グループ展 | 子宮筋腫をとったらば

子宮筋腫をとったらば

2015年12月に開腹で子宮の全摘をした、45歳・既婚・子ナシの備忘録。

引っ越しに伴い織のお教室を辞めました。

こちらに来てからなんとなく機を出す元気もなく

過ごしているところへ、先生から連絡が。

「作品展をするのでかのこさんも参加しない?」

えええええ?????

私はもう生徒じゃないしそんな図々しいことは。

それに生徒さんたちはデザインを生業にしている

お方が圧倒的多数派で、私は断トツの下手くそ。

あの中に混じるなんておこがましい。

恐れ多くてとても、とお返事したら。

 

「お教室展じゃないから他に以前の生徒さんにも

声をかけているし、私の友達にも出してもらうの。

テキスタイルとは、という企画だから作品に幅が

ほしくてね、かのこさんも是非。

3個セットのクッションは欲しいなー。

あと夏のショールもいいわねー」

とのことで大変恐縮しつつ参加させていただく

運びになりました。

 

ところでご指名いただいた品々は、

日々の生活でバリバリの現役。

なのでそれなりの使用感があるけど大丈夫?

しかもクッションなんて始めて2作目のものだから

つたない出来なことこの上ない。

こんなものを展示しちゃってホントにいいの

かしら……めちゃくちゃ不安です。

まずは洗濯、クッションカバーなんてお昼寝の

お供にもなっているからいろいろなものが

滲みこんでいそう、念入りに洗わなければ。

中材も丁寧に洗ってアイロンをかけて、

先生のお宅へ送り出しました。

 

搬入直前の準備から参加させてもらいました。

久しぶりに先生のおうちのアトリエに伺うのも、

みなさんに会えるのもとっても嬉しい。

「きゃーかのこちゃん久しぶりー」と

おねえさまたちにハグされて、

こんな触れ合いはこのご時世で何年振り?

お部屋に山と積まれた作品たちはきれいに

整えられて発送されているのだけれど、

たたみ皺がついてしまっているので

改めてアイロンがけ。

大きなアイロン台とアイロンが2台フル稼働。

広いテーブルの上では写真入りの

キャプションを台紙に張って正確な四角に

切る難しそうな作業が黙々と行われています。

ぶきっちょな私は平らなもの(ショールとか)に

アイロンをかける係に任命されて、

みなさま私のことをよくわかってくださっている

と大安心です。

 

キレイになった様々な布ものを、

展示用のハンガーにかけるのも一仕事。

ただひっかければいいと思ったのは

素人の浅知恵で細ーいテグスで布を

ハンガーに固定するのです。

人さまが時間をかけて織った繊細な布に

針を使って縫い留めするのはものすごく

緊張して気骨の折れる作業でした。

針をひっかけて糸が飛び出したりしないように、

針を通す場所も穴が残らないところを選んで。

ニュアンスが出るように斜めにかけたり、

少し皺を寄せたりの指示も飛んできて、

頭で考えているよりもずっと難しく、

うんうん言いながら大苦戦。

 

搬入の日には生徒さんたちの小物の他にも

先生の大きな作品も多数。

こういった作業に参加するのはもちろん

初めてのことで、大変さがよくわかりました。

まず輸送が難儀。

分解できるものはして、平らなものは芯を

入れて巻いて筒状にしてあります。

それにしてもちょっとしたカーペットくらいの

大きさと重さ、それが何点も。

小さな立体もデリケートな作りなので、

各々専用のオリジナルの箱に納まっている。

中で動かないように複雑な作りになっていて、

もうこの箱だけでも「職人の仕事!」という感じ。

大物を海外に送るときに先生が大変と

おっしゃっていたのがようやく理解できました。

 

展示もただ飾るだけではなくて。

まず丈夫なワイヤーで仮決めをしてから、

先生が全体を眺めて微調整をして。

オーケーが出てからワイヤーを

テグスに差し替え。

なるべく作品の邪魔にならないように

テグスは可能な限り細く、

結び目は目に付かないところに隠すといった、

細やかな心遣いがなされていました。

展示台もそのまま使うのではなく、

大きな生成りの布で覆うのですが。

こんな巨大なものを包むのは初めて。

どうやったら皺なく見た目に美しく包めるのか、

それだけのことにも初心者はまごまごしてしまう。

日常ではお目にかかれない丈夫で高い脚立に

上って作品をかけたり、床に這いつくばって

展示台のレイアウトを直したり、展示の苦労が

ほんの一部分だけですけれども実感できました。

今まで本当にお気楽に作品だけを見ていたなと

猛烈に反省。

設営の苦労がちょっとでも知れてよいことでした。

美術館もギャラリーも、

次からは心して拝見することにします。

 

会期中にも1日だけお当番をさせてもらいました。

過半数が先生の作品でこんなに一度にたくさん

見られる機会は少ないのでなかなかに盛況。

こんな立派な作品展の末席を汚していいの?

という気持ちもぬぐえませんでしたが、

自分の作ったものを見ていただくという経験も

初めてのことで、やっぱり嬉しいことでした。

自分のものに限らず、制作過程を知っている

他の生徒さんの作品の前で「ステキ」「すごい」

とお客さんが足を止めているのを見るのも、

人のことでもとても幸せ。

身の丈にはあっていないけれど、

貴重な体験をさせてもらえました。

これを機に、機を出そうっと。

 


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