォード作品にはお馴染みのモニュメントバレーなど広大な風景と砂塵が舞う馬や駅馬車の疾走シーンが映し出され、軽快な音楽とともに臨場感満載だ。
辺境のアパッチ砦へ駅馬車で向かうのはサースデイ中佐(H・フォンダ)と娘のフィラデルフィア(S・テンプル)親子。南北戦争で失策し、将軍から中佐へ格下げされたサースデイの赴任先である。
中継地で砦との連絡が取れず困惑するが、偶然マイケル・オローク中尉(J・エイカー)への出迎えがあり事なきを得る。これからが思いやられるスタートとなった。
序盤はフィラデルフィアとマイケルの若い二人の恋模様を軸に、砦での女性たちの暮らしやコミカルな兵士たちの様子、功を焦るサースデイ中佐とカービー・ヨーク大尉(J・ウェイン)など現地兵の空気感の違いが描かれる。
サ-スデイを演じたH・フォンダは如何にもアングロサクソンのエリート軍人らしく規律に厳しく、先住民への優越感を持った一徹な司令官役。軍曹の父を持つオローク中尉と娘の恋にはヤキモキしている父親でもある。功を焦るあまり部下の注進も聴かず無謀な作戦を指示してしまう。
ヨーク大尉のJ・ウェインは古参兵で部下の信頼も厚く、アパッチとの和平に尽力するが上司への説得に失敗。前半は控え目で出番は少ないが、クライマックスでは本領発揮するおいしい役どころだ。
そのためサースデイは軍人精神を貫いた英雄として称えられたにもかかわらず、作戦が対立した場合それを乗り越え集団として困難な任務を達成するという理想の軍隊組織ではなかったことが描かれ皮肉な結果となってしまった。
今観ると大量虐殺の肯定、先住民への偏見などこの手の作品には欠かせない描写もあるがアイルランド人監督ならではの愛すべき人物たちへの視線は貫かれている。
日本公開が騎兵隊三部作で最も遅かったのは占領時のマッカーサーの意向によるものだが、その訳が分かるような気がする。
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