中山道

紅葉・アート・歴史的ラブロマンス。秋の木曽路は魅力盛り沢山!【中山道歩き8日目・福島〜奈良井】

こんにちは!たまゆりです。

夕焼けの色が日に日に秋らしくちょっと切ない雰囲気になっていく今日この頃。
私の住む犬山城下町も空がすっかり高くなってまいりました。

夏の暑さや緊急事態宣言を避けていたら、またもすっかり久しぶりになってしまいましたが…。
先日久しぶりに中山道歩きの旅のつづきをしてまいりましたので、レポートをお届けします。


今回は、前回のゴールだった福島宿をスタートして、奈良井宿でお宿を取り、贄川宿の先にある木曽路の終着点(そして、信濃路の起点)までを歩いてきました。

GPSや標高の記録はこちらです。


2021年10月28日
中山道歩き8日目

福島宿〜宮ノ越宿〜薮原宿〜奈良井宿(泊)
歩行距離:27.09km

 

前回の続き、木曽福島駅へ

いつものように、朝6時ごろまだ薄暗い犬山の町を出て、JR中央本線の木曽福島駅にやってきました。

時刻は8時半。陽はすっかり登っていますが、木曽路は左右を山に囲まれているため、木曽福島の街にはまだ早朝のようなきりりと冷たい空気が漂っています。

前回泊まった「木曽路の宿いわや」さんの前を通り抜け、前回見学した福島関所の門をくぐると、広い道に出てきました。
ここからしばらく、たまに国道19号線の車道脇に交差しながら、旧道を歩きます。

前回訪れたのは春だったのですが、木曽路の風景はすっかり秋らしい色に変わっていました。
道端に咲くかわいらしい雛菊も、秋の色。

 

芥川も愛した武将・木曾義仲のふるさと

福島宿の次の宮ノ越宿は、平家物語にも登場する武将・木曾義仲に縁深い土地として有名です。

あの文豪・芥川龍之介も義仲にとても惹かれていたらしく、彼の人物像ついてこう書き記しています。

「彼の一生は失敗の一生也。
彼の歴史は蹉跌(挫折)の歴史也。
彼の一代は薄幸の一代也。
然れども、彼の生涯は男らしき生涯也。」

義仲は源義賢の次男として埼玉県に生まれましたが、2歳の時に父親が殺され、木曽の有力者・中原兼遠という人物に育てられました。

そしてこの木曽で出会ったのが、彼の唯一無二のパートナーとなる女性・巴御前でした。


彼はその後平家を討ち滅ぼしますが、皇位争いのいざこざに巻き込まれて逆賊扱いされ、最後には討ち死にします。

粗暴で乱暴な田舎者だった、とも語られる義仲。
しかし、その男らしく、まっすぐで、仲間想い、どこか不器用すぎるほど真面目にも思える生き方には、今も惹かれる人があとをたちません。

木曾義仲と巴御前については、こちらのサイトでとても情熱いっぱいに面白く解説されていたので、これから歩かれる方は是非読んでみてくださいね。

【木曽義仲と巴御前】源平時代を駆け抜けたベストカップル!(歴人マガジン)

 

義仲ゆかりの手習神社


旧中山道沿いには、彼にゆかりのある史跡が多く残っています。

孤児となった義仲を引き取った中原兼遠が、義仲のために勧進した学問の神様の神社、手習神社。

引き取った子が賢く育つように、と、わざわざ学問の神様をお迎えする…すごいことだ。義仲が大切に育てられたのがなんとなく感じられます。

小さな祠なのですが、地元住民の方にもずっと大切にされてきたのが伝わってくるような、なにかとてもやさしい空気を感じる場所でした。

 

中山道のちょうど中間点に到着!


そして、宮ノ越宿の少し手前に来ると、国道19号線沿にいに「道の駅 日義木曽駒高原」が現れます。
ここは、京都と江戸を結ぶ中山道、全長534kmのちょうど中間地点にあたり、駒ヶ岳を一望する広場に石碑が建てられています。

江戸時代にここを歩いて移動した旅人たちは、ここで「もう半分か」と思ったのか「まだ半分か」と思ったのか。


道の駅には食事処もあり、焼き栗や、ちょうどシーズンである松茸ごはんのおにぎり、栗きんとんも置かれていました。
お天気がいいので、ザックをおろし外のベンチでしばしの休憩&補給タイムを楽しみます。

 

風情の残る、宮ノ越宿に到着!

道の駅を出てしばらく歩けば、宮ノ越宿に到着です。

宿場町には古くからの面影が残ります。
旧屋敷や本陣の建物もきれいに手入れされて残っていて、中を見学することもできました。

印象的だったのが、ここでは宿場町の旧屋敷や本陣の建物を地元の方がイベントスペースとして活用できるようになっているのです。
私が行った時には、青年海外協力隊出身の若い女性の方が、アフリカのハンドメイド雑貨を展示販売される企画展示のスペースとなっていました。

素晴らしい建物をただの見学施設にするだけではなく、こうして活用することによって上手く保存しています。
今まで通ってきた他の宿場町にはなかったことなので、とても面白いなぁと思います。

 

義仲ゆかりの徳音寺


この宮ノ越宿はなかなかに見どころが多く、宿場町から歩いてすぐのところに、木曾義仲の菩提寺である徳音寺、そして義仲館という見学施設もありました。

立派な山門が残る徳音寺。
私の地元である犬山城主の成瀬氏が作ったものだそうで、ここにも木曽路でつながるご縁を感じます。

歴史人の新解釈が面白い、義仲館

義仲館は、先月リニューアルオープンしたばかり。
よくある歴史資料館みたいな感じかしらと思いきや、この展示がなかなかおもしろく。

義仲と、そのパートナーの女性であった巴御前をモチーフに、老若さまざまなアーティストが、それぞれの解釈によって制作した作品を展示する形式となっていました。
木曽町出身の俳優田中要次さんが義仲役をつとめるナレーションも印象的でした。

記念品に頂いた義仲&巴のステッカー。現代風デザインでかわいい

 

歴史博物館というよりは、近代的なギャラリーのような雰囲気があって、宿場町の建物の利用の仕方同様、新しくて面白いです。

 

ロマンチックでちょっと切ない、巴淵

宮ノ越宿を越えて川沿いに歩いていくと、美しい紅葉に囲まれた「巴淵」が見えてきます。

ここは、木曾義仲と生涯を共にしたという女性、巴御前のゆかりの場所。

二人は、幼なじみとして兄妹のように育ち、恋仲となり、そして、共に戦場へと馳せていったのです。

「平家物語」では、巴の外見について「色白く、髪長く、容顔まことに優れたり」「強弓精兵、一人当千の兵者なり」と、ひじょうに美しくて強い女性だったことが描写されています。

戦場へまでともに出かけるほどの仲であった義仲と巴。
最後は、自分の死を覚悟した義仲が「自分は討ち死にする覚悟だ。お前は女なのでどこへでも逃げろ」と何度も説得し、ようやく納得した巴は、落ち延びて91歳まで生きたという話が残されています。

そんな話を思い浮かべながらこの巴淵を眺めていると、まだ幼かった二人が、無邪気に川遊びをしているまぶしい光景が浮かんでくるようで、切ない……

秋の空気もあいまって、なんだかキュンとしてしまいますねぇ。

 

薮原宿に到着!

さて、巴淵をすぎてその後も国道沿いを歩き、トンネルを越えると薮原宿に到着です。

薮原宿も風情が残る宿場町で、点在する古民家を利用してアーティストが作品を展示し、街全体がミュージアムであるかのような形で利用されていました。


アートを使った町おこしにとても力を入れているようです。

とてもきれいに整備された木造りの休憩所&トイレ兼・パン屋さんもあったりして、時間があればもっとゆっくりしたかった〜!!

 

木曽路随一の難所・鳥居峠へ

さて、薮原宿を越えれば、木曽路随一の難所とも言われる鳥居峠です。

残念ながら、夏の間の大雨による登山道の崩壊で、現在鳥居峠は頂上付近から先の奈良井宿方面が通行止めとなっています。

歩き通すことはできませんが、頂上まで行って引き返し、藪原駅から奈良井駅まで電車に乗って移動できます。

今日はこれまで車道の近くや街の中を歩いてきたので、ちょっと久々の山道歩きにわくわく。
ところどころに設置されている熊よけの鐘を鳴らしながら進みます。

石畳の地面には落ち葉がたくさん降り積もって、とても静かな山に響く、ざくざくという足音が気持ちいい。

10月末の訪問で、紅葉のピークにはまだ少し早いのですが、色づき始めた木々が西日に照らされてとても美しいです。

 

木曽川と千曲川の分水嶺。峠の頂上に到着!

どんどん標高を上げて、鳥居峠の頂上、1197mの地点に到着できました。
ここが分水嶺となり、西側へ流れる水は木曽川、東側へ流れる川は千曲川となるそうです。

頂上付近には御嶽講の神社もあり、とても神秘的な空気の漂う場所です。

 


私は見逃してしまったのですが、松尾芭蕉の句碑も残されているようです。

「雲雀より うへにやすらふ 嶺(とうげ)かな」

普段は上を見上げて聞いている雲雀の声が、自分よりも下の位置から聞こえてくることに、こんなに高くまで登ってきたのだなぁという感慨をあらわした句です。

あの伝説の体力超人アーティスト忍者(属性てんこ盛り)松尾芭蕉も、同じようにこの峠を歩いて「高いとこまで来たなぁ」なんて呟いたのかと思うと、ちょっぴり親近感が湧いてしまいます。

きっと芭蕉は、超速でこの峠を過ぎ去ったに違いないのだろうけれど…。

 

通行止めと聞いた時には進むかどうか少し迷いましたが、鳥居峠、歩いてよかったです。

 

今日の目的地・奈良井宿に到着

さて、そろそろ日も暮れ始める頃、ぶじに目的地である奈良井宿へと到着しました。

今夜のお宿は、風情ある宿場町の中にある宿「民宿しまだ」さん。

とても美味しくてボリューム満点のお料理に、楽しい出会いもあったりしたので、また別の記事にて詳しく書きたいと思います。

次回に続く。
それではまた!たまゆりでした。

 

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