KyojiOhnoのブログ

作曲家、編曲家、ピアニストそして製作会社の経営者ですが、ここでは音楽以外の社会一般のことの雑感について書きます。

衆院選の敗因分析ー野党共闘は間違っていないー野党共闘の徹底ができなかったことが問題

先日の衆議院選挙の結果は私も確かにショックで、メデイアの多くは「野党共闘は失敗」「見直すべきだ」との論調が専らだ。

だが今回の選挙結果を冷静に分析してみよう。

例えば小選挙区だが共産党の志位委員長の分析

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なぜかメデイアでは誰も注目しないが小選挙区の当選数は2017年を上回っている。十分とはいえないが、これだけで野党共闘が間違っていると断じるのはいかがなものか?

特に今回大きな「誤算」となったのは旧希望の党の票の大多数が維新に流れたという点

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17年総選挙⇒21年総選挙(比例得票数)
与党   2553万(自公)⇒2703万(自公)
補完勢力 1306万(希維)⇒805万(維)
共闘勢力 1643万(立共社)⇒1889万(立共れ社)

この得票数が正しいとすると今回の選挙

(1) 旧希望の党含め維新単独に805万流れたこと

(2) 今回維新は候補者数を大幅に増やしたため比例復活候補が多数発生したこと

ちなみに関西を除く維新の候補者には旧民進党系の候補者が多くそこは切り崩すことは可能ではないかと思う。
何にせよ野党共闘は断じて間違っていない。 

今回を教訓に戦略を練り直せば必ず活路を見出せると思う。東工大教授(政治学)中島岳志氏は今回の選挙の失敗について以下のように指摘する 

メディアの多くは「野党共闘は失敗」「見直しへ」と言っています。しかし、各選挙区の「惜敗率」を見ると、野党候補の得票を100として、与党候補から90%以上に迫られた野党共闘候補は25人。逆に惜敗率90%以上で競り負けた野党共闘候補は、33人います。80%以上だと54人です。八割以上の惜敗率というのは、次の選挙で当選の可能性が高いとされています。ここはもう少し野党共闘がしっかりしていれば当選したかもしれません。
 
これを見ても野党共闘は間違いなく効果がありました。野党共闘が否定されたのではなく、〝野党共闘の不徹底こそが問題〟なのです。秋には間違いなく解散・総選挙があるということはずっと前からいわれてきました。しかし市民連合が仲立ちして「共通政策の合意」ができたのが9月8日。立憲民主党日本共産党が「政権協力の合意」をしたのは9月30日です。投票日まで1カ月しかなかった。日本共産党は早い段階から、共通政策と政権協力、選挙協力での合意を求めてきました。しかし候補者調整が本格的に始まったのは解散日が決定してからでした。これでは野党の候補者調整にあたって、(消費税減税や積極財政などの)ボトムアップ議論や手続きはとれません
 
(前・立憲代表の枝野幸男氏がとった)ぎりぎりまで引っ張って「もう解散なんだから」と押し切る手法は、「ショック・ドクトリン」(火事場泥棒)のようなもので、危うさが指摘されてきました。〝血の通った野党共闘〟へ、もっと努力すべき課題は多くあったと思います。

この見解に同意する、

さらに付け加えるとすればよくSNS等で「メデイアは野党を全く取り上げない」「政権に忖度ばかりしている」という投稿をみかけるが大手メデイアが取り上げざるを得ない話題を作るという努力も必要だ。

ジャーナリスト鮫島氏の分析である。

> しかし、枝野氏の選挙戦略はオーソドックスで魅力に欠けた。


> 「次の内閣」をつくって共産党の田村智子参院議員や元文部科学事務次官前川喜平氏ら無党派層に人気のある政治家・民間人を起用したり、コロナ対策の「野党版専門家会議」を設置して公衆衛生学の専門家だけではなく現場の医師や貧困・非正規労働問題などに取り組む人々をメンバーに加えたり、ドキュメンタリー映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』で話題を集めた小川淳也氏を要職に抜擢したり、カリスマ性のあるれいわの山本太郎氏を野党共闘の目玉候補として自民大物の選挙区にぶつけたり……野党に注目を引き寄せる手はいくらでもあったはずだ。

president.jp

以上を見れば今回の選挙の敗因が自然に見えてくる。決して野党共闘が間違っていたから負けたのではない。原因として

1.野党共闘が寧ろ不十分だった。「共通政策の合意」「政権の合意」及び選挙調整があまりに遅すぎたこと

2.野党の政策のプロパガンダのメデイア戦略が「ない」に等しかったこと

3.旧希望の党がリベラルに全部行くという誤った認識をもったこと。特に旧民進党系の候補で維新で立候補した候補を軽視しすぎたこと

数学的な言い回しだが、野党共闘は必要条件だが十分条件ではないといえるだろう。「野党共闘=勝てる」という思いこみもあったかもしれない、野党共闘は必要だが野党共闘だけでは勝てないのである。

というわけでメデイアのこれでもか、というくらいの「野党共闘批判」については私はメデイアの「野党つぶし」にあたるのではないかと思う、この点も志位さんのこの主張に同意する。

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