やってみよう。 | 言葉と音で綴る 素敵LIFEダイアリー from 神戸

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言葉や音に思いをのせて。
心を、毎日を豊かに。

これまでピアノから学んできたことや、日々の気づきなどを綴っています。

10月中旬から1月下旬にかけて、

かつて大きな印刷会社の印刷の現場で

工場長として陣頭指揮をとられていた方が

印刷実習の先生として来られていました。


御年傘寿近くの方ながら、

そのようには見えない精悍な方で、

前評判では、

「モタモタしていると

『モタモタするな!』と怒られる

厳しい方なので、

キビキビ行動するように」

といったことを聞いていました。


そのため、初回の授業前は

緊張していたのですが、

いざお目にかかってみると、


キビキビされていて、

次々に指示をされるものの、

怖いなどといった風に感じることはなく、

むしろ、

少しでも多くのことをお教えいただきたい、

お話したい、

側で作業を見させていただきたい、

愛情深い方、

そんなふうに感じる先生でした。


実習中、

作業工程でどうするかの判断を

ある学生に委ねられた際、

失敗を恐れてか、

どうするかをなかなか決められず、

時間がどんどん過ぎていく一方で、

作業が全く進まないことがありました。


先生は、時間はあるからと、

結構辛抱強く待ってくださっていましたが、

時間だけが刻一刻と過ぎていく中で、

ついに先生が声をかけられました。

そのときの先生の言葉が忘れられません。


「失敗してもいいから、

思うようにやってみたらいい。

失敗したとしても、

次どうしたらいいのかの指針になるし、

それが前進するための足掛かりにもなる。

それに、

失敗しないで成功するかも知れない。

やってみないことには、

どうなるか分からない。

ここでは失敗してもいいのだから、

やってみ」

と。


学生時代でも、社会人になってからも、

失敗したくない場面や、

失敗してはいけない場面がある。

どうしても、結果を出したい場面がある。


あるいは、

端から失敗を恐れ、

チャレンジさせてもらえないなんてことも

ザラにある。


「成功するかも知れない」では、

認められないのだ。

成功=結果を出さないといけないと、

結果を求められるのだ。


社会人になってから、

チャレンジすることも許されにくい

環境に居たわたしは、

先生の言葉に深く感動した。


いつの頃からか、仕事の場面で、

「これはセーフかな」

「これはアウトだろうな」

といった具合に、

自分の中で指示を仰ぐ前から

勝手に空気を読んで、

分別さえするようになっていた。


どうしてもこれは!と思うことについては、

提案したけれど、

ボツになることが続いて、

ついには意欲さえ失ってしまった。


それが、


こんなふうに仰っていただける機会なんて、

そうそうない。

なんてありがたいことだろうと、

心底思ったと同時に、

深い尊敬の念を抱いたし、

わたしは工場長先生のような、

年齢の重ね方をしたい、

懐深く、寛容な心を持った人間でありたいと

思いました。


結果を出さないといけない

勝負どころはある。


そうではなく、

少々の失敗が許される場面なのであれば、

積極的にトライ、チャレンジしてみて、

上手くいかなかったとしても、

少しずつでも前進していく。

やってみないとどうなるか

分からないのだから。


春は、もうすぐそこまで来ている。

前を向いて、進んでいこう。