いつもは 疎遠なのに

 

選挙の前にだけ 連絡をしてくる

  知人が いる

 

 

そういう人に言われて

その立候補者に

自分の 貴重な一票を投じる人って

 

いるのかな?

 

 

 

 

 

連日 旧統一教会のことが

色々 取り沙汰されているけど

 

テレビを観ていて

街頭インタビューなどから

 

若い人は

統一教会のことを ほとんど知らない


という事実を知って

びっくりした

  

伝えるべきことは

きちんと

意図して 伝えないと


歴史の中に

埋もれていっちゃうんだね

 



私の 学生時代

 

今から40年以上 前だけど

 

統一教会は 多くの大学で

 

原理研究会

 

という名前で

活発に 活動していた

 

 

危ない カルト

 

という噂は 常々あったけど

 

一方で

そのセミナーの宣伝には

政治家や 教授 有名芸能人などの

名前が語られ

 

校内での 勧誘も

禁止されるでも なく

普通に 行われていた

 

私も 何度か 勧誘された

 


 今 考えると

さすが 昭和


自由度 高すぎ

 


そして

合同結婚式や 霊感商法が

大きく 社会問題になった頃

 

親戚に

事件が 起こった

 

 

原理研究会の セミナーに誘われ

参加して

 

それ以降

家のお金を 持ち出したり

家に帰らなくなった 息子に対し

 

彼の母親は

全力で 居場所を突き止め

体を張って 取り戻した

 

傍で見ていても

それはそれは 壮絶な戦いだった

 

 

その時 私は

洗脳(≒信仰)を解くことの難しさを

つくづく感じた

 

 

その後

 

私は 結婚し

アメリカで 子育てを始めたんだけど

 

近くのキリスト教会に

偶然

日本人の牧師夫妻が

赴任してきたのを きっかけに

 

毎週末 子どもを連れて

その教会に 通うようになった

 

 

私は

クリスチャンでは なかったけれど

 

言葉も 文化も違う 外国で

ストレスを感じる 日々の中

 

日本語が通じる場所は

癒しになったし

 

 

子どもにとっても

 

聖書に 触れることで

 

彼らが 成長する過程で

もし カルトと 接点を持つことが

あったとしても

 

盲目的に それを受け入れる前に

自分の知っている宗教と 比べて

その是非を

判断できるんじゃないか

 

そんな期待も あった

 

 

 

その教会には

我が家と

子どもの年齢が 近い家族が

通っていた

 

私たちは

すぐ 親しくなった

 

 

ある時

彼らに誘われて

その人たちの家で

一緒に

ガレージセールを 開くことになった

 

 

 

当日 朝

 

私は

 車に たくさんの不用品を 載せ

友人の家に 向かっていた

 

 

私が アメリカにいた頃

 

日本人が開く ガレージセールは

人気が高かった

 

バブルの影が

まだ少し 残っていて

品質も 状態もいいものが

多く出る ということで

 

 

とはいえ

来てくれる人の数は

開く場所や 日時 天候にも

左右される

 

今日は どのくらいのひとが

来てくれるかな

 

そんな事を考えながら

車を走らせていたら

 

突然

 

目の前に 蒼々とした芝生で覆われた

広大な丘陵が現れ

 

その頂に

白亜の殿堂が

街のシンボルのように 建っていた

 

 

あれは なんだろう?

 

そう 思いつつ

友人の家に 着いた時

 

まだ セール開始まで

1時間位 あるのに

 

なんと!

 

既に 多くの家族連れが

列をつくって 待っていた

 

そんなことは 初めてだった

 

 

 

友人は

 

うちは

ガレージセールをするのに

最高の場所なのよ

 

そう言って

並んでいる人たちを

視線で 指し示しながら

その理由を 教えてくれた

 

 

 

この街にはね

 

ムーニー

 

と呼ばれる 統一教会の信者が

多く 住んでいるの

 

しかも

日本人とアメリカ人 といった

人種の違うカップルが

たくさん いるでしょ

 

それは つまり

合同結婚式で

教祖様が決めたお相手と 結婚した

 

身も心も 教会に捧げている

熱心な信者さんたちが 多い

 

ってことらしいのよ

 

 

彼らは お金が入ったら

教会に献金して

 

自分たちは 本当に慎ましやかに

暮らしている

 

だから 彼らにとって

子供服やおもちゃが 格安で手に入る

ガレージセールは

ありがたいんだと思う

 

 

うちの子が 言ってたわ


学校で

ムーニーの子どもたちから

 

親が

次のガレージセールの 予定を

知りたがってるから

教えて

 

って 聞かれたりするって

 

 

友人の言葉通り

 

その日 彼らは

子供服や おもちゃや 本を

熱心に選んで

たくさん 買ってくれた

 

 

友人は 話を続けた

 

もちろん

すべてのムーニーが

慎ましいってことでは ないのよ

 

医者や 弁護士

教会の幹部たちの 中には

高級ブランドで 身を固めている人も

いるし

 

 

ここに来るときに

丘の上に

白亜の殿堂が あったでしょ

 

あそこには

統一教会の 教祖一族が

住んでいて

王族のような暮らしをしている

って もっぱらの噂よ

 

 

確かに

さっき 見かけた

その建物や その周り すべては


遠目からでも

贅を尽くしているように 見えた

 

 

 

 

その日以降 何回か

 

私は その友人と一緒に

ガレージセールを 開いた

 

 

ムーニーは

毎回 たくさん 来てくれた

 

 

私の目には

彼らは いつも

とても 幸せそうに 見えた

 

幸せそうに 見えたけど…

 

 



 

友人から

 

彼らの多くは

教会が経営する 会社

(名前を聞けば 私が

そうとは知らず よく利用していた

お店やレストラン等も)

で 職を得ている

 

と聞いた

 

 

そこで 真面目に 働き

 

その労働の対価で

質素に暮らし

 

祈り

 

献金し

 

余った時間には

街に出て 布教活動をする

 


通行人に 声をかければ

邪険に扱われたり

無視されたりすることも あるだろう

 

彼らに言わせれば


その辛さも 含めて

そんな日々 全てが

信仰を深めるための 修行で


 

 でも


それでも

 

例えば

寒い冬の 一日の終り


 身も心も 疲れ果て

うつむきながら

凍てつく道を 足を引き摺って

家に帰る 途中

 

ふと

顔を 上げて

 

たくさんの窓に

暖かそうなあかりが 灯る

あの豪奢な 白亜の殿堂

 

な~んてものを 目撃したら

 


 煩悩に 日々振り回されている

私だったら

真っ先に 思うだろう

 

教祖 ズルくね?

 

 

だって 教祖というのは

信者の志で成り立つ 宗教の 祖だ

 

利潤を追求する

企業のトップでは ない

 

 

でも 彼らは

ズルい とは 思わないのかな

 

むしろ

万が一 そんなことが

頭をかすめたとしたら

 

そんな自分を 責め

 

修行が足りない と

猛省するのかな


 

 だって

彼らにとって 教祖様は


存在自体が 人知を超えた

奇跡の存在だから

 

教祖様を信じて ついて行けば

必ず 幸せになれるから



 

だけど

 

 

 

 

広い世の中を 見渡せば

 

彼らの教えが

及んでいない 場所でも

 

社会は 廻り

 

人々は 暮らし

 

その日々の中に

しあわせを 見つけている

 


 

彼らの教団に

高額の献金したことで

家庭崩壊し

裁判沙汰になっているような

不幸な家族が たくさんいる

 


 この現実を


彼らは

どう 受け止めるていのだろう

 


 何を しても


何が 起こっても


しあわせの青い鳥は

 自分たちの 手の中にだけ

いる


信じているのか