病院に到着した和奏と蒼介。 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

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好きになれない。  vol.095.

ドキドキ 病院に到着した和奏と蒼介。ナースステーションに。

そのふたりを見て凪、一礼をして、
「お待ちしておりました。すぐ先生を…。」

落ち着かない様子の和奏と蒼介。
和奏、病院からの電話では、理沙の容体が悪化した。としか…伝えられてなかった。

蒼介、心配でおろおろしている和奏に、和奏の左手を握って、
「……。」

和奏、蒼介の顔を見て、一度、鼻を啜る。


凪と一緒に現れる駒田、一礼して別室に…。


その数分後、ナースステーションに現れるひとりの女性。
「お疲れ様です。いつもどうも。」

若手看護師の国見須美(くにみすみ)。看護師2年目である。
カウンターの方に歩み寄り、一礼して、
「お世話様です、菅田さん。どうぞ。」

そんな看護師にニッコリと。
「うん。ありがと。頑張ってる…???」
流美である。

須美、ニッコリと、
「はい。ありがとうございます。」

流美、そんな須美を見て笑顔で、
「うん。じゃね。」




別室では顔を両手で塞ぐ和奏。
そして…、黙って下を向いて蒼介、両手握り拳を…。

駒田、厳しい表情で、
「残念ながら、我々の力では…、今の状況を…改善できるというのは…、不可能かと…。」

蒼介、ポツリと…、
「…下半身…麻痺。…不随…。」

泣きながら和奏、
「…歩けない…。立てないって…。理沙…。…そんな…。」

駒田、
「既に…、手の施しようがない状態に…。」


ここまで至った経緯も駒田から聞いた和奏と蒼介。


和奏は泣き崩れ、蒼介は唇を結んだまま、
「なんて…事に…。理沙~~。」
そして天井を見つめて。

そして蒼介、
「あ、あの…、今、娘は…???」

駒田、
「今は…、もぅ…、病室に…。…看護師が着いています。」


蒼介、和奏の肩を抱きながら、
「かあさん。」

和奏、蒼介に抱えられながら。

駒田、ゆっくりとふたりの傍で…。そして、廊下に出て…。

和奏、なんとか表情を変えるように…。姿勢を正して顔をキリッと…。
そして病室に…。


理沙に着いてくれている看護師、凪。ふたりに一礼して…。
「まだ…、眠ってますから…。」

蒼介、
「ありがとうございます。」
自分の後ろにいる和奏の背中に手を回して自分の前に…、
「かあさん。」

再び頬濡らす涙の和奏。
「理沙…。理沙~~。」




麗亜の病室。

流美、
「だから~~。な~~に、ふたりとも~~。さっきから黙り込んで~~。」

麗亜も将輝も、流美が病室に入ってきて以来、だんまりを決めているのだった。

「将輝。あんた、高2でしょ。何だんまり決めてんのよ。私にも話せない事…・???」

口を尖らせてるままの将輝。
ベッド上でもぞもぞとしている麗亜。

流美、腕組みをして、
「麗亜っ!!!」

麗亜、
「お姉ちゃん…。」


実は流美は将輝と麗亜の父親、菅田丈師(すだたけし)の妻、菅田明音(すだあかね)の妹である。
けれども、その明音は5年前に他界している。
丈師と明音は17歳の年齢差がある。そのために明音の妹とも20歳離れている。

麗亜が物心ついた頃、流美の事を、あんまりおばちゃんとは言えずに…。
しかも、そんな麗亜の事を流美も、冗談半分に、「おばちゃんじゃない。お姉ちゃんよ。」と、
麗亜の顔をいつも両手で撫でて可愛がっていた。
その冗談半分が、いつの間にか麗亜、「おねえちゃん。」の方が呼びやすくなり。
それ以来である。

明音の死亡原因は、若年性脳梗塞。
発見が遅く、流美がクリニックの勤務終了後、姉に何度も電話を掛けたが通じず、
自宅にいるはずの流美の下に駆け付けた時には、既に息を引き取っていた。

父親の丈師は当時、都内のビルの火災でてんてこまい。
そんな時に何度も流美からの連絡にようやく気付き、初めて妻の訃報を知ったのだった。




麗亜、ベッドの上で、
「お姉ちゃん、怒らないで聞いてくれる…???」

その声に流美、
「なんで私が怒らなきゃなんないのよ。…そういう事を…ふたりで…、やっちゃった訳…???」
少し口を尖らせながら流美。

麗亜、その声を聞いて、また引っ込み思案になり…。

流美、顔を傾げ、そして麗亜の傍に…。椅子に座って。麗亜の頭を撫でて、
「こら。麗亜、どうした…???うん…???」








信じて…良かった。   vol.015.   病院に到着した和奏と蒼介。

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