局所的に炎上しているようだが、さほど盛り上がっているようにも見えないのは、時代のせいか。はたまた、どちらかの団体、もしくは両方の団体のせいなのだろうか。
電撃的に発表された新日本プロレスとプロレスリング・ノアの「対抗戦」。
リーグ戦(「ベスト・オブ・スーパージュニア」&「ワールド・タッグリーグ」)の最中ということもあり、一部の選手及びファンからは反発を食っているものの、約2年にも及びコロナ禍のうっぷんを吹き飛ばす起爆剤として概ね期待されていたはずだ。
しかし、関係者の思惑ほどは、ファンの期待値は高まっていないようだ。
これは、ノアファンのアレルギー(鈴木軍が侵攻したときのもの)と、現在の新日本ファンの大半が「対抗戦」という禁断の実を求めていないからではないかと推察する。
「新日本の独り勝ち」と喧伝されるように、現在、両団体の規模には雲泥の差があり、必ずしも拮抗したものではない。
しかし、団体の成り立ちを考えると、やはり新日本・全日本・ノアは“3大メジャー” と称したいし、並び立たせたくなってしまう。(新日本ファンからすれば、「冗談じゃない!」と思うのだろうけど)
その2つが衝突するのだ。
それも「ALL TOGTHER」のようなチャリティーではなく、実質的な「全面対抗戦」として。
丸藤正道や中嶋勝彦、潮﨑豪は新日本で試合したことがあるので、当然、清宮海斗や拳王らが注目されることになるのだろうが、勝彦も潮﨑も以前の二人とは全く別物と言っていい。
藤田和之らの杉浦軍や武藤敬司などは、正直、この対抗戦には絡んで欲しくないのだが、「全面対抗戦」と銘打たれるのであれば、また、その対抗戦が長期化するのであれば、“客分” として参戦することがあるのかもしれない。
そうなると、ノアを「格下扱い」している新日本のレスラーは(ファンもか)うかうかしていられないはずだ。
かつて、その「ALL TOGTHER」で全日本の諏訪魔&近藤修司のチーム・ディストラクションに恥をかかされたオカダ・カズチカとすれば、ここで「格の違い」を見せつけたいだろう。
閉塞感漂う社会にあって、“非日常” を描くことで支持されてきたプロレス界。しかし、世界的な規模で拡大を続ける新型コロナウイルスの猛威の中では、その「非現実的な世界」でさえ、単なる生活の一部でしかないことを証明された形となってしまった。
この対抗戦を機に、プロレスでしか表現できない世界観、今までにないくらいの爽快感を味わわせてもらいたいものだ。
願わくば、これが「点」で終わらず、「線」から「面」になり、全日本プロレスもここに参戦してもらえれば、もっと盛り上がるのではないか。
一部で、「ファンの間でギスギスするのは勘弁して欲しい」という声もあるようだが、対抗戦なのだ。なぁなぁでやるよりは、ヒートアップした方がいいと考えるのは、古い人間だからだろうか。
熱い闘いが見たい。
シラけている場合ではないのだ。