人工プラスチックに塗られた膜。
口の中に押し込まれる。
僕は諦めなかった。
膜を飲んで、気を許せば気持ち良くなれる。
幻覚が見え始め、全てがハッピーになるんだろう。
でも、それじゃ現実が見えない。
みんな、今、何をされているのか解らないままだ。
悪い人が裏で機械を操作して人を騙してる。
現実は賑やかなパレード。
可愛いキャラクターのパネルが揺れる。
はしゃぐ子供たち。
その裏では、人を騙す事に快感を得るヒト。
お金を払った後も、まだ膜が効いているんだろう。
みんな楽しそうに帰っていくんだ。
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正気を保ちながら、彼らを止めていく。
そこで、無慈悲に出発したコースター。
行先は、バラバラの歯車。
「あのコースターに君の両親が乗ってるよ」
もう、手遅れだった。
絶望の中、僕は、罰として、溶解炉へ放り込まれた。
「あぁ、また、このままあのジゴクに行くんだ、でも…。今回は、話を聞いて欲しい」
ジゴクへ堕ち、いつもなら、僕が拷問や罰を受けたり、試練を乗り越えたりして
現世を目指すのですが、今は、それどころじゃあないんだ。
「僕は、たった今、両親を失いました。悲しく悔しいのです!」
「今、地上の人達が沢山の人を騙してる。許せない。いつもはここに堕ちたら、僕が拷問されるのでしょう。けど、今だけは!どうか力を貸して欲しいのです!」
そう叫んだ。
突然、身体が浮き上がり地上へ戻された。
地上の空の上へ。
地上から見下ろした。
あの悪い人たちは
奈落へ引きずり込まれて消えた。
彼らはどこへ裁かれ、捌かれるのか。
僕の悲痛の願いを、叫びを、
今回はジゴクの魔が味方をしてくれました。
あの場所は、僕が何度も拷問を受ける場所です。
親を殺された悲しみは、あまりに強く魔に届きました。