こんばんは。たかしゃんです。

また授業の話です。後期は色々忙しいし、心に来るというかなかなか悩ましいことが多いですね...

悩むのも大事なことであると思っているの痕跡として文章にして残します。

てなわけで今日はデザインのお話。いまコミュニケーション実習という授業を行なっています。

第一課題は基礎デザイン学科の主任教授、原研哉先生による授業です。

今年の課題は秋田の新ブランド米「サキホコレ」のパッケージデザインを考えるということ。今年の7月ごろに原先生が行なったできたてホヤホヤ最新のお仕事です。

さぁ、きました。初の本格的なデザイン課題。

例年とは異なるらしいですが、難しい課題ですね。

自分は親戚が農家で田舎住みということもあり、お米をスーパーで購入する機会はなく、大学で一人暮らしを始めてから一度だけ購入しました。僕にとってお米のパッケージは、食品関係のパッケージデザインの中でも最も無縁であるといっても過言ではないです。

そんなお米のパッケージデザイン。先生から事前に言われた注意点があります。

お米の売られ方です。

スーパーを想像してみてください。どのように陳列されていますか?

ちゃんと棚に入っていることもあれば、ただ積まれていることもあると思います。

また米の袋はまっ平でしょうか?いいえ、湾曲した表面になっています。

そして最後に、グラフィックデザインではないということ。作品ではないので見る人=消費者はデザインをじっくり舐め回すようにみません。パッと見、第一印象が非常に大事になってきます。

そんな実践的なデザイン。難しい課題です。これを二人組のペアワークとして取り組みました。

いつもは周りと比べてネガティブな戯言ばかりなので、たまには制作プロセスを書いていきたいと思います!!

①パッケージの方向性
ただ綺麗なグラフィックを作るわけではありません。前述した通り第一印象がとても大切でかつ「買わせる/買いたくなる」ようなデザインが求められています。そこで僕らのグループでは一つの方向性を定めました。
お菓子のようなパッケージ
このコンセプトをもとにお互いに作成していきました。
第一案として上がったものがコレ。

ゴシック→A1ゴシック
明朝→筑紫アンティーク明朝
英数字→Avenir


ここまでに辿り着く経緯を説明していきます!
まずこの一松文様。鬼滅の影響で非常に知名度の高い和柄のひとつです。
米袋というスーパーに並ぶパッケージとしては置き方がひとつじゃない、積まれたり棚にしっかりと陳列されたり...。(前述しましたが)そのため「柄」を用いてどのような陳列をされても他の商品と差別化することができるというのを意識しました。
自分はまず、このグリッドをマス目に見立て五十音を当てはめました。



この段階で友達に見せて少し相談してみました。すると...

やはりグリッドを使ったという説明がない限りは、初見ではサキホコレと読むことは非常に困難であるということになりました。

自分の中で文字の配置を「なんとなくいい」からではなく、ロジカルにしっかりと理由があるように配置したかったので今回のグリッドという案に辿り着きましたが
読めない」のであればなんの意味もありません。

中間講評を翌日に控え時間のなかったので一松文様はそのままに、少しの変更でやっていきました。



最初の一枚と同じものです。「ホ」の位置に注目してみてください。先程のひらがなグリットで決まった「ホ」の位置です。また、「う」の位置も同様です。またフォントについてですが、A1ゴシックというものを使いました。線と線との交わりのところに滲んでいるかの表現があり、レトロな雰囲気を持ち合わせています。

米のパッケージではよく筆文字が使われますが、ここはゴシック。和柄で情報がある分、フォントはシンプルに。でもどこか親しみやすさがあるように意識しました。
要するに和柄を第一にデザインしたという感じですね...

【先生講評】
一松文様の狙いわかるが、それにしては一松が弱い。もっと強くいくべき。極端に言えば白黒とか。でもそうすると文字が見えなくなるからそこは、バランスを見てほどほどに。
真ん中の米粒シルエットで米を表現するかどうか。表現してもいいが、一松なら一松に。
「一松」というのをブラさないで徹するということを意識しよう。

ここからまたペアの相手と相談しました。相手は、米粒を使ったパターンを作っていて、一松よりも角がとれてより優しさのあるものだったのでそちらをさらにブラッシュアップしていきました!

そして出来上がったのがコチラ!!



パターンが肝となるようにしました。また色の組み合わせも玄米のような色と白米の白を用いて、しっかりと現実に存在する色味に仕上げました。また「サキホコレ」の文字もA1ゴシックから筑紫B丸ゴシックに変更。筑紫書体のもつ、現代的かつレトロな雰囲気も取り入れました。いま見直して思ったんですが、ベージュを入れてしまうと、中身が玄米なのか白米なのかが少し曖昧になってきますね...

【先生講評】
賢そうな、優等生のようなデザイン。1箇所外すようなところ、が欲しい。まとまりすぎている感じ。白とベージュのコンビは良い。全体の情報のまとまり方も良い。あとは野生。米という強さをもう少し足そう。

とのこと。中間講評で言われた方向性のまとまりはできたと思います。
次はストロングポイント。先生もおしゃっていた外し。他のお米と並んだ時、「差別化」はされているものの「目に留まる」かと言われれば答えはNo。
これからもう少しブラッシュアップしていきたいと思います。


さぁ今回の課題はこんな感じでした。今までも何かをデザインというか作り出すということはしてきたのですが全て個人作業つまりは一人でやっていたので、意見交換しながらの作業はとても新鮮でした。意外な視点からのアドバイスというか助言が入るので制作中もかなり楽しめた気がします。
もちろん周りの方が出来がよかったのかもしれませんが、その比較は無意味かなと感じました。今は失敗してもいいし、100点じゃなくてもいいのかなって。
自分なりのプロセスを踏んで、作り出す。それは決して誰かの真似とかではなく。
今回の課題でもちろんポートフォリオに載っけられるようなものではありません。ですが何か自分中でスッキリしたというか、自分を肯定してくれる何かが生まれたような気がします。

いいですね、美大って。

ほんじゃ、また。