THMIS mama “お洒落の小部屋”

THMIS mama “お洒落の小部屋”

好きになれない。  vol.098.

ドキドキ 優維香の、その、「パパそっくり。」の声に佐津香、一瞬、
「ふふん。」
そして、目を真ん丸に、ニッコリと。
「まっ。そんな事が、ありました~~。」
缶ビールをグイッと、最後まで。
「まぁ~~。でも…。」

優維香、
「うん…???」
右膝の上に右肘を。右手には缶ビール。そして、缶ビールを持ったままで右手甲を右頬に。

「こういう経験は…。」
優維香を見て右目を歪めながら佐津香、
「2度とゴメン。」

その一言に優維香、こちらも目を丸く、口を噤んで、そして、
「かかかかか。…うんうんうん。確かに。」

佐津香、顔をグシャリとさせて、下唇をビロンと。
「とにかく、大変なんだから~~~。もぅ~~。」

途端に体を揺さぶってまでお道化るように優維香、
「うんうんうん。分かる、分かる。」
何度も頷きながら、
「ほんと。大~~ぃ変~~ん。…ねぇ~~。」

「とにかくねぇ。」
佐津香。
「パパでもぅ~~~。懲り懲りだもんね~~。」

優維香、
「かかかかか。散々だったもんね~~。」
けれども優維香、目だけ天井に向けて、顔を傾げて…。
「でも…。不思議な事に、家に友達呼んでさ。…それこそ、年中庭でバーベキューやったりで…。」

佐津香も、
「うんうんうん。」

「飲んで、食べて…。結構飲んでいて…。それでも酔っぱらわずに、最後まで…。それこそ、パパ、どんだけ飲めんのよ。って、思うくらいにお酒強くって。家では大丈夫なのに、なんで外で飲むと、玄関でバタンキュ~~。おかあさんと一緒にここまで運んで、仕舞にはソファで…。全然起きないんだもんね~~。女ふたりで…。ここまで運ぶのにも、た~~いへんなんだから~~。…ってか…、私…、まだ小さかったんだぞ~~、その頃は~~。」

何度も頷きながらの佐津香、
「うんうんうん。そぅそぅ。…あの頃はね~~。まっ。確かに。病気もある意味、影響はしていたんだって…。先生も言ってたけど…。ただ…。お酒だけはね~~。逆に…、煙草を吸わないから、その分。」

優維香もその声には、
「うんうんうん。煙草…???…んなもん吸ってどうする…???…俺に早く死ねってか…???…って言うくらいだったもん。」

佐津香もニコニコと、
「うんうんうん。煙草の匂いだけで、場所変えようって言う人だったから。お酒だけはね~~。しかも…、お酒飲んだら、親父ギャグ連発。」

優維香、途端に笑って、
「かかかかか。うんうんうん。子供心に可笑しかったよ。…まっ。それに…、私にとっても、かっこいいパパだったし。いろんなとこ、連れてってもらったし。いくら…、早老と言っても…、逆に、渋い俳優さんって感じだったもん。…そういう意味では、パパと結婚してくれたおかあさんには感謝。」

そんな優維香に佐津香、丁寧に頭を下げて、
「いえいえいえ。こちらこそ、生まれてくれて、ありがとうございました。」

瞬間、優維香、
「…って、産んでくれたのはおかあさんでしょ。かかかかか。」

「まねぇ~~~。」

「でも…。」
優維香、
「その課長さんって、どんな顔してんの…???」

佐津香、右目を歪ませて、
「どんな顔…???…かぁ~~~。」
目をキョロキョロと…。
「ん~~~。そぅいぅ…風に言われると…、なんとも…。こっちが…、どんな顔って…なっちゃうけど…。…まっ。ある意味、鼻筋は…、整ってはいる…かな~~。…とにかく…、ガタイはいい。僅かに…、彫りは…深いかな~~。そんな感じ。」

その話に優維香、
「へぇ~~~。じゃあ~~。まぁまぁ。いい感じじゃない…???」

途端に佐津香、口を歪ませて、
「え゛ぇ~~~ぇえ~~~???」

「あっ。」
すかさず優維香、
「でも…、まっ。おかあさんの事だから…。パパ以上の男性には…、興味なし。」

「ザッツライ。」
そして佐津香、
「かかかかか。いい事いうね~~。…まぁね~~。亡くなって16年。…かかかか。不思議に…、まだ、夢にもチョコチョコ出てくるから…。傍にいてくれるって…。…逆に思っちゃうんだけどね~~。」

「ふふ。パパとおかあさんの写真。パパの写真、ばっかだもんね~~。」
「当然でしょう~~。まっ。本人は死んじゃったけど…。心の中じゃ、まだ別れてないもん。」

「ふふ。うん。」

「さて。と。…」
佐津香。
「お風呂入って、寝ましょうかねぇ~~。」
両大腿を両手でパンと。

優維香、
「うん。あ。私、先に入ったから~~。」

「あ~~。うん。オッケー~~~。」






翌日、出勤してきての小埜瀬。若いメンバーたちに、少し、照れるようにも、
何かしら恥ずかしいようでも…、挨拶をして…。

そして吉竹に、
「おはようございます。」

吉竹、
「おぅ、おはようさん。昨日はどうも…。盛り上がりましたね~~。」

その声に小埜瀬、
「えっ…???えぇ~~。あ、ははははは。」

吉竹、そのまま小埜瀬にニッコリと。そして右手を肩まで、
「そんじゃ、後で。」

小埜瀬、
「あっ、部長~~。」








好きになれない。   vol,098.  「まっ。そんな事が、ありました~~。」

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