近くのスーパーで…。
中には…、珍しく2人で買い物をしている姿を見て視線を投げ掛ける人もいる。
そして…、
「あら、柚香ちゃ~~ん。へっ…???…退院したんだ~~。おめでとうね~~。」
近所のおばちゃんのひとりである。
幸乃、ニッコリと、
「お蔭様で、今日、退院出来て。これからもよろしく。」
「うんうんうん。幸乃さんも、大変だったわよね~~。ひとりっきりの柚香ちゃ~~ん。」
その後、数名と挨拶して…。
車に乗るなり、柚香、
「ふぅ~~~。会う人、会う人。退院おめでとう~~。」
そんな柚香に幸乃、
「ははは。うんうん。まっ。当然、そうなるかな~~。みんな…、ニュースを見て、知ってる訳だから…。…まっ。でも…、逆に、退院おめでとう~~って、言ってくれるだけ、ありがたいさ。にべもなく無視されたりしたら、それこそ…、逆に気分悪いだろ。」
「まっ。確かにね~~。」
そこまで言って柚香、
「うん。そうだね~~。感謝だよね~~。」
ニッコリと幸乃、
「その通り。」
車は駐車場から出る。
車の中で柚香、スマホで文字打ち。
「送信、と。」
幸乃、
「メグちゃんかぃ。」
「うん。退院日は知ってるけどね~~。一応…。と~~。ほぃ、来た~~。退院おめでとう~~。今度、ユズんち、遊びに行くね~~。やっほぅ~~。かかかか。」
運転しながら幸乃、
「ははははは。ありがたいね~~。メグちゃん、優しいね~~。」
柚香、
「私の、大親友ですから…。はははは。」
「うんうんうん。」
そして……。
「う~~わ~~~。お~いしそう~~。」
ニコニコ顔の柚香。
幸乃、
「ま。ふたりだけだし、そんなに量は作れないけど…。柚香の退院を祝しての退院祝い。」
柚香、
「うんうんうん。はは。お~~いしそう~~。」
幸乃、グラスにジュースを。
「んじゃ、乾杯。」
「うん。乾杯~~ぃ。」
食べながら柚香、
「うんうんうん。美味しい、美味しい。」
「どうだい、病院のご飯とは…???」
その声に柚香、一言、
「断然、おばあちゃんのご飯。かかか。適う訳ないっしょ。」
幸乃、ジュースを飲みながら、
「そんなに…???」
「…って言うか…。まっ。美味しくないって言ったら、誤解されるけどさ。」
「うん。」
「ま。ひとつ。味は薄いよね。如何にも、計算されているっていうの~~。」
幸乃、
「あ~~ん。」
「それに…。」
「うん。」
「体の自由が利かない。そんな中でパジャマでベッド上でご飯。しかも…、容器はプラスチック。しかも…、確かに。しっかりと洗浄されて、消毒も行き届いて、いる…かも…知れない。食器。…けど…。他の誰かが前に、その食器でご飯…。…どう~~しても…。そこまで考えちゃうとな~~。」
その話を聞いて幸乃、いきなり可笑しくなって、
「かかかかか。柚香~~。おま、そんな事まで考えてんの~~~。かかか。凄いね~~。」
柚香、いきなり、
「だ~~って。だって、だって、だってさ。今まで、家での食事がメインだったんだよ。それがいきなり、病院で…。」
幸乃、クスクスと笑いながら、
「じゃ~~。レストランやホテル、お食事処はどうなんだぃ…???それだって、前に誰かがそれで食べた~~。」
「いやいやいや。」
柚香。
「…でも、それは、食べる事を目的としてるから…。しかも…、味を売りにしてるし、見栄えも…。逆に食べてみたい。食べた~~ぃって、なるじゃん。…でも~~。病院は~~。」
「まっ。確かに、病院は病気を治してくれる、ところだからね~~。」
「まっ。美味しく…ない事は…、ないけどね~~。食欲をそそる…と、言う意味では…。厳しいかな~~。」
「おはあちゃんも、食べてみたくなったね~~。」
「あ~~。やめといた方がいい~~。そぅなったら、私、毎日ご飯作んなきゃなんない~~。朝、やばいのに~~。」
「確かに。時間、ギリギリの柚香様で、ありますから…。」
「仕方ないよ~~。まぁ…。でも、病院で…。入院してて、またかな~~り、寝坊癖、付いたような~~。ちゃんと、起こしてよね~~。」
幸乃、
「スマホのアラーム、あるだろうに~~。」
「なんだけど~~。アラーム鳴っても、すぐにうるさいって、消しちゃうから~~。」
「それじゃあ、意味ないでしょ~~。」
「だから~~。」
柚香、幸乃の前で両手を合わせて、
「お願い。」
「全く…、困った子だね~~。二十歳の娘が~~。…これで彼氏なんか出来たら、どうすることやら。」
その声に思わず柚香、下唇をビロンと。そして、
「彼氏なんて…。」
瞬間、口を尖らせて、目をキョロキョロと。
そんな柚香を見て幸乃、僅かに顔を傾げて、
「彼氏なんて…???…なんだぃ…???」
今度は柚香、僅かに口を窄ませて、また目をキョロキョロと…。着メロ。
「あっ。メグ。はいは~~い。……。うん。今、おばあちゃんとご飯。」
そんな柚香を見て幸乃、
「ふふふ。」
柚香、スマホを耳に、
「うんうんうん。…え~~~。ははは。…そっか~~。」
LIBRA~リブラ~ vol,016. 「お蔭様で、今日、退院出来て。これからもよろしく。」
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