指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

『わが命つきるとも』

2021年11月26日 | 映画

トーマス・モアってこんなに凄い人だと始めて知った。

特に、役者のポール・スコフィールドの演技が素晴らしい。

これぞ、本物の役者であると思う。

                   

モアは、日本で言えば最高裁長官と法務大臣を合わせたような人だと思うが、国王のヘンリー8世と対立している。

この王も面白い人で、無邪気だが、自分の離婚、結婚で問題を抱えている。

これが、イギリス国教会を作る契機になったと思うが、実に西欧では宗教は人間の生き方を束縛していたんだなあと思う。

モアの戦術は、これまたすごいもので、国王の離婚、結婚問題について、沈黙を守るというものだが、なんと投獄されて、最後は有罪で首を切られてしまう。

だが、彼を有罪にしたクロムウェルも絞首刑にされてしまう。

唯一人生き残るのは、リッチという小心者で、これまた日乗に皮肉。

原作は戯曲で、作者のロバート・ボルトはイギリスの共産党員で、監督のフレッド・ジンネマンも、アメリカで1950年代の赤狩りを経験した人なので、この作品の意味は大変に深いと思う。

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