波乱万丈 乳がん転移ライフ!

39歳で乳がん ステージⅢ告知。術後1年経たずに肝臓、骨に転移。そこから始まる長い転移ライフ!

「出る杭は抜かれる」グローバル時代~真鍋淑郎さんのノーベル物理学賞受賞に当たり

2021-10-09 00:00:03 | 最近考えること
90歳の真鍋淑郎さんが28人目の「日本人」として、今年のノーベル物理学賞を受賞されました。
プリンストン大学の現役の教授で、生涯一研究者という生き方を貫くその若々しさとカッコ良さに痺れましたね。

1950年代から気象研究を始め、大気中の二酸化炭素の濃度が増えるに従い気温が上昇することを突き止め、
1969年にまだ黎明期のコンピュータでその仕組みをシミュレーションした「大気・海洋結合モデル」を発表。

今や世界の大きな共通課題である地球温暖化を50年も前に証明していたことを知り、その先見性に敬服。
また、自分の信じる一つのテーマに一生をかけて取り組む科学者としての凄さに感服させられました。

一部のマスコミは「28人目の日本人受賞者」と大喜びですが、真鍋さんは米国籍で米国に在住していますので、
「日本人」というより「日本出身の米国人」というのが正しいのだと思います。そう考えると少し複雑な気持ちも・・・

これまでの日本出身の外国籍を持つノーベル賞受賞者としては、真鍋さんを含め4人。
文学賞の「カズオ・イシグロ」さん(英国籍)、物理学賞の「南部陽一郎」さん「中村修二」さん(いずれも米国籍)

外国籍を持つ研究者は「世界で活躍」というイメージを持ちますが、理由は自身の研究環境を優先するためで、
外国籍の人だけでなく多くの日本人受賞者が、日本の科学、基礎研究の深刻な危機を指摘しています。

基礎研究は将来役立つかどうか不明なことから投じられる研究費が少なく、必然的に待遇や研究環境も悪い。
よく「ポスドク問題」を言われますが、博士課程まで研究した後にその研究を活かした職を得ることは厳しい・・・

真鍋さんは、東大大学院の博士課程在籍中にまとめた研究論文を目にした米国気象局からスカウトを受けます。
当時の気象庁では博士号を取得しても職を得ることがほぼ不可能であったことから、その誘いを受け渡米・・・

給料は日本にいた時の30倍にもなり、当時はまだ一般的ではない最先端のコンピュータも使い放題・・・
本人曰く「まるで研究天国」・・・期待が持てると踏んだものには惜しみなく資金と環境を提供する懐の深さ。

実は、既に地球温暖化研究の第一人者として世界的にも認めれていた平成9年には一度日本に帰国します。
国から若手研究者育成を請われたようで、その時は潤沢な研究費と世界一のスーパーコンピュータも使える環境。

しかし、4年後には米国に戻ってしまいます。「自分は『調和』の中で生きる能力がないから」と笑っていましたが、
『調和』を優先する環境が合わず、優秀な若手に責任ある仕事をさせない硬直した組織に嫌気が差したよう・・・

2014年に同じくノーベル物理学賞を授賞した中村修二さんが、以前在籍していた企業と法廷で訴訟合戦となり、
最終的に企業側が中村さんに和解金を支払うことで決着したことは有名ですね。

この訴訟合戦はドロドロしたものとなり後味の良いものではありませんでしたが、まさに「出る杭は打たれる」・・・
莫大な利益に結びつく研究成果を上げても、それに対する個人的待遇が低いのが多くの日本企業の実情。

その出る杭を高く評価して厚遇する環境であれば、国を超えて抜かれるのはグローバル時代では必然なこと。
高い研究成果を出した個人を存分に活かせる環境を作っていかないと、日本の未来は決して明るくない・・・

成長と分配の好循環を掲げる「新しい資本主義」の実現を目指す新総理・・・
聞く耳を持つ総理は「出る杭は抜かれる」のを防ぐのも「新資本主義」の一つだと、真鍋さんから聞いてますよね?

2021年10月8日


男二人を応援いただける方、応援クリックをお願いいたします。

にほんブログ村 病気ブログ 乳がんへにほんブログ村

乳がんランキング

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 卒業記念として企画の「USB写... | トップ | ピアノで腱鞘炎が悪化し手首... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

最近考えること」カテゴリの最新記事