伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

会派最後の会報はメンバー4人からみな様へのあいさつです。

2020年09月22日 | 市議会
 記事を紹介する前に若干説明しておきたい。

 議員だよりは、日本共産党市議団の赤旗折り込みの議会報告として作成が始まったもので、私自身がこの制作に携わったのは、今から27年前――おそらく32歳かな――議員団事務局の任についた時で、当時、1,000号まで数十号だったので、1,300数十号の作成に関わってきたことになる。

 事務局時代から記事を書いており、おそらく6割・・7割・・8割・・数えていないので分からないが、その程度の記事を書き、紙面の構成や他者の書いた記事の直しなど、基本的に全ての号の作成に関わってきた。

 この「議員だより」は、現在の会派構成員4人が、9月末を持って議員活動から離れることから、事実上の最終号となると考えている。そもそも日本共産党市議団の議会報告紙なので異論があるかもしれない。なぜ最終号というのかを説明しておきたい。

 市議会における会派は、基本的に政策が一致するものによって構成されると考えている。共産党公認で立候補し、地域分担をしながら同じ公約を掲げて当選した議員だからこそ、政策が一致するので日本共産党としての会派を結成してきたと言えるのだ。

 前回、選挙以降、共産党市議団(後に日本共産党・市民共同)としての政策活動は、一般質問や質疑、討論をたどってみると分かるのだが、今回、共産党の2人の公認候補が掲げた公約とは趣を異にするものだった。

 記憶にあるものでいうと、1つは国保税の引き下げ公約。
 今回の共産党公認候補の公約は、国保の基金を使って引き下げを図るというものだった。
 ビラを見ると、わざわざ数年前の古い数字を使って基金残高の水増しを図っているように見えるお粗末な主張だったが、私たちの会派で、このような主張をしたことはない。

 国保は、現在、制度として県に一本化され、会計の一本化に向けた準備が進められている段階にある。会計が一本化されれば、国保税額は県の段階で決めることになるが、現在は、県が示す保険者(市町村)毎の国保税の標準額を参照しながら、それぞれの保険者が国保税を決めている。

 いわき市の場合、県の示す標準額は、値上げが必要なものとなっている。しかし、本市は、基金を使って財源不足額を補てんし、値上げをしない方針を貫いて国保会計の統合を迎える考えで財政運営を進めている。会派としては、この市の考えを良としているのだ。つまり、基金を値下げの財源に使うという考えは持っていない。

 なぜなら、現状でも、会計が統合する頃には数億円を残して基金が枯渇する見通しとなっており、値上げをしない方針も、ある意味綱渡りの方針となっている。仮に、値下げに基金を充当すれば、国保税引き下げ分の財源が不足し、会計の県統一前に、国保税を大幅に引き上げることになりかねない。以前なら、値上げ抑制の財源を一般財源から入れろと言っていたのだろうが、一般財源に、その余裕があるとも言えないのだ。

 一方、法定減免は、国の制度改正によって減免対象者の枠が拡大する傾向にある。減免対象者となる低所得者の国保税は実質的に引き下げとなっている。こうした中で、会派として問題点を把握しているのは、県と本市の国保税の算定方式(賦課割合)の違いから、統一時に本市の低所得者は国保税が大幅に引き上げられかねないことだ。このため、県に市の算定方式と同一の考えを取り入れることで、国保税の大幅引き上げが起こらないよう市として力を尽くすことを求めている。

 本来、この問題は県の段階で取り上げるべきものだが、私が質問で問題提起をし、会報等を通じて報道しているのだが、県の段階でこの問題を取り上げた様子がない。勘違いだろうか。また、国保税引き下げのためには、国に制度の仕組みをあらため、同時に財源の確保を求めることが重要だと考えている。目先にぶら下がっている一時的な財源の基金を使って引き下げは、一時的に加入者の痛みを押さえる“麻薬”にすぎない。

 2つ目に、水害対策で土砂の除去や堤防嵩上げなどの主張のみをしていること。

 被災地では、多数の世帯が川沿いに住宅を持ち、生活を営んでいる状況を見ることができる。堤防を嵩上げすると、その分底部の幅も確保する必要が生じ、多くの家屋が影響を受けるのではないだろうか。

 また、昨今の降雨の状況を考えるに、例えば昨年の台風19号が最大の降雨となるとは断言はできず、さらに多くの降雨にさらされる危険は将来に向けて大きくなっていると考えられる。このような前提に立てば、堤防の嵩上げ等だけで今後の豪雨に対応できるのか大いに疑問がある。

 このため、私は、昨年の台風19号の災害の後の議員だよりで、山梨県にある霞堤「信玄堤」に着想を得ながら、河川内に流水を閉じ込めるのではなく、河川外に流水を誘導することによって洪水を防ぐ流域治水のあり方が必要とする視点(実際、湯本川に遊水池を確保することで豪雨に備えている)を提示した。

 また、渡辺議員は、今回大規模な水害が発生した夏井川流域の豪雨時の水量を減らすために、1つには非常時の排水ゲートがない児玉ダムで、管理用のゲートを利用した事前の排水や、農業用ため池の事前の水位低下の活用で、豪雨時の貯水量を確保し、流下する雨水の低下を図ることを求めている。

 堤防嵩上げ等の水害対策は、現実問題としてどこまでできるのか。仮に民家の移転が必要となるとするなら、その費用はどう確保するのだろう。また、移転を望まない人にどう対応するのだろう。その点をどう考えて、公約に盛り込んだのだろう。これは全く分からない。ある意味公約が無責任に響く。

 3つ目に、学校給食の無償化。今回のビラに見たのは、県と市で学校給食費の無償化を図るというものだった。

 たぶん、いわき市で必要な財源が約15億円となるため、できるだけ必要な財源を小さくすることによって実現の可能性が高いと刷り込むものなだろうが、前回、市単独でも無償化を図るとした趣旨の公約はどこに消えたのだろうか。今回の公約から見ると、県が実施しなければ市は実施しないことになるので、ちょっと無責任な感じがするのだが、どう考えているのだろう。

 これらのように、現在の会派の政策及び論戦の方向と、公約の方向が全く違う。つまり、現在の会派と、今度「日本共産党いわき市議団」を名乗るであろう新しい会派は政策が承継されないことになる。政策の一致が会派の基本であることを考えるなら、全くの別会派となると言わざるをえないのだ。

 すると、「議員だより」も、かねてからの共産党議員団の政策活動を、現実を踏まえて創造的に発展させた政策の伝達媒体としての役割を担ってきた報道紙という観点から見ると、次の会派に継承されるものとならないのだ。

 そんなことから、27日付け号を最終号とした。新しい会派がどう対応するのか、私の知るところではない。現在の4人の会派は、今号で有終の美を飾らせていただきたい。




ご支援ありがとうございました。
任期末をもち当会派は解散します。



 日本共産党いわき市議団として出発し、その後、日本共産党・市民共同と名称を変更し、約1年半年活動してきた当会派ですが、市民の願い実現を4人でがんばるとした市民への公約を貫くとともに、本紙の発行を継続し、選挙のたびにお約束する市政の問題等の報告を最後まで継続することができました。本紙では、諸問題に関する会派の政策的展開も、質問等の報道や論評という形でお知らせしてきましたが、みな様のお役に立っていれば幸いです。9月末の任期切れにともない会派は解散します。最後に、メンバーからみな様へのあいさつを掲載します。




 市議団事務局を経て議員4期15年、都合27年間市政に関わりました。
 事務局時代には、競輪場移転のサイクルパーク構想、好間中核工業団地の廃プラ発電所や内郷の山一商事産廃処分場の建設計画など、市政を揺るがす市民運動に、取材・調査、論評などで関わりました。
 初当選・初議会で市長の公約の問題点を質しました。以来、質問では、東海第二発電所への市の意見表明、選挙の政策論戦への選管の期待、討論では、賛成した本庁舎耐震改修工事、反対したいわき清苑の有料化など、私なりに知恵を凝らした論戦がありました。
 お役に立つ議会活動ができたのかは、みな様の判断に任せるしかありません。私自身は、不十分さはありながら精一杯に取り組めたと考えています。
 9月末の任期切れで活動を離れます。私の活動を支えてくださったみな様に感謝を申し上げ、御礼といたします。
代 表 伊藤浩之





会派の垣根を超えた運動

 災害公営住宅の家賃がきわめて高くなる問題に対して、自民党議員と一緒に集会を開催するなどの運動に取り組んできました。
 それができたのは、①問題を共有した、②市の住宅管理運営が大幅に黒字になることを明らかにした、③主義主張が異なる他会派の議員であっても信頼関係を築いてきたためです。
 事実に基づいた主張と信頼関係の構築の重要性を痛感しました。

自治体を超えて協力広げ

 震災の被災自治体等を狙ったコールセンター補助金詐欺事件が本市でも発生しました。
 垣根があったものの他自治体の共産党議員と情報を共有化し、国会議員の力も借りて、不十分ながらも労働者救済の道を広げることができました。
 みな様に支えられて16年間勤めてることができたことに感謝いたします。

幹事長 渡辺博之





 私は1996年に初当選し、2期目に落選。その後、2004年から16年の当選まで、5期20年間を多くのみな様から支え育てていただいて心から感謝申し上げます。
 初めての選挙公報には「働く女性・市民の願い届けます」として、特老ホーム増設や0歳児保育の充実を求め、さらに、屋根付き競輪場は撤回・見直しを掲げました。競輪場移転に500億円も使われようとしていたサイクルパーク構想は、市民世論が大きく広がり断念されました。
 また、地元の湯本第三小学校の保護者が主体となった、自校給食の継続や、食器の改善等を求める運動に関わらせていただいたことは、議員活動の原点となり、その後の活動に大きく影響を受けました。
 2年前に秋田県藤里町を視察し、それを契機に私は、「ひきこもり者」の問題に向き合って来ました。今後も行政の取組みを期待しております。
副幹事長 溝口民子





 私は2016年の市議会議員選挙で初当選させていただきました。それ以来今日まで、市民の声を市政に伝えるために努力してまいりました。
 地域のかかえている問題、学校給食費無料化、高齢者等の交通弱者対策の問題、国保税引き下げの問題、また、市営住宅入居者の負担軽減について取りあげてまいりました。
 在職4年間、いわき市議会にて大過なく勤めることができましたのは、ひとえに市民のみなさまの温かいご支援とご厚情の賜物と心から感謝申し上げます。
 今後は健康に留意し、市民のみなさまからいただいたご厚情を胸に、そして市議会議員として体験させていただいたことをこれからの人生に生かしていきたいと思っております。
 お世話になりました市民のみな様はじめ会派の先輩議員、および市職員の方々にお礼を申し上げ引退の挨拶とさせて頂きます。
副幹事長 坂本康一





お詫びと訂正=紙に印刷して配布される議員だよりの溝口民子さんの肩書きが、「副幹事著」と誤った表記になっていました。正しくは「副幹事長}です。今後の発行がないので、紙面での訂正ができないので、本ブログでの訂正をもって、お詫びと訂正とさせていただきます。


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2 コメント

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会派の垣根を超えた運動 (Unknown)
2020-09-24 07:56:54
渡辺幹事長からこの言葉が出たことで、今の会派4人は同じ考えで市政に当たっていたということがはっきりわかり、すごくうれしかったです。

今回当選された新しい議員の皆さん方も、ぜひ、市政に「是々非々」で取り組んでいただければと思います。

最後に、4人の皆様が市議会議員でなくなるのが本当に残念です。つくづくそう思います。
ありがとうございます。 (伊藤浩之)
2020-09-24 13:59:39
コメント並びに慰めの言葉、痛み入ります。

共産党から今度議員になった方は、私の離党と共産党現職全員立候補しないという事態の原因に深くかかわる方々ですし、反省もできていないと認められるので、私自身は期待薄と思っています。

ただ議会の中でもリベラル思考をもって頑張る議員たちがいますので、今後もその活躍に期待したいと思っています。

これからの事を決定したわけではないですが、私自身も議員でなくなっても、これまでの経験を活かしていければ考えていますので、今後ともよろしくお願いします。

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