母に

ショートステイに行ってもらって

 

私は

友人を誘って

山中湖に 旅行に行ってきた

 

 

友人は

私と同じく 親の介護真っ只中

 

日頃溜まっている ストレスを

この機会に 発散させよう

二人とも 行く前から 前のめり

 

各々で ガイドブックを購入して

 

事前に ファミレスで

半日かけて打ち合わせ

 

 

アソコに行って アレを見て

ソレを食べて コレをしよう

 

と 準備万端で迎えた

 

当日

 

 

出発地 東京は

雨だった

 

目的地 山中湖も 雨予報

 

 

でもさ

大丈夫 晴れるわよ

私たち もってるから

 

何の根拠のない説を 唱えながら

車で 向かった先は

 

 

 

やはり 雨だった

 

 

 

でも ほら

今日はもう 出かけないし

明日は きっと晴れるわよ

 

またまた 根拠のない話をしながら

ホテルに到着

 

 

先にチェックインしていた ひとが

 

東京在住の私たちが 利用できない

GO TO トラベルの県民割で

クーポンを貰ってたりして

ちょっと うらやましかったけれど

 

 

私たち これで

GO TOを使える時に

また 旅行する

って目標ができたわね

 

実に 見事な ポジティブ思考

 

 

 

 

そして 2日目

 

朝から 雨がパラついていた

 

 

今日は

ガイドブックにあった

芝桜祭り に 行く予定にしていた

 

本には

芝桜が フワフワの絨毯のように

一面に広がった

夢のような景色の写真が 載っていた

 

 

 

ここから 芝桜祭りの会場まで

どのくらいで行けますか

 

フロントの人に 訪ねた時

 

この芝桜祭り 人気あるんですよねえ

 

距離としては 1時間ぐらいですが

そこに行く道が 一車線なので

混雑すると

入場するだけで 3時間も4時間も

かかりますよ

 

と言われてしまった

 

 

でも 今日は 天気も悪いし

ゴールデンウィーク前だし

空いてるのでは?

 

と 暗に 同調する意見を求める

私たちを

 

いやあ

なんとも言えないなあ

 

と 突き放す 彼

 

 

 

でも

せっかく 山中湖まで来たんだし

 

ホテルに居るだけじゃ つまらないし

 

という結論になり

 

私たちは 雨の中 車を飛ばし

果敢に 芝桜を目指した

 

 

 

車は

拍子抜けするくらい スイスイ進み

 

会場では

入り口の すぐそばに

車を停めることができた

 

 

雨は

いつの間にか 止んでいた

 

 

やっぱり 私たち

もってるじゃない

 

と言いつつ

いい気分で 中に入ると…

 

 

 

芝桜は

まだ 蕾が目立つ

三分咲きくらいだった

 

 

目の前に広がるのは

チラシの写真にあったような

ふわふわの ピンクの絨毯

 

というよりは

硬めの ピンクの細かいドット柄の

茶色の絨毯だった

 

 

しかも

途中から 雨が降り出したので

急いで 会場を後にした

 

 

でも 出口のところで

友人が ずっと探していた

白い芝桜が買えたので

 

来た甲斐は あった

 

 

途中で寄った

ガイドブックで

景色がいい と書かれていた

田貫湖は

霧で ほとんど何も

見えなかった

 

でも その 視界の利かない

閉ざされた世界のような

幽玄な雰囲気は 素晴らしかった

 

 

ランチを食べた

寂れたうどん屋さんは

 

味は イマイチだったけど

お団子が サービスで付いてきて

 

その おもてなしの心が

うれしかった

 

 


この旅行中

私たちは ほとんど

雨と 霧と 雲の中で

過ごした

 

 

それでも

ほんの一瞬だけ 霧が晴れ

富士山を観ることが

できた時間があった

 

だけど すぐに

雲が 湖を這うように流れてきて 

湖の縁に広がる建物を

飲み込み

 

あっという間に

眼前の景色を

霧で 覆ってしまった

 

 

あまりに短い

富士山との 邂逅

 

でも それは それで

印象的な

ショートムービーのようだった

 

 

 

今回

 

天候には

徹底的に 恵まれなかったけれど

 

私たちにとっては

介護から開放されるだけで

十分 楽しかったし

 

上げ膳据え膳も うれしかった

 

 

お布団を 敷きっぱなしにして

好きな時に ゴロゴロしたり

温泉に入ったり

食べたり 飲んだり

 

その間

ず~っと お喋りし続け

日頃溜まっていた ストレスを

発散した

 

 

そして

友人と二人

 

どんなトラブルも

能天気に楽しんだ

 

 

 

これって 人間として

逞しいってことだよね

 

弱っちいよりは 逞しい方が

絶対 いいよね

 

 

この

 

不測の事態を 能天気に楽しむ

能力

 

もしかして

親の介護を通して

獲得できたものなのかな

 

 

だとしたら

介護させてくれてる親に 感謝…?

 

 

いや さすがの私も

そこまで能天気には