口を噤んで小埜瀬を見る優維香。
小埜瀬、そんな優維香にキョトンとしながらも、
「えぇ。」
真宮もほくそ笑みながら、
「いやいやいや。あれで…。痛かった。激痛だ…って。いうか…。普通は…、意識も…。」
池辺も、
「階段の…、真ん中…辺りからでしょう~~???…まっ。確かに。普通なら…、意識…ない…。」
顔を傾げて。
小埜瀬、目をパチクリと…。
「いや…。…と、言うより…。経験でしょうか。…どうする事も出来ない。…けど…。最小限…???…の、自己防衛…???」
そこまで言って小埜瀬、恐縮しながらも、
「あ、いや…。僕も、あんまり良くは…。でも…。体が…、自然に。」
隣で優維香、顔をコクリと。
「体が自然に…。あ~~。うんうんうん。どうする事も出来ない。でも…。最小限、自己防衛。…でも…。これは…。やっぱり…、リーダー自身じゃないと…。分からないですよね。」
小埜瀬その声に、ニコリと。
「ですよね。」
優維香、
「でも、凄いです。そのガーゼ。」
そして自分の顔のお凸と頬、そして顎に指でトントンと。
池辺、
「ちょ~~っと~、ハンサムが台無し~~、かな…???」
瞬間、真宮、
「ぷっ。かかかかか。」
苦しい笑いをして小埜瀬を見ながら…。
小埜瀬、僅かに困ったような顔で、
「池辺課長~~。揶揄わないでくださ~~い。」
真宮、上着の内側からスマホを…。
「はい、真宮です。」
いきなり椅子から立ち上がる真宮。
遠くで友也、亘夢に、
「何か、チーフとリーダー、良い感じですよね~~。」
亘夢、
「んふ…。実は、私も前々から、そぅ思ってた~~。」
いきなり友也、
「うそ。」
「だ~~って~~。チームにしても、リーダーにしても、センス凄いもん。」
「確かに。」
巴月、
「友也~~。ほれ。飲め飲め~~。」
いきなりの声に友也、
「わっ。ピッチャー~~。」
亘夢も、
「は~~い。友也~~。飲め飲め~~~。」
巴月、
「唯一のトラディショナル事業部、男子~~~。」
部屋から出て真宮、そしてスマホを耳に。
「…あ、はい。はい。…えっ…???……。そうですか~~。…分かりました。わざわざありがとうございます。はい。はいはい。えぇ。はい。そうです。…それでは…、失礼します。」
そして通話は切れる。
「おぃおぃ。マジかよ。」
部屋に戻って真宮、優維香と話をしている小埜瀬に耳打ち。
いきなり小埜瀬、真宮に、顔を。
「えっ…???」
真宮、そんな小埜瀬に両眉を上下に。
そして、
「ちょっと聞いてくれ~~、みんな~~。」
池辺、真宮を見て。メンバーたちも一斉に真宮を。
「今、病院から電話があった~~。結果。病院に運ばれた女性は、助かったそうだ~~。」
ニコリとして。
瞬間、メンバーたち、
「わ~~~。」
小さな拍手。
「俺たちが来る前まで、MRIにいたらしいが~~。その結果、命は取り留めたとの事。あれで、気付かれないでいれば…、多分…。」
そして真宮、一拍置いて。
「脳梗塞の一歩手前だったという。」
瞬間、小埜瀬も優維香も悠里も、
「脳梗塞。」
優維香、小埜瀬に、
「脳梗塞って…。」
小埜瀬、右手を振りながら、
「いや…。今、部長、女性は助かった。と、言う事だけ。」
悠里、優維香に、
「脳梗塞って…。」
優維香も、
「うんうんうん。」
悠里、小埜瀬に、
「リーダー、ナイス。」
右手親指を突き出して。
そんな悠里に小埜瀬、ニッコリと。そして、
「ふ~~。そっか。とにかく、良かった。」
「それと…。」
真宮。
「家族にも連絡が付き、今、病院に向かっているそうだ。」
池辺、
「良かった~~~。」
両手で静かに拍手。
優維香も悠里も頷きながら、
「うんうんうん。」
池辺、
「部長の話だと、小さなお子さん。」
「あっ。そうだ。」
「うんうんうん。」
「だよね~~。」
メンバーたち。
優維香と悠里も、
「うんうん。」
小埜瀬、
「確かに。…だったですよね~~。」
真宮、
「あぁ。」
一点を凝視して、
「小さな女の子。ようやっと階段を上って下りられる。そんな小さな女の子だ。ママ~~って、女性に駆け付けて、すぐさま泣いちゃったけど…。…結局、僕が女の子、負ぶって救急車に。」
「おやおやおや。そうだったんですか~~。」
池辺、僅かに目を潤ませて。
「まぁな。」
真宮。
「まさか、怪我人にそんな事、させられないし。」
小埜瀬を見て…。
小埜瀬も、コクリと、
「えぇ~~。救急車の中で、僕の傍で女性ばかり見つめて。ジ~~ッとしてました。時々、ママ~~って…。」
優維香、
「ですよね~~。」
悠里、
「可哀そう~~。…それに…、女の子、今も病院でひとりで…。」
真宮、部屋の照明を見ながら、
「まっ。そう言う事に、なるなぁ~~。…けどまぁ。そういう意味でも、そのための病院でもある。看護師が…。なんとか、ケアしてくれるだろう。」
池辺、頷いて、
「うんうんうん。」
そして、
「とにかく、残りの時間、歓迎会。楽しみましょう~。」
その声にメンバーたち、ニコニコと、
「はい。」
「了解です。」
「…って、言うか…。リーダー、怪我しててお酒…。」
優維香。
好きになれない。 vol,120. 口を噤んで小埜瀬を見る優維香。
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