指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

6月15日に国会にいた人 林裕通さん

2021年06月15日 | 政治

1960年6月15日と言えば、全学連が国会に突入して機動隊と衝突した日である。

ニュース映画等でもよく出てくる日である。

 

             

「あの日、国会にいたよ」という人、林さんに会ったのは、1966年の秋、早稲田大学劇団演劇研究会の部室でだった。

当時、林さんは、政経学部新聞科の8年生で、早稲田に入るのに、2浪しているので、すでに28歳だった。

高校時代から、学生運動の連中と付き合っていたが、実際に6月15日に国会にいたという人に会ったことはなかった。

その理由は、彼らは、1960年代中頃には、各派の指導者になっていたからで、末端の私が会うことはなかったからだと思う。

「あれはどうやって国会に入ったんですか」と聞く。

「国会前で集会をやっていて、そのまま突入したんだよ」とのこと。

当時は、国会周辺で集会ができたのだ。1960年代中頃には集会禁止になっていたが。

林さんは、非常に面白い人で、この人からは、吉本隆明からモダンジャズに至るまで、多くのことを教えてもらった。演劇や演技については、勿論だが。

さらに、彼は、なんとか早稲田大学政治経済学部を卒業した後は、普通の就職はせず、アルバイト生活のようなことを経た後、某スーパーの屋上の遊園地を運営する会社に勤務した。

要は、彼の知識、教養ならいくらでも得られるような地位は求めず、市井の一市民として生きたのだ。

世間に出て有名になるとか、金を得るといった気がまったくなかったのだ。

現在は、年金生活者として悠々自適に生きているようだ。

市井に隠れるというのが一番ふさわしい表現だと私は思う。

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