「私ら慌ててさ~~。この人の家って…状態。」
佐津香。
優維香も、
「うんうんうん。」
「…で。申し訳ないんだけど…、その方の身体検査。」
瞬間、優維香、
「ぶっ。」
けれどもすぐさま、瞳をキョロキョロと。
「あ、うん…。…でも…。…確かに。そうなる。うんうんうん。」
「まっ。タクシーに乗ってすぐに場所分かんないから武一に電話して。そうしたら、ようやくあいつ、出てさ。」
キョトンとして優維香。
「でも…。この1ヶ月その方と一緒にご飯食べていながらにしても、その方の家もしらないんだから~~。武一~~。」
その話に優維香、口を丸るく、
「おっとっとっと。」
「東京タワーが見える。って、聞いたから。」
「芝公園…???」
佐津香、両眉を上下に。
「身体検査したら、不動産の名刺が…。」
「凄~~。それで分かるじゃん。電話したんでしょ。」
また佐津香、両眉を上下に。
「電話に出てくれたのよ~~。それからは…、何とかね~~。」
優維香、話を聞きながらにニコニコと、
「うんうんうん。」
「でもさ~~。とにかく、あのタクシーの運転手。中々~~。サービス精神凄いね~~。」
「ふ~~ん~~???」
「その方の住所、分かるまで、時間、待ってくれて。」
「ふんふんふん。」
「それに…、なんと。」
「その方の家、着いたら、その方の右腕、私、自分の首に回して…。そしたら、運転手さん。自分から進んで、その方から私を放して、自分で。」
優維香、
「わお。優しい~~。」
佐津香、そんな優維香の声に、
「うんうんうん。…で、ようやっと。…まっ。鍵も…。」
そして佐津香、
「シッシッシッ。まっ。プランターって…。」
「あるあるだよね~~。」
「意外と…。知っているようで…。知らない。まっ。他人様の家、鍵掛かってたら…、それ以上に無理になんて…。考える人…。いたら…、それこそ。」
優維香、
「何かしらの。問題あり。」
佐津香、また両眉を上下に。
「そんな訳で…。何とか。玄関を開けて、その方を…。」
「無事に。」
「そうしたら…。何と。」
優維香、いきなり、
「えっ…???…まだ何かあるの~~~???」
佐津香、またまた両眉を上下に。
「タクシーの運転手は帰った。」
優維香、口を尖らせて、
「うんうんうん。」
「私たち、さて、家の中に…。と、思ったその時。すみませ~~ん。」
途端に優維香、また両眉をへの字に。
「うん…???」
佐津香も両眉を歪めて、
「いやいやいや。私たちびっくり。何と。タクシーで電話した不動産の人が…。」
いきなり優維香、
「うそ―――――――っ。」
佐津香、また両眉を上下に。
「わざわざ。」
優維香、口を大きく、
「ありえね――――――っ。…いやいや。…わざわざ…。しかも…、夜遅く。」
壁の時計を見て。
「10時過ぎてるでしょ。今、11時半だから。」
「お歳が…。23歳ですって。…しかも…。何とも幼げな…。そんな彼女。」
優維香、
「わお。若っ。」
「1歳半の…、赤ちゃんがいるそうで…。」
慎ましやかに佐津香。
優維香、思わず、右目を歪めて、母に、
「何がいいたい…???」
佐津香、両手を、
「…と、まぁ~~。そっちは、こっちに置いといて~~。とにかく、その方を部屋に。いや…。結構~~。古い家だとは言うけど…。何ともこじんまりとして入るけど…。感触は…。うんうんうん。何とも…。」
「へぇ~~ぇえ~~。そういう…事が、今さっき。」
佐津香、
「うん。あったので…、あった。ふ~~~。…なんだ…けど~~。」
その声に優維香、
「うん。」
「なんだ…、けど~~~。」
優維香、顔を傾げて、
「なんだ…、けど~~~、…を…???」
佐津香、今度は腕組みして、顔を傾げて、
「何とも…、あぁいう人、いるもんだな~~って、思ってね~~~。」
優維香、母の話に、こちらも顔を傾げて、
「あぁいう人、いるもんだな~~???…あ…???」
佐津香、
「あ、うんうんうん。つまりはさ…。あれだけ飲んで…。」
「潰れて。」
「うん。」
「すると…。」
「うん。」
「とにかく。…起きない。」
瞬間、優維香、
「えっ…???」
「全くと言っていい程に…。起きない。」
「うそ。」
「ほんと。…だ~~って~~。途中で起きていたら~~。4人で部屋まで運んで~~。布団に寝せるなんて。」
いきなり優維香。
「うそ。布団に…???」
途端に佐津香。
「いやいやいや。そのまま玄関にドン。なんて…。」
思わず優維香、
「あ。あははははは~~。確かに。」
「それに…。不動産の彼女まで来てるのに。」
優維香、
「かかかかか。確かに。」
「でもね~~。結局は…。まず、一度も目を覚ますことなく…。…今頃、スヤスヤと…、眠っておいででしょう~~。」
優維香、
「へぇ~~ぇえ~~。お酒飲んで、強くって…。…けど、潰れてダウン。…で、まず起きない。かかかか。パパそっくり。」
好きになれない。 vol,097. 「東京タワーが見える。って、聞いたから。」
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庄司紗千 つつじヶ丘の坂道で…。
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。