ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

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ピストル・アニーズ Pistol Annies - Hell of a Holiday ~初のクリスマス・アルバムをリリース

2021-11-20 | Miranda Lambertミランダ・ランバート レビューまとめ

 

ミランダ・ランバートが友人のアシュリー・モンローとアンジェリーナ・プレスリーらと組んだユニット、ピストル・アニーズが、4作目で初のクリスマス・アルバムをリリースしました。クリスマス・アルバムと言うと定番のクリスマス曲や有名なリリジャス・ソングのカバーが大半で、そのアーティストならではの味付けを楽しむものと言うイメージが有りますが、そういう常套手段ではなく13曲中10曲も三人によるオリジナルで固めるという意欲作になっていて、期待を裏切りません。恐れ多くも自分たちをマリア様に見立てたジャケットも人を食ったようなユーモア・センスで、ニンマリしてしまいます。

 

シングル曲"Snow Globe"

 

タイトル曲についてミランダが語っています。゛"Hell of a Holiday"はいろんなものが一度に慌ただしくやって来るような様についての歌よ。夏が終わったと思ったら、食料雑貨店やどこかの「ターゲット」に行って、ハロウィーンのキャンディやあらゆるコルヌコピア(※柳の枝で編んだ籠に色々な果物や野菜を入れたもの。食べ物と豊かさの象徴とされる)やカボチャ、それからいろんなクリスマスの飾りやストッキングを買い込むようなね゛゛そんなだから、どうなるか?っていうと、私は感謝祭(※11月の第四木曜)が割を食ってると思ってるのよ(笑)。だから、そんな総崩れのような様を書いた曲なの゛弾むバンド・サウンドとカントリーならではのクロース・ハーモニーが堪能できる、クリスマスのきらびやかさとは一味違うグルーブが堪能できるナンバーです。

 

 

彼女達からすれば、宗教的で神聖なアイコンのサンタクロースも誘惑の対象になるようで、"Come on Christmas Time"ではこう歌われます。゛私はサンタに恋してしまった/私は彼のソリに乗りたい/彼は何かを持っているのよ/私はずっと彼とキスしていたい/彼を良い気分にしたいの/彼を私のものにしたい/私はサンタに恋してしまった/だからクリスマスよ早く来て゛穏やかなミディアム調で歌われるところになおさらユーモアを感じさせます。

 

 

カバー曲は、"Sleigh Ride"と"Auld Lang Syne"がそれぞれ”そりすべり”と”蛍の光”の元歌で、ここら季節の定番曲を入れて雰囲気をだしています。もう1曲のカバー”If We Make It Through December”は、あのマール・ハガードが1973年にリリースしたナンバー。マール・ハガード全盛期のクリスマス・アルバム「Merle Haggard's Christmas Present」の冒頭を飾っていた曲で、さすがいぶし銀の選曲です。この曲はミランダが全編リード・ボーカルを取り、時にエモーショナルに力を込めて歌っています。

 

 

このアルバムの一部のサウンド、雰囲気に、私は初期のビージーズっぽい雰囲気を感じています。当時の彼らでは、"Don't Forget To Remember"のようなカントリー的な代表曲も有りますし、80年代のドリー・パートンとケニー・ロジャースによるクロスオーバー・ヒット"Islands in the Stream"はビージーズの三人のペンによる曲です。そういえば、今年始め、バリー・ギブが「Greenfields: The Gibb Brothers Songbook, Vol. 1」というビージーズの初期曲を多く再録したアルバムをリリースしており、そこにリトル・ビッグ・タウンやキース・アーバン、ドリー・パートンと共にミランダ・ランバートもゲスト参加していました。三人組という共通性をヒントに、ビージーズ的なイメージをこのクリスマス・アルバムで狙ったのかも、と想像しています。

 

ピストル・アニーズについては、以前「Hell on Heels」「Interstate Gospel」を取り上げていて、後者は2019年のベスト・アルバムに選んでいます。


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