「お蔭様で、今日、退院出来て。これからもよろしく。」 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

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好きになれない。  vol.104.

ドキドキ 近くのスーパーで…。

中には…、珍しく2人で買い物をしている姿を見て視線を投げ掛ける人もいる。

そして…、
「あら、柚香ちゃ~~ん。へっ…???…退院したんだ~~。おめでとうね~~。」

近所のおばちゃんのひとりである。

幸乃、ニッコリと、
「お蔭様で、今日、退院出来て。これからもよろしく。」

「うんうんうん。幸乃さんも、大変だったわよね~~。ひとりっきりの柚香ちゃ~~ん。」


その後、数名と挨拶して…。

車に乗るなり、柚香、
「ふぅ~~~。会う人、会う人。退院おめでとう~~。」

そんな柚香に幸乃、
「ははは。うんうん。まっ。当然、そうなるかな~~。みんな…、ニュースを見て、知ってる訳だから…。…まっ。でも…、逆に、退院おめでとう~~って、言ってくれるだけ、ありがたいさ。にべもなく無視されたりしたら、それこそ…、逆に気分悪いだろ。」

「まっ。確かにね~~。」
そこまで言って柚香、
「うん。そうだね~~。感謝だよね~~。」

ニッコリと幸乃、
「その通り。」

車は駐車場から出る。

車の中で柚香、スマホで文字打ち。
「送信、と。」

幸乃、
「メグちゃんかぃ。」

「うん。退院日は知ってるけどね~~。一応…。と~~。ほぃ、来た~~。退院おめでとう~~。今度、ユズんち、遊びに行くね~~。やっほぅ~~。かかかか。」

運転しながら幸乃、
「ははははは。ありがたいね~~。メグちゃん、優しいね~~。」

柚香、
「私の、大親友ですから…。はははは。」

「うんうんうん。」




そして……。



「う~~わ~~~。お~いしそう~~。」
ニコニコ顔の柚香。

幸乃、
「ま。ふたりだけだし、そんなに量は作れないけど…。柚香の退院を祝しての退院祝い。」

柚香、
「うんうんうん。はは。お~~いしそう~~。」

幸乃、グラスにジュースを。
「んじゃ、乾杯。」

「うん。乾杯~~ぃ。」



食べながら柚香、
「うんうんうん。美味しい、美味しい。」

「どうだい、病院のご飯とは…???」

その声に柚香、一言、
「断然、おばあちゃんのご飯。かかか。適う訳ないっしょ。」

幸乃、ジュースを飲みながら、
「そんなに…???」

「…って言うか…。まっ。美味しくないって言ったら、誤解されるけどさ。」

「うん。」
「ま。ひとつ。味は薄いよね。如何にも、計算されているっていうの~~。」

幸乃、
「あ~~ん。」

「それに…。」
「うん。」

「体の自由が利かない。そんな中でパジャマでベッド上でご飯。しかも…、容器はプラスチック。しかも…、確かに。しっかりと洗浄されて、消毒も行き届いて、いる…かも…知れない。食器。…けど…。他の誰かが前に、その食器でご飯…。…どう~~しても…。そこまで考えちゃうとな~~。」

その話を聞いて幸乃、いきなり可笑しくなって、
「かかかかか。柚香~~。おま、そんな事まで考えてんの~~~。かかか。凄いね~~。」

柚香、いきなり、
「だ~~って。だって、だって、だってさ。今まで、家での食事がメインだったんだよ。それがいきなり、病院で…。」

幸乃、クスクスと笑いながら、
「じゃ~~。レストランやホテル、お食事処はどうなんだぃ…???それだって、前に誰かがそれで食べた~~。」

「いやいやいや。」
柚香。
「…でも、それは、食べる事を目的としてるから…。しかも…、味を売りにしてるし、見栄えも…。逆に食べてみたい。食べた~~ぃって、なるじゃん。…でも~~。病院は~~。」

「まっ。確かに、病院は病気を治してくれる、ところだからね~~。」
「まっ。美味しく…ない事は…、ないけどね~~。食欲をそそる…と、言う意味では…。厳しいかな~~。」

「おはあちゃんも、食べてみたくなったね~~。」
「あ~~。やめといた方がいい~~。そぅなったら、私、毎日ご飯作んなきゃなんない~~。朝、やばいのに~~。」

「確かに。時間、ギリギリの柚香様で、ありますから…。」
「仕方ないよ~~。まぁ…。でも、病院で…。入院してて、またかな~~り、寝坊癖、付いたような~~。ちゃんと、起こしてよね~~。」

幸乃、
「スマホのアラーム、あるだろうに~~。」

「なんだけど~~。アラーム鳴っても、すぐにうるさいって、消しちゃうから~~。」
「それじゃあ、意味ないでしょ~~。」

「だから~~。」
柚香、幸乃の前で両手を合わせて、
「お願い。」

「全く…、困った子だね~~。二十歳の娘が~~。…これで彼氏なんか出来たら、どうすることやら。」

その声に思わず柚香、下唇をビロンと。そして、
「彼氏なんて…。」
瞬間、口を尖らせて、目をキョロキョロと。

そんな柚香を見て幸乃、僅かに顔を傾げて、
「彼氏なんて…???…なんだぃ…???」

今度は柚香、僅かに口を窄ませて、また目をキョロキョロと…。着メロ。
「あっ。メグ。はいは~~い。……。うん。今、おばあちゃんとご飯。」

そんな柚香を見て幸乃、
「ふふふ。」

柚香、スマホを耳に、
「うんうんうん。…え~~~。ははは。…そっか~~。」








LIBRA~リブラ~   vol,016.   「お蔭様で、今日、退院出来て。これからもよろしく。」

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