【リアルタイム小説】Part.8〜目的〜 | Chika-lama’s ブログ

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宇宙の誕生から138億年。

僕の命はせいぜい100年・・・

一瞬であろう人生は、すでに40年を経過した。

万人に向けた言葉は、書くことができない。

書けるのは、納得のできる、自分の言葉。

そろそろ僕も言わせてもらおう。


僕とリンネは、

中国•雲南省、元陽の村で

数日を過ごした後、

長距離バスを乗り継ぎ、

中国とベトナムの国境を越えた。

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中国での生活は、僕にとって

とても刺激的、そして過酷だった。


おそらく、リンネにとっても

そうだったに違いない。


安全な飲み水、暖房、

熱いお湯が出るシャワー、

紙が流せるトイレ、

迷わない道、インターネット、

無意識でも通じる言葉…



日本では普段から

当たり前のようにあったものが、

そこには無かった。


あるのは、自然の中に

ひっそりと切り拓かれた、

ささやかで生々しい生活と日常。



そんな状況が、

物に満たされていた

僕たちの精神を、

いつの間にか窮地に追い込む。



僕たちは、

なにか問題が起こるたび

本音で話し合い、

時に、ぶつかった。



何度ぶつかり合っても、

僕たちは分裂せずに、

互いに歩み寄り、

「建設的な結論」を出しながら、

着実に前進してゆくのだった。


ぶつかり合った結果、

「破滅」ではなく、

「前進」が出来るのは、

互いに相手への「信頼」

がある場合に限る。



僕は、リンネと

10年来の付き合いだが、

今まで気づかなかった

リンネの性格や物事の考え方、

新たな一面などを

次々と発見することとなる。


それは同時に、

僕自身が、どういう人間かを

知ることにも繋がる。


リンネには、「僕自身」の姿が

映っているのだと、日々感じた。



旅はいつでも、目的の場所を目指し、

移動し続け、初めて目にする光景、

人びとの生活、文化などに刺激され、

心が動き、己の感性や考え方、

生き方を磨きあげる。


僕は、それらこそが、

旅人が旅をする目的だと

考えていた。



実際は、どうなのだろう。



そもそも旅に目的なんて、

あるのだろうか。



旅人が旅をするのは、

なにか目的があるのではなく、

「旅をすること自体が目的」

ではなかろうか。


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※ベトナム•サパの宿からの景色※











Part.9へと続く