【リアルタイム小説】Part.9〜自然体〜 | Chika-lama’s ブログ

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宇宙の誕生から138億年。

僕の命はせいぜい100年・・・

一瞬であろう人生は、すでに40年を経過した。

万人に向けた言葉は、書くことができない。

書けるのは、納得のできる、自分の言葉。

そろそろ僕も言わせてもらおう。

中国からベトナムに入国した時、

僕が、まず感じた率直な印象は、

「ベトナムはキレイ」だった。


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景色のことではない。


ベトナムは、中国に比べると

驚くほど道端のゴミが少なく、

店も道路も、キチンと整備されていて、

街には英語を話す人も多く、

ラクで居心地が良かった。


「国が違えば文化が違う」というのは

当然なのだろうが、

その文化を分けるのが、

わずか50メートルほどの

国境であることが、

「島国•日本」で育った僕からしてみると、

とても不思議に思える。


僕は、しばらくの間、

中国との国境を振り返り、

見つめていた。






僕たちは、まずベトナム北部の

「サパ」という街に宿をとり、

翌日には夜行列車で南下した。


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※夜のサパ※

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※サパからバイクで40分ほど
走ると、少数山岳民族の村がある※

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目的地は、ハノイの南側に位置する

「ニンビン」。



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※夜行列車でニンビンへ※







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※内陸のハロン湾と呼ばれる、ニンビン※

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※手漕ぎの船に乗り、洞窟の中などを2時間ほど観光できる

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※静かで最高の景色。ゆっくりと船を漕ぎ続ける「ギシッ、ギシッ」という音だけが耳に残っている※




この頃になると、僕とリンネは、

お互いの性格の「クセ」を理解し、

干渉はせずに尊重できる、

いわゆる「自然体でいられる」

関係を築いていた。


僕にとって、常に「自然体でいられる」

というのは、とても大事なことで、

この旅に限らず、人生において

僕の目指すところでもある。


人や状況によって態度を変えることはせず、

流されず、どんな時でも「脱力」した

「自然体」でいられる人を、

その性格や見た目、気性に関わらず、

「魅力のある人物」だと、僕は考える。


相手のことを考えないとか、

空気を読まず、

自己中心的に振る舞うといった

意味ではない。



自分自身と、しっかり向き合い、

己の正直な心の声に耳を傾け、

まい進を続ける人間。


日々の生活に追われ、

忙しさやストレス、

人間関係などで疲れ果て、

いつの間にか自分を見失い、

その状態に慣れてしまっていては、

その間に死んでしまう。



本来あるべき「オリジナルな自分」

の姿を掘り起こしてゆく作業は

たゆまぬ努力を必要とし、

容易ではないが、ひとりの人間として

生涯をかけ、少しでも近づく価値がある。


自然体で切り拓く人生こそが、

僕にしか出来ない、

「本当の生き方」なのだ。



僕は、船頭に座り、

まるで時間が止まっているかのような

錯覚を起こす空間の中で、

ニンビンの山を眺めながら、

そんなことを考えていた。



物言わぬニンビンの山。



高さこそ、それほどないものの、

個々から湧き出てくる

圧倒的な「存在感」と「重厚感」は、

もはや言葉を超越している。


その生き様を、真正面から

堂々と見せつける山たちは、

なにを語らずとも、僕の心を揺さぶり続け、

僕自身も「個」の存在であることを

簡単に証明してみせたのだった。






最終章へと続く