伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

水害対応の会派からの提案を議員だよりにしました

2020年08月29日 | 災害
 昨年11月の水を逃がす発想が必要と主張した議員だよりは、以下のブログに記載されています。

議員だよりに信玄堤から水害対策を考察した記事を書きました(2019年11月12日)

 8月30日付けの議員だよりは以下の通りです。



河川のしゅんせつや堤防のかさ上げだけに頼る水害対策の転換を



 豪雨が毎年のように日本列島を襲っています。洪水対策は河川改修が中心でしたが、もはや限界になっています。行政と住民が知恵を出し合い、流域全体の総合対策が必要です。


流域全体での対策を

 「我が国の治水対策は、堤防や河川のしゅんせつなどの河川改修で、流域に降った雨水を川に集めて、海まで早く流すことを基本としてきた。しかし、限界を生ずるようになってきている。流域(雨水が河川に流出する地域)の対策を基本として洪水対策を進めることが求められている」と、国の河川審議会が20年前に中間答申を出しました。

 そして、国交省は今年7月6日に、「あらゆる関係者により流域全体で行う『流域治水』へ転換する」という方針を出しました。

 現在、夏井川のしゅんせつや堤防整備等の河川改修が進められていますが、それだけでは水害を防げません。雨水が河川に流出するのを遅らせる等の流域全体の総合的な対策を実施していくことが必要です。

既存ダムの最大限の活用を

 鮫川の高柴ダム等は、大雨が予想される数日前から事前放流して貯水量を減らし、大雨時に水を貯めることになりました。

 夏井川水系の小玉ダムは構造上このような事前放流ができません。高さ70メートルに「常用洪水吐(こうずいばき)」の穴がありますが、水量調節できず、ダムに流入した水量が流れ出す構造です。ただし、毎秒310立方メートルまでしか放流できず、それを超えると高さ99メートルまで水が貯まり、それ以上貯まると「非常用洪水吐」から放流されます。

 昨年の台風では常用洪水吐から毎秒141立方メートル放流され、平窪地域の夏井川の洪水時の流量を約1割増えました。

 県は今後の対策として、常用洪水吐にゲートを設置し、大雨時の放流抑制を検討します。

 私は現施設でもできることはやるべきだという立場で、メンテナンス等の時に水位を下げるジェットフローゲートを用いて、台風シーズン等には水位を下げることを6月議会で提案しました。答弁で、県が検討することが明らかになりました。

農業用ため池の活用を

 いわき市内には農業用ため池が369面あり、その貯水量は523万立方メートルです。私は6月議会で、洪水対策に用いることを提案しました。

 市は7月に「ため池洪水調整マニュアル」を策定し関係者に周知しました。マニュアルには、5月~9月のかんがい期で大雨が予想された場合には事前にため池の水位を下げること、10月~2月の非かんがい期には常に水位を下げることで、洪水調節容量を確保するとしています。

 水害対策の一つとして、関係者の協力を得ながら確実に実行されることが望まれます。

森林の保水力の向上を

 林業白書(2013年)には、雨水を浸透させる能力も、根の強さも、針葉樹と広葉樹で明確な差はないと記しています。

 一方、間伐しないために樹木が育たず細い状態の場合や、地面に光が差し込まない場合には保水力が弱まり、土砂流出が起こりやすいことも記されています。

 本市は面積の72%、9万haが森林で、うち6万haが民有林で、その57%が人工林です。林業労働力の減少や木材価格の低迷、さらに原発事故による放射能汚染で森林整備が遅れ、水源涵養の事業が必要な森林は2万haで、民有林の3分の1になっています。

 水害を防止するためにも林業の振興が必要で、ボランティアなどの支援も期待されています。

その他の対策

 河川審議会は、内水氾濫を防ぐための雨水排水ポンプ場の設置、水害の減災のために浄水場などのライフラインの水密化等の重要性を指摘しており、本市も取り組みを進めています。
    ◇◇◇
 河川改修を確実に進めるために夏井川水系河川改良促進期成同盟等と力を合わせるべきであることは言うまでもありません。 
 そして、河川改修だけでなく、流域全体の保水力を高めるために知恵を出し合わなければならないと考えます。
 文・渡辺博之



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