(「鉄砲玉」からの続き)

 

 福建省厦門(アモイ)市は、厦門島を中心に発展した都市です。島と大陸側は橋で繋がっており、島の北側に位置する大陸側も厦門市です。

 

 台湾に古くから住んでいる方達の故郷(先祖の地)であり、経済特区として台湾資本を取り込みたい中国政府の思惑通り、この地に会社や工場を建てる台湾人が多いのです。

 

 何故、厦門に拠点を置こうとしたかと言うと、台湾の取引先が厦門に連絡事務所を構えていたからです。更に福建省の奥地に工場も経営していました。

 

 私が勤めていた会社は、その連絡事務所を間借りして、安上がりに活動拠点を設けようと画策したわけです。しかし、そうは上手く行くわけないですよね。いや、そんなの嫌ですよ。

 

 やっぱり、独立して事務所を構えなければ面白くありません。何時まで駐在する事になるか分かりませんが、一国一城の主を目指し、あの手この手を駆使しました。

 

 先ずは、旅行ガイドブックを買いあさりました。どんな場所か、どんな風習か、通訳を如何するか(この当時、まだ中国語はほとんど理解できていません)、色々調べました。

 

 取り合えず、会社の台湾事務所の精鋭通訳を、二週間借りる事は決まっていますので、二週間で、事務所と通訳を確保しなければなりません。

 

 しかし、現地に行ってみなければ、本当の事は分かりませんので、「え~い、ままよ~」とばかりに、赴任する日を心待ちの毎日。と、そこへ、嫌な出来事が・・・。


 「お前の母ちゃん出べそ」に登場した事業部長が、台湾まで連れて行ってやるとぬすかすのです。ついでに台湾の客先と、厦門で世話になる会社にも連れて行ってやるとね・・・。

 

 「何言ってんだい、その帰りに香港寄って遊ぶんだろ」。案の定、台湾から中国に行くには、香港を経由しないとなりません。「香港まで連れて行ってやる」とぬかしやがったんですよ。

 

 こうして、1995年の4月某日、一路、事業部長に連れられて台湾(台北)へと旅立つ事になったのです。まぁ~、数日の辛抱です。その後は気楽なものとなる筈です。

 

 名古屋国際空港(現県営名古屋空港)で、出発手続きを済ませると、事業部長はサクララウンジ(JALの特別待合室)に直行、「台湾への土産買っとけよ」、「わっかりましたぁ~ムキー」。

 

 事業部長はビジネスクラス、私はエコノミー。当然と言えば当然なんですけどね。でも、その方が好都合です。狒狒爺と一緒なんて嫌ですよね。

 

 事業部長はサッサと機内へ(優先搭乗)。すると、難波のジョーこと「辰吉丈一郎」が数人のスタッフとともに乗り込んで行きました。「カッケ~」と思いましたね。身軽そうな歩き方・・・。

 

 私はと言うと、何を買ったか忘れましたが、大量の手土産とともに大層遅れて狭苦しいエコノミーの座席へノソノソと進んで、既に疲れ果てていました。「酒飲んで寝よ・・・」。

 

 日本航空は台湾に乗り入れしていません。いや、乗り入れ出来ないのです。中華人民共和国が許さないのです。そこで、完全子会社の日本アジア航空便での渡航です。

 

 実質、日本航空なんですが・・・、これも下らん面子ですよね。「バ~カ」(怒られるぞえー)。

 

 まぁ~、マイルが付くから如何でもいいですけどね。JALカード(club A)作っちゃったもんね。これからマイルを貯めるんだい。貯まったマイルで、旅行券を親にプレゼント・・・ニヤリ

 

 実を言うと、club A を持ってると、チェックインがビジネス以上の窓口で受けられる上、ラウンジも使用出来たんです。でも、会社には内緒、特に事業部長にはね・・・。

 

 バレたら、出張旅費削られる事、間違いなし。だって、今回の出張から、日当が8,000円から2,000円に削られたんです。長期滞在したら、えらい金額になっちゃうからだとさ。ケチ。

 

 私は工場駐在に選ばれた連中を励まそうと、「日当と宿泊費を合わせると、1万7千円/日は貰えるぜ、ベンツだって夢じゃないじゃん、我慢我慢・・・」、「そんなにもらえるんですか」。

 

 彼らは、まんざらでもない表情を示したのですが・・・、後日、出張旅費削減を聞き、大いに落胆していました。余計な事言うんじゃないと思い知らされた白楽雲です。

 

 私はと言うと、確かに落胆はしましたけど、それよりも現状から逃避できる事の方が大きかったですね。「何でそんなに冷静でいられるんですか」と聞かれましたけど・・・。
 

 さてと、台湾(台北)は、もう直ぐです。どんな展開が待っているのやら・・・。

 

いざ出発、バ~ン(帰って来られるのかな)

 

 

(つづく)

 

 

 

 

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白楽雲

 

 

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