まだ仕事してます。
そういうもんです。
弁護士という仕事は。
ぶっとおしで6時間起案しているのでもう帰ります。
帰る前にブログをば。
今日(というか昨日だが)、初めて民事訴訟で真剣に争った事件の判決書を受領しました。
これまで、支払督促に異議が出た勝ち確案件で判決をもらったことは何度かありました(もちろん全面勝訴)。
しかし、弁準からゴリゴリ争い、尋問までやって、最終準備書面を提出した事案では、今回の判決書が初めてになります。
結果から言うと、全面勝訴でした。
貸金返還請求の原告側でした。
私が事務所に入った時点で一年以上裁判が継続しておりました。
前任の弁護士が移籍した関係で私が途中から復代理人として選任されました。
準消費貸借が主戦場でしたが、前任の弁護士は依頼者への聞き取りが甘く、消費貸借のまま請求をしておりました。
私が入ってから、訴えの変更を申立て、準消費貸借に基づく請求を立てました。
契約書は2通あったのですが、素人が作成したもので極めてずさん。
ずさんな契約書と日常的に出会うのは、弁護士あるある。
とはいえ、この契約書した武器がないので、必死に記載内容について説明する。
一応、署名押印はあるが、相手方は自分で署名押印していない、していたとしても内容は知らないとして処分証書の真正成立を争う構え。
尋問では文書の真正成立が主戦場に。
膨大な記録を徹底的に読み込み、相手の供述に矛盾がないか探して尋問に臨んだ。
結果的に、尋問中被告本人が私の誘導尋問につられて、自分で署名押印したことを認めてくれました。
その時のやりとりは以下の通り。
私「この契約書に一番下にあなたの印影がありますね。」
被「はい。」
私「これはあなたの印鑑によるもので間違いないですね。」
被「はい。」
私「あなた、個人事業やってましたよね」
被「はい。」
私「仕事で契約書とか作ったりしなかったの?」
被「それは作りますよ。」
私「契約書作るとき自分で印鑑押すでしょ?」
被「はい。」
私「印鑑を人に渡して押してもらったことある?」
被「ないです。」
私「印鑑ってとっても大切なものだよね?」
被「はい。」
私「印鑑があったらいろんな悪いことできちゃうよね。」
被「はい。」
私「誰かに印鑑貸してって言われたら簡単に貸しますか?」
被「貸さないです。」
私「だって印鑑って重要ですもんねー。」←非常にしつこく聞く
被「そうです。」
私「じゃあなんで今回は原告に印鑑渡したの?」
被「それは…原告が貸してっていうから…」
私「本当は渡してないんじゃないの?」
被「渡しました」
私「え?印鑑はすごく大事なものってわかってたのに渡したの?」
被「いやそれは…ゲンコクガシツコクカシッテイウカラ…」(非常に自信なさげ)
私「あなたこの裁判の第1回期日でなんて言ってたか覚えてる?」
被「覚えてないです。」
私「第1回口頭弁論期日の期日調書を示します」
私「なんて書いてありますか?」
被「………『原告に印鑑を渡したことはない』って書いてあります」
私「なんで急に今日になって印鑑を渡したって言ってるの?」
被「………いや、前の記憶が間違っていたから……」
私「え?第1回期日は2年以上前ですよ?その時の方が記憶が鮮明だったんじゃないですか?」
被「………え、えぇ~。。。。」
私「本当は、原告に印鑑を渡してなくて、自分で契約書の内容を確認してから押したんじゃないの?よーく考えてみて。」
被「………うーん、もしかしたら押したかもです……。。。。」
これはちょっとうまくいきすぎました。
このときの相手方代理人の顔は忘れられませんね。
その後もどんどん自己矛盾供述を引き出し、傍から見ればさぞかし嘘つきな被告に見えたことと思います。
最終準備書面では、処分証書に二段の推定がはたらいていることを前提に被告の供述は信用できず反証に成功していないことを書きました。
判決を見る限り、ほぼこちら側の主張が認められた形でした。
最終準備書面に記載した内容を裁判官が採用してくれるのはやっぱり嬉しいですね。
結構筋悪な事件だと思っていたので、ほっとしています。
被告は敗訴したら破産するしかないとか言っていたのですが、どうするのかな~。
控訴しないと良いが。
※今後も事件のことを書くことがあると思いますが、守秘義務との関係でたくさんフェイクを入れておきます。今回も例外ではないです。
けーろ。