羅平の宿で、
中国に到着後、
初めての朝を迎えた。
僕は、すぐさま寝グセを直し、
まずは街を探索する。
この街に住む民族は、
男女問わず、
やや褐色で小柄、
年齢が分かりにくい印象。
人気の娯楽は、
トランプ(ルールは分からない)と、
麻雀らしく、
特にトランプは昼夜問わず、
街のいたる所で楽しまれていた。
人間の生活からにじみ出る
「生々しい活気」のある街。
日本人の姿は、
一度も見かけない。
僕は、周囲の人々の目線から、
ここでは自分が「めずらしい存在」
であることを、時間の経過と共に
自覚してゆくのだった。
しかし街の人々は、
僕に好奇な目線を
向けては、くるものの、
いざ話しかけてみると、
対応は穏やかな人ばかり。
数時間の探索を終えた僕は、
ひとまず宿に戻り、
少しだけ眠った。
4時間ほど
眠っただろうか。
日は、すっかりと落ち、
宿の窓から見えた
野菜売りのお婆ちゃんの姿は
もうなかった。
僕は再び街に繰り出し、
ある「屋台」を目指す。
今夜リンネと食事をしようと
決めた屋台だ。
街の中心は夜も賑わっている。
だが、路地を少し入ると
街灯は暗く、
店仕舞い後の
静けさが漂っていた。
ひときわ明るい
屋台のひかり。
リンネは、見知らぬ人と
火鉢を囲っていた。
なぜか屋台の中に入り込み、
すでに場に馴染んでいる様子だ。
リンネが携帯で撮影している
僕に気づいた。
「お、Chika-lama来たね!」
「お待ちどう」
「この屋台、目立つから、すぐ分かったでしょ」
「まあ、楽勝だね」
「はははっ。よし、食べよう!」
1本、40~150円くらい。※
焼いて、チリパウダーを
つけて食べる。
このパウダーが旨い※
いつものことだが、
リンネと久々に会った感じは
しなかった。
それから数日間、
僕たちは羅平を拠点とし、
バスを乗り継ぎ、
時間の許す限り、目一杯、
さまざまな場所を訪れた。
その後、僕たちは、
建水(けんすい)までの
約10時間に及ぶ道のりを、
いっきに南下する。