塾に来る猫 | これでも元私立高校教員

これでも元私立高校教員

30年以上の教員指導を通じて、未来を担う子供たち、また大人の思考などをテーマに書き綴っています。
日本史と小論文の塾を主宰し、小学生から大学生、院生、保護者の指導をしています。

最近、塾の前に猫が毎日のようにやってきてお昼寝している。

今日はこんな状態。

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近づいても逃げないし、甘えた声も出す。

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人に好かれる経験が人生ではあまりないが、猫にはどうやら好かれるようだ。

 

そもそも猫が家畜化されたのは、人類が穀物を栽培する生活になってからだ。

保管している穀物をネズミに食い荒らされて困った人たちが、これを退治するために、猫を飼うようになったと考えられている。

 

エジプトでは起源前4000年の遺跡から猫の骨が発掘されているから、このころに猫はペット化(家畜化)されていたのだろう。
つまり人間と猫のお付き合いは、もう6000年になる。

 

猫が日本の歴史に登場するのは奈良時代とされる。
この時代、中国からさまざまな経典が輸入されたが、ネズミが紙を食い荒らしてしまう。

それを防ぐため、猫も中国から日本に一緒に連れてこられた。

平安時代の宇多天皇は黒猫を飼っており、彼が書き記した『寛平御記』には猫の様子が細かく描写されているから、当時の貴族の間で猫が愛玩されていたことがわかる。

しかし、猫は夜行性であり、瞳孔が糸のように細くなるところから、魔性のもの、つまりはちょっと怖いものとも考えられていた。

たとえば鎌倉時代の『明月記』には、猫又という化け物が一晩に数人を殺害したとあるほか(すごい猫だ)、安土桃山時代に起きた鍋島藩化け猫騒動は有名だろう。

江戸時代の怪談集にも猫の怪が数多く紹介されている。

たとえば『耳袋』には、寺で飼われている猫が言葉をしゃべったとあり(空耳か??)、それを聞きとがめた和尚が問い詰めると、「十年以上生きた猫は言葉をしゃべり、14~5年生きれば神通力も得る」と教えたと書かれている。

 

つまり、猫は愛すべきペットであると同時に、どうにも魔性のものであり、いわばツンデレだ。

 

もっとも、塾に昼寝に来る猫さんは、すっかり油断している。

古代の魔性は消え失せ、なにやら人間らしい。

 



平和な12月。